『国民年金改革案』:医療費の削減を条件に、国民年金支給額を大幅に引き上げる政策提言
1.何故、国民年金の支給額は、これ程までに低いのか?
まず、今現在、国民年金の支給額は、月68,000円(満額の場合)となっており、全く以て、最低限度の生活を送れると言えるような水準にありません。
そして、"何故、ここまで、国民年金の支給額は低いのか?"と疑問を持たれる方がいらっしゃると思いますので、その点について、簡潔に、説明させていただきます。
国民年金発足の歴史
上記の年表をご覧いただければお解り頂ける通り、まず、1954年に、厚生年金制度が、創設された後、1961年に、国民年金制度が創設されるという順序で、現在の公的年金の原型が出来上がっております。
つまり、国民年金制度というのは、厚生年金に加入出来なかった、"自営業者"や"農業従事者"のための年金制度である訳です。
そして、当時は、自営業や農業従事者は、定年を過ぎた後でも、生業を続ける事が可能であると見做されて居た事から、"自営業や農業従事者達は、年金を貰いながら、本業で稼いだ金額を合わせれば、最低限の生活費を賄う事は可能であろう"という事で、現在で言えば、月額6万8000円と、生活保護を受給した際に貰える金額に比しても、低めの支給額に抑えられている訳です。
ですから、国民年金制度というのは、定年を過ぎた後においても、本業によって、ある程度の収入を得られる方々にとっての年金制度と言える訳です。
しかし、現代に至っては、国民年金制度というのは、第三号被保険者や非正規労働者の加入が目立っており、全く以て、定年後の生業を持ち得ないような方々が、非常に低額な年金支給額しか受け取れない状況になっている訳です。
2.消費税を増税すれば、国民年金支給額を引き上げる事が出来る
なので、私は、消費税増税を実施し、それを原資に、国民年金の支給額を、大幅に引き上げるべきであると考えております。
やはり、基本的には、国民年金制度は、国家主導の高齢者への最低限の所得保障事業でありますから、その原資は、租税によって、賄われるべき性質を帯びている訳です。
また、後述する医療費削減が実施され、予算が捻出出来れば、これまで、保険料を納付してきた方々との差別化を図る必要はありますが、保険料を納付してこなかった人々にも年金を支給出来るような、無拠出型の年金に転換する事も、十分に可能であると思っております。
3.ただし、医療費の削減は必須である
ただ、現在の日本においては、医療技術の発展により、これまでであったら、生き続ける事が出来なかったような人々の寿命が伸び続けているという実情があります。
そして、その中でも、寝たきり老人と呼ばれるような、全身にチューブを挿さされ、無理矢理延命処置を施されている方々が、推定300万人以上存在するとされております。
ですから、そういった方々に対する医療サービスの提供の上限を設けるような改革を実施しなければ、仮に、消費税を増税出来たとしても、全額が医療費に消える事となり、また、財政赤字が拡大し続ければ、今以上に年金支給額が減ってしまうという事も考えられます。
更に、あらゆる高齢者に、過剰な医療サービスを施し、無理矢理寿命を延ばすという行為は、高額納税者達にとっては、ゴールポストを動かすような裏切り行為であると言える訳です。
何故なら、医療・年金・介護制度というのは、税金を原資に営まれている訳ですから、医療技術が発展したからと言って、無制限に、税金を投入し続け、あらゆる高齢者の寿命を延ばし続けるという事を行い続けてしまえば、"一体、何時まで税金を払い続ければいいんだ!"と言うように、高額納税者達は、不満を抱いてしまう訳です。
そして、そういった事が、高額納税者達が、海外に移住したり、タックスヘイブンを利用し、租税回避を行う要因となっており、現状の状態が改善されなければ、更に、税金を払わない国民が増えてしまうとも、当然考えられます。
ですから、国民年金支給額を増額するという目的を果たすためには、その条件として、医療費の削減を実施するという政治的な判断が求められる訳です。
4.中世における魔女狩りの真相
中世のヨーロッパにおいては、貧困というのは、"社会の責任ではなく、個人の責任だ"と見做されていた訳です。
そして、当時は、働ける能力がありながら、就労しない者達は、国家にとって害であると見做された事から、強制的に、不労者達を、劣悪な環境で働かせる法律を作ったり、職場から逃げ出した者には、顔面に、Falsity(不信)の頭文字のFを焼き印したり、最悪の場合は、死刑に処されてしまった訳であります。
その中でも、魔女狩りという風習は、社会福祉の対象になるような人々を、口減らしするために実施されたと、考えられております。
なので、魔女狩りの犠牲者は、約数十万人~約900万人であると言われておりますが、その犠牲者の大半が、55歳~65歳の貧困層の女性達であり、物乞いをし、拒絶された人々であり、そういう方々が、次々と、火炙りの刑に処されてしまった訳です。
今の日本は、中世のヨーロッパと変わらない!
そして、自民党や今の日本政府は、長年、国民年金の問題を放置しておりますから、事実上、中世のヨーロッパの風潮のように、"これまで怠けてきた人間が悪い!"と、行動で主張している訳です。
また、菅元首相も、「私がめざす社会像、それは自助、共助、公助、そして絆であります」と、自助を強調するような発言をしており、全く以て、自民党が自主的に、改革を実施する事は考えられないでしょう。
厚生年金を払った高齢者以外、保護されないのはおかしい
今現在、前述のように、膨大な医療費が生じている訳ですが、寝たきり老人の問題というのも、日本国内に、一つでも多くの医療機関を維持しておくという目的の下で、医療政策が実施されている訳ですから、実際の所、必ずしも、高齢者だけのために、医療費が使われていると言える状況では無い訳です。
そして、現状、"厚生年金を払ってきた高齢者以外には、十分な年金は払わない"と見做せるような酷い制度になっている訳ですが、私は、厚生年金を払ってきた高齢者に限らず、全ての高齢者が、日本の発展に貢献してきた事は間違いないと思っております。
ですから、現状のような制度は何としてでも改革を行い、国民年金の受給者達が、最低限度の生活を送れるようにする事は、今の政治に最も必要な事であると考えております。
5.自民党には、何の改革も実行できない!!
そもそも、自民党というのは、現状の国民年金制度を放置してきた当事者でございます。
また、一部の高齢者議員が、ほぼ全ての実権を牛耳っているという組織体質を考えても、消費税増税を伴うような、大胆な改革を行う事は、殆ど不可能であると言っても、過言ではないと思います。
ですから、国民年金の支給額の増額を望む方々は、次の選挙においても、自民党には投票せず、しっかりと消費税増税を行い、国民年金の支給額を引き上げるという事を実行出来る政党にこそ、一票を投じるべきであると思っております。
まとめ.
個人的には、山積する政治課題の中でも、国民年金の支給額が低すぎる問題については、最も、最優先で解決されるべき課題であると考えております。
何故なら、来年の2025年というのは、高齢化に拍車が掛かる節目の年であるという事もあり、今後、必ず、国民年金の支給額の低さに起因する問題が、次々に噴出していく事は間違いないと言えるからです。
そもそも、今から対策を行う事自体、全てが遅きに失している訳でありますが、それでも、本案のような改革を、早期に実施する必要性は高く、その有効性も大きいと考えております。
また、私は、個人的には、日本維新の会を支持している訳でありますが、前回の衆院選においても、消費税増税を掲げておらず、この点においては、全く投票する価値が無い政党であると見做されても仕方がない状況です。
ですから、読者の皆様方には、本記事で掲げたように、消費税の増税を行い、国民年金の支給額を増額してくれるような政党を見付け、その政党に一票を投じ、日々の政治活動においても、支持していただければと思っております。
参考文献.
・「格差」から考える社会政策:雇用と所得をめぐる課題と論点
・社会福祉の思想と歴史: 魔女裁判から福祉国家の選択まで