添乗員のお気に入り⑪【やりがい】
添乗員として10年弱お世話になった会社ですが、退職手続きは電話で済ませてしまったし、正式なご挨拶をしないまま半年以上が経ちました。ですが区切りとして、次の職場が決まったので報告に伺いました。
きちんと御礼も述べて綺麗に別れられて良かったです。
海外添乗の仕事は、やり切って辞めたわけではなく、こちらの意志を一切無視して突然に失ったわけなので、胸中複雑なことには変わりないのですが。切り替えなければならぬ。
もう行けないんだから仕方がない。
だけど、振り返ってみて、海外添乗員という仕事は、どうだったのか。何が好きだったのか。
その表向きな理由と、裏向きな理由をまとめてみる。
1.表向き
・お客さんの反応が素直
【海外旅行=非日常=お金と時間がかかる=期待値は高い】
どんな人であっても、基本は楽しみたい!という気持ちで参加される。その気持ちが大きいからこそ、期待したものと現実に差があったとき喜びも落胆も大きくなる。
それをできる限り大きな喜びの方向へ持って行くため試行錯誤することはとても楽しかった。
本当に嬉しそう、楽しそうなお客さんたちは可愛くて、一緒にいて幸せだった。
旅の後に送って頂いた沢山のお手紙や写真を見返すと、今でもパワーをもらえます。
・自分のペースで働ける。
休みは申告すればもらえる。ただその分、収入が減るだけ。
・仕切る楽しさ
最大40名様をどう盛り上げるか。
どう平和に保つか。
グループが一丸となったときのグルーヴ感は最高。10名以下の少人数ツアーだと、仕切るというより執事みたいなつもりでやってたけど、それはそれでグルーヴ感を生み出せたとき、やっぱり最高。
2.裏向き
・どんなに辛いことも2週間で終わる。
長いツアーでも2週間。この2週間さえ乗りきれば終わるんだ。退職しない限り続くような嫌な人間関係は一切ない。
・飽きない
刺激過多。行き先は世界中。メンバーも天気も毎回変わる。コツコツ働けないタイプの私にはぴったり。
・稼げる
長く働くと自然にお給料があがる。(もちろん限度はある)最初は薄給だけどそこで耐えられれば、平均給与より稼げる。ただ、お金のためだけにはできない仕事だけれど。
・価値観、見聞が深まる。
沢山の国の方と話す機会を得て、とにかく勉強になる。物の見方がフラットになったような気がする。外から見る日本のイメージも知ることができる。というのはもちろんなんだけど、それよりもお客さんや現地での様々な出会いを経て、こういう人になりたい、又はこういう人になりたくない等、人への対応の千差万別を目の当たりにし、学ぶことが多かった。どちらかというと、見学した場所や食べ物の知識が身に付くというより、多くの人間との出会いが価値観を深めてくれたと思っている。
・自分の存在価値を確認できる。
よく感謝してもらえる。ありがとうと言ってもらえる。
添乗をしなくなって、人に褒められることがないってことにハッキリ気が付きました。
思えば添乗中は、褒められるために必死でしたけど。
こんな風に、度々自分の価値を感じることができるという経験は、自己肯定感に繋がり、間違いなく私に自信をつけてくれました。
とまぁ、だからわたしは添乗が好き。
とにかくなにより、お客さんの笑顔を見るために必死でしたわ。
楽しかった。10年間本当に楽しかった。