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同僚に無視されてることに気づいた。

同僚に無視されていることに気がついた。仕事の休憩中、上の空になっていたときのことである。
ほんの少し離れたところで、同僚が誰かと談笑していた。職場ではよくある風景である。話し声が右から左へ流れていく。いかにも楽しそうな様子だ。至って平安である。笑い声が聞こえる。同僚の笑い声、なんだか久しぶりに、聞いた気がする。

んんん?笑い声?

そこで、はたと気がついた。

あれ?そういえば、ここんとこ同僚と会話らしい会話をしていないような気がする。そういえば、挨拶をしたとき返事がないような気がする。そういえば、目を合わせてもらってない気がする。そういえば、わたしに対して当たりが強いような気がする。

そういえば、これらの事象が、ずいぶんと前から続いているような気がする。そういえば。

帰り道。わたしは同僚に向かっていつも通り挨拶した。
「おつかれさまでしたァ!今日もありがとうございましたァ!」
目が合わない。返事も無い。なんなら最後まで言い切る前に、同僚はそそくさとどこかに行ってしまった。

あああッ!わたしッ!無視されてたんだわッ!!!今までずっと、気づいてなかったァッ!!!

これは、空気の読めない自分に対する情けなさと、無視されたことに対する憤怒をしたためた、わたしのつぶやきである。

バズってしまった。

まさか、こんな。こんな、わたしの。こんな、しようもない投稿に。こんなにも反響いただいてしまうとは。いや、こんなはずじゃなかった。サラっと、流れていくつぶやきのはずだった。なんでこんなことに。恥ずかしいやら情けないやら。あとは、たくさんの共感の言葉、優しい言葉をいただけたことを、ちょっと嬉しく思うやら。

にしても、挨拶の無視は駄目だろう。

わたしはかなり、社会人としては、あまりにも出来の悪い人間である。物覚えが悪い。仕事は遅い。面構えが不真面目。空気は読めない。気が利かない。融通も利かない。挙動がおかしい。休憩中は上の空。会話が面白いわけでもない。愛想と返事と挨拶だけは、やたらと良い。

自分でも、「わあ。嫌だわあ。できるならでいいのだけれど、もうちょっとだけ別の人と一緒に仕事をしたいわあ」って思う。嫌だよ。わかるわ。わたしだって嫌だもんわたしのことが。だから正直、同僚には同情しているんだよ。煩わしかったろう。顔を覗き込んで「おつかれさまですッ!」と明るく叫ぶわたしを、妖怪か何かだと思ったに違いない。

いや、ほんとに。「元気ないですねェ!!!大丈夫ですかあァ!!!季節の変わり目だからですかァ!!!」じゃねんじゃ。よく見てみろ。まるで目が合わない。気づけ。はよ気づけ。そして自分の頭を心配しろ。

にしてもね、挨拶の無視は駄目だろう。なんてったって、大人ですからね、わたしたちは。社会人ですからね。

逆を言えば、挨拶と返事だけしておけばいいんじゃない。

人間ですから。「あの人嫌い」って思う気持ちは止められない。わかる。なんてったって、わたしも人間だからね。わかる。すごくよくわかる。でも、挨拶は無視しちゃいけない。大人ですから。社会人であればなおのこと。無視は駄目だよ、無視は。子どもじゃあないんだから。

逆を言えば、挨拶と返事だけしておけばいいんじゃないの。

社会人たるもの、挨拶と返事だけでいい。あとは報連相。社会人であれば。それさえできてれば、いいんじゃない、って思うんだよ。社会人ってそういうものじゃないのか。

って、思っているからして、わたしは挨拶と返事と報連相だけは怠らない!他はまるで不出来!挨拶と返事と報連相をしっかりすることで、社会人としての形を、どうにか保とうとしている!ああ!なんと健気な妖怪だろう!

あら嫌だ。ポンコツなわたしがこんなことを言っても、なんの説得力もない。

ともかく、挨拶は無視しちゃいけないよ無視しちゃ!現場が現場なら、命にかかわるぞ!

っていうね。わたしの、このね、全く反省のない感じがまたね、癇に障るんだよね。すごくよくわかる。自分のこういうところ、好きでもあり、嫌いでもあり。ううーん!長所と短所は表裏一体!

わたしはもう、無敵ではなくなった。

半年間、いや、もしかしたらもっとかもしれない。同僚から無視されていたことに、気づいてしまった。
今までわたしは「どうしたんかなあ、体調悪いんだろうなあ」なーんて、能天気に思ってたけど、無視されてることに気づいてしまったから、もうこれまでどおりにはいかない。

わたしは、すこーしずつ心をすり減らしながら仕事をすることになるだろう。無敵の時間は終わった。あとは残機が0になるまで、あとどれくらいだろう。わからない。カウントダウン始まった感ある。あーあ。

こんなことになるなら、ずっと気づかないままでいたかった…!

にしても、無視はないだろう、無視は…!いい大人がそんなことをしちゃあいけないでしょうが…!

まったくもう、なににおいても、こんな自分がたまらなく情けない…!

ってね。こんな調子でね、情緒がシーソーしてる。忙しいったらない。
でも、だいぶ落ち着いた。こたびのバズで、世の中、わたしとおんなじような人がたくさんいるんだな、ってことが知れた。たくさんのコメントをいただいた。鈍感力をいかんなく発揮している人。無視を察して心痛めている人。誰かを無視せざるを得ない状況の人。わたしの行動に疑問を持った人。なんにしても、励みになるし、勉強になるし、共感するし、反省するし。本当に、本当にありがたいことである。だからツイッターはやめられない。

で、あるからわたしは、いつも通りでいるほかないのである。いかんせん大人ですからね。仕事はできないポンコツではあるけれど。

ごめん同僚よ。次の出勤の時も、挨拶させておくれよ。大丈夫。心配しないで。もう前に回り込んだりしないから。残機が0になるまでの間、もうしばらく辛抱しておくれよ。
ただね。わたしってやつは意外としぶといんだよ。本当にもう。どこまでいっても、ごめん。

そしてもうひとつ。挨拶は無視するんじゃあないよ(憤怒)。

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