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テイルズ オブ ジ アビス(TOA) ルークを救うエンディング考察


ルーク、帰ってきます。


前書き

PS2版『テイルズ オブ ジ アビス』の最後に現れる青年の正体についての考察と諸々の解説をする記事となります。

事の発端は大空スバル氏🦢のTOA配信。配信が最終回へ向かうにつれ、楽しかった思い出とともに当時のモヤモヤが障気のように吹き出してきたわけです。

ゲームが発売されてから15年以上。プレイヤーの間でもその正体について様々な考察や議論が成され、依然として正体がハッキリしない青年ですが、この度関連する描写や台詞を念入りに調べ、『あれは間違いなくルーク』と自分なりに結論づけることが出来ました。
とんでもない文章量となってしまいましたが、どうしてルークが帰ってきたと言えるのか、その理由をアッシュ、ルーク、青年、おまけ…と順序立てて説明していきたいと思います。

イベントの画像とムービーを撮影できる環境が無いため、こちらはyoutubeにある動画(主に大空スバル氏)より引用させていただきたいと思います。
各画像のキャプションを押すことで、その場面の動画を開くことができます。

用語解説

予め関連する用語を記載しておきますが、必ずしも読む必要はありません。

6大音素と第七音素

オールドラントを包み込んでいる音譜帯は、6つの音素の振動層で構成されている。音素とは生命体を含むオールドラントに存在するすべてのものが発している音の信号のことで、それぞれが固有の振動と属性を持つ。属性には、第一音素の闇、第二音素の土、第三音素の風、第四音素の水、第五音素の火、第六音素の光の6種類があり、それらの結合パターンにより種別差や個体差が確立されている。

音譜帯の振動層は内側から第一音素〜第六音素の順に交わることなく並んでおり、プラネットストームで振動層に記憶粒子(セルパーティクル)を吹きつけることで、世界中に膨大なエネルギーを巡らせている。このプラネットストームは、のちに記憶粒子と第一音素〜第六音素を変則的に結合させ、第七音素という予想外の恩恵を人々にもたらした。

創世暦にサザンクロス博士によって発見されたこの第七音素は、プラネットストームに巻き込まれるかたちで音譜帯のいちばん外側を流れていた。第七音素については謎が多く、いまだ解明されていないことも多い。これまでの研究により、オールドラントの誕生から消滅に至る記憶を有していること、特定の属性を持たないこと、また、人為的に発生したエネルギーであるため、基本的に生命体には含まれていないことなどが判明している。
テイルズオブジアビス パーフェクトガイド 592P
ルーク「音素っていまいちよくわかんねぇんだよな……」
ティア「全ての生命体や構造物は固有の振動とそれに伴う音を発しているわ。それらは六つの音素で大別され、振動と結合の細かな差によって個という存在が確立されているの」
ルーク「〈?〉」
ガイ 「つまり、物質を構成する元素の一つってことさ。おまえも音素と元素でできてるんだよ」
あらすじ21 ザオ遺跡より

記憶粒子とは

【記憶粒子(セルパーティクル)】
① オールドラントの地核に渦巻く力の源を『記憶粒子(セルパーティクル)』と呼び、星の記憶の欠片であるとも言われている。創生暦時代、サザンクロス博士の提唱により『記憶粒子』を人工的に循環させ恒久的な燃料源とするために、プラネットストームが誕生した。譜業や譜術も力の源をプラネットストームから得ている。

② 地核にのみ存在する、惑星燃料のこと。本来は地上のフォンスロットからわずかににじみ出ていたものだが、プラネットストーム完成後は一部が第七音素へと姿を変え、オールドラントを絶えず循環する恒久的エネルギーとなった。
① ダアトの図書室より
② テイルズオブジアビス パーフェクトガイド 617P
  • 音素が分かりにくい方は『シャボン玉🫧』を想像すると良いでしょう。
    呼気が記憶粒子で、ストローの先で張っている膜が音譜帯、
    息を吹いて膜を通して出来上がるものが音素となります。
    音譜帯も音素も7種類あるので、正確に言えば構造は少し違います。

プラネットストームとは

①BD2682年、サザンクロス博士の提唱によって完成した惑星燃料供給機関。地核に渦巻いている記憶粒子がラジエイトゲートから音譜帯に向かって噴出し、オールドラントを巡って、再び音譜帯を突き抜け、アブソーブゲートから地核へ流れる一連の流れのことを指す。これにより人類は無限の音素エネルギーを得ることに成功。譜術、譜業、音機関が飛躍的発展を遂げた。その後、譜術戦争でこの機構に不具合が生じたため、BD2702年にユリアが譜陣を用いて再構築し、現在のかたちが完成した。

②星が持つエネルギーである記憶粒子(セルパーティクル)を音譜帯に放出し、星の外周を循環させることにより生まれたエネルギー供給機関。地核から放出されつづけるセルパーティクルのおかげで、流れが止まらないかぎり半永久的に音素力(フォンパワー)のエネルギーを得ることができる。

③本来、オールドラントの地表は魔界にあった。その頃はまだ魔界という呼び名はなく、現在のような障気もない、高度な文明を発達させた平和な惑星だった。しかしいまから約2000年前、音素学者であるサザンクロス博士がプラネットストームを完成させ、第七音素を発見したことで事態は一変する。星の誕生から消滅までの記憶を有しているとされる第七音素を巡り、世界規模の大戦争・譜術戦争(フォニック・ウォー)が勃発。この戦争で人類の半数を死滅させ、大規模な地殻変動を起こしたオールドラントは原因不明の障気と大地の液状化に見舞われたのだ。絶滅に瀕した人類を救ったのが、ユリア・ジュエである。彼女は第七音素から惑星の運命を未来視し、生存と繁栄の道を探った。のちにユリアの預言と呼ばれる7つの惑星預言(プラネットスコア)である。ユリアはこの預言に従い、為政者を先導。人類の存続と未曾有の大繁栄を求め、汚染された魔界を捨てて、地表を浮上させる計画を実現させた。こうして外殻大地が完成したのだ。世界を救ったユリアの預言は巨大な譜石を生み出し、それらはいまも人類を見守るようにオールドラントの輪となって惑星を包んでいる。
① テイルズオブジアビス パーフェクトガイド 620P
② テイルズオブジアビス 公式コンプリートガイド 575P
③ テイルズオブジアビス パーフェクトガイド 591P(外殻大地形成の過程)
  • 物語後半ではラジエイト、アブソーブともに稼働を停止させています。

  • ラジエイトゲートは記憶粒子を地核から音譜帯へ吹き上げます⛲️
    アブソーブゲートは反対に音譜帯で出来た音素を地核へ吸い込みます🌪
    この二つは北極点と南極点のような位置関係であり、これを利用して惑星全体に音素を循環させながら満たしていき、人類が音素の力を得る機関がプラネットストームです。

同位体とは

① 音素振動数がまったく同じふたつの存在。完全同位体とも呼ぶ。同位体同士間では超振動を発生させることができるため、兵器転用を視野にキムラスカ、マルクト両国で研究が進めている。理論的にはフォミクリーで同位体を作り出すことは不可能だったが、ルークレプリカ作成時に偶発的な事故が起こり、ルークとアッシュは同位体になった。
また、その後、当時の事故を再現するかたちで、ディストがチーグルの同位体を作製することに成功。しかし、その際に使用されたフォミクリー音機関は壊れ、同位体の再現情報は失われてしまった。

同位体の被験者はゆるやかに音素乖離がはじまり、少しずつ体力、譜術力を失い、やがて大爆発に至ると言われているが、その発生時期や条件などには不確定要素も多い。
同位体は同一人物ともいえる存在だが、その後の生活習慣により癖や体力などに差は生じてくる。たとえば、アッシュはもともと左利きだが、しつけの一環で矯正され、ルークとは異なる右利きになったのだ。

② (中略)理論的には、同じ質の超振動を起こせる人間、また、その装置がふたつ存在する場合、第二超振動というあらゆる音素による影響を無効化する力が発現する。

また、同位体が誕生した場合、被験者側に大爆発(ビッグ・バン)という現象が起こると考えられている。これは、被験者側にゆるやかな音素乖離がはじまり、やがてそれによって被験者が力尽きると被験者とレプリカの間に特殊なコンタミネーション現象が起こる可能性があるというもの。
しかし、完全な大爆発が起きるには、コンタミネーション現象にほかの物質や音素が混じらないよう、ある特殊な力場が必要となる。これは人為的に用意しなければ到底実現不可能といえるほど厳しい条件のため、大爆発の理論自体を疑問視する学者も少なくない。
① テイルズオブジアビス パーフェクトガイド 618P
② テイルズオブジアビス パーフェクトガイド 595P
  • どちらも大爆発現象が併記されています。

大爆発(ビッグバン)現象とは

① フォミクリーにおける、同位体の被験者側に起こる現象のこと。被験者とレプリカの間に特殊なコンタミネーション現象が起こると言われている。しかし、これまで同位体が存在しなかったため、立証はされておらず、あくまで仮説に過ぎない。正確に大爆発が起きるには、特定の条件の元、あらゆる不測の事態が取り除かれていなければならないが、実験以外でそのような状態が作れるとは思えないため、疑問視されている。

② 完全同位体の被験者に発症するもの。同じ存在であるレプリカの情報を回収するため、音素乖離してレプリカを吸収し、オリジナルと再構成する現象。結果、レプリカは存在していたときの記憶をオリジナルに残して消滅し、オリジナルは2つの過去の記憶を持つことになる。
① テイルズオブジアビス パーフェクトガイド 619P
② テイルズオブジアビス 公式コンプリートガイド 574P
  • 爆発要素はありません。

コンタミネーション現象とは

物質同士の音素と元素が融合する現象のこと。

ジェイドは生物と無機物の元素の違いを利用し、右腕の表皮に槍の元素と音素を融合させることで、必要なときに槍を具現化できるようにしてある。普通なら拒絶反応を起こしかねない危険な技術だが、制御可能なのはさすがジェイドといったところ。また、ルークが受け取ったはずのローレライの宝珠を見つけられなかったのも、コンタミネーション現象によってルークの体内に宝珠の音素が紛れ込んでしまったためである。
テイルズオブジアビス パーフェクトガイド 615P
  • コンタミネーション現象では直感的に理解しづらく、名称の割に簡素な意味なので、簡略化して『融合』と表記させていただきます。

音素(フォニム)乖離とは

身体を構成する音素(フォニム)と元素の結びつきが離れ、細胞レベルで身体が崩壊してしまうこと。

ルークがこの症状であると医師から宣告されるが、これはレムの塔最上階で瘴気を中和するべくローレライの力を使ったため、体中のフォニムを極限まで消耗させたことが原因であった。
テイルズオブジアビス 公式コンプリートガイド 574P



アッシュについて

アッシュの大爆発現象は不完全

早速ですが、アッシュが死亡する場面から始めていきたいと思います。
記載した用語解説の『同位体とは』や『大爆発現象とは』にある通り、完全な大爆発現象(以下大爆発)を起こすには音素乖離して力尽きなければならないのだと思われます。

① 被験者側にゆるやかな音素乖離がはじまり、やがてそれによって被験者が力尽きると被験者とレプリカの間に特殊なコンタミネーション現象が起こる可能性があるというもの。
しかし、完全な大爆発が起きるには、コンタミネーション現象にほかの物質や音素が混じらないよう、ある特殊な力場が必要となる。
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② 正確に大爆発が起きるには、特定の条件の元、あらゆる不測の事態が取り除かれていなければならないが、実験以外でそのような状態が作れるとは思えないため、疑問視されている。
③ 完全同位体の被験者に発症するもの。同じ存在であるレプリカの情報を回収するため、音素乖離してレプリカを吸収し、オリジナルと再構成する現象。
上-同位体とはより
下-大爆発現象とはより
力が失われていく現象は現れたが、
アッシュは音素乖離による死亡ではなく、剣で貫かれたための外傷に起因した死

そのため、本来ならば大爆発は…

  1. オリジナルの力が徐々に失われる(大爆発の開始)

  2. オリジナルが音素乖離によって肉体ごと消滅

  3. レプリカとのコンタミネーション現象(以下融合)が発生(大爆発の終了)
    音素乖離したオリジナルがレプリカの体へ入り込み、
    正常に進行すれば人格の上書きが成され、レプリカは記憶だけの存在に

とされていますが、アッシュの場合は1と2の間で死亡してしまったため、本来消え去るはずの肉体が残ってしまい、この通りには進んでいません。
まず知らなきゃいけない事はどうやら1と2の間🎸のようです。
理論は存在しているが、理論に当てはまらない不測の事態が起きていることを念頭に置いておいてください。

音素乖離の必要性については語られませんが、『何故音素乖離が必要なのか』を考えると、恐らく自身を構成する情報を全て渡すには肉体も含めて全身を細かなパーツに分解しなければならないのだと思います。
ローレライの剣と宝珠を第七音素に分解された状態でアッシュとルークが受け取っていたり、ヴァンが取り込んだローレライの力をシンクに分け与えたり、音素として他者に何かを与える場面は作中でも描かれています。

ジアビスの世界では万物全てが『元素と音素』『音素振動数』『結合』で構築されており、それらの微細な違いによって個体差が生まれます。人体も例外ではありません。
レプリカはこのうちの『結合』を第七音素のみで行なっており、そこが通常の人間と異なる点になります。人間の場合もこの結合は音素が担いますが、第七音素を使わないので、使われる音素の種類が違うのでしょう。

ジェイド「……レプリカは原子の結合に第七音素だけが使われている。彼らの命を使えば、第七音譜術士の代わりにはなるでしょうね。彼は増幅器となるローレライの剣も持っていますし」
ルーク「あいつ! レプリカたちと心中するつもりなのか!」
あらすじ89 ベルケンドより

音素、元素、細胞、粒子、そうした物質の最小単位…かは分かりませんが、そのレベルにまで全身をくまなく分解させ、外部から人体のフォンスロットを介して音素を取り込む譜術と似た要領で、もう一人の完全同位体へフォンスロットを通じ、音素など自身を構成する要素を送り込む事で、初めて人格の上書きをも可能とする『完全な大爆発に必要な融合』が完了するのだと推測します。

事実、大爆発は『音素乖離してレプリカを吸収し、オリジナルと再構成する現象』で、音素乖離は『細胞レベルで身体が崩壊してしまうこと』と記載されており、合わせると『音素乖離で体を崩壊させて吸収等を行う』と読む事が出来ます。
ですが、アッシュは音素乖離で体が崩壊したわけではありません

レプリカネビリムは第七音素を用いらず、第一から第六音素で作られましたが、その際に一部の音素が欠落したため、精神の均衡が保てなくなりました。
彼女は総量というよりは結合に使われる属性の欠落のようですが、ただでさえ不純物が混じらない環境を作るなど、大爆発には綿密な下準備が必要なのに、肉体の分の音素が欠けても特殊な融合には影響がないと言うのは難しいはずです。

理論から外れた進み方となれば、後の工程が上手くいかない可能性が高まるのは自然なことでしょう。

ティア 「大佐。一つ気になることがあります。レプリカは元素の結合を第一から第六の音素に頼らず、全て第七音素でまかなっていた筈では?」
ジェイド「ええ。だから第七音素が乖離するとレプリカは消滅しますね」
アニス 「んんん? でもネビリムは第一と第六の音素を補充するって……」
ピオニー「ネビリム先生は生物レプリカの第一号だ。当時は技術も違っていた。そうだったな?」
ジェイド「ええ。基礎を譜術の理論で構築していましたし、先生のレプリカは譜術で作りましたから。この方法で生物レプリカを作ると一部の音素が欠落してしまうんです。結果、精神の均衡が保てなくなって破壊衝動に襲われたり、ある種の能力だけが異常発達する……」
ルーク 「ネビリムのレプリカもそうだったんだな」
ジェイド「ええ。そこでディストと共に改良を加えて、第七音素だけで全てをまかなうようにしたんですよ」
サブイベント『ネビリム(撃破後)』より

明確に区別された死に方

ジアビスの世界では『死に方』に3つのパターンがあります。

  • 死亡するが、音素乖離せずに死体が残るパターン
    これはリグレット、ラルゴに抱き抱えられて去っていくアリエッタ、い組やめ組、アッシュの周りで横たわっている神託の盾騎士団達などのモブ達です。この場合は死体が残ったまま作中から退場していき、光を発して消え去る描写はされません。

ラルゴに抱えられて去るアリエッタ


  • レプリカが音素乖離するパターン
    作中ではイオン、シンク、レムの塔のレプリカマリィやレプリカモブが該当し、皆一様に力尽きると黄色い光を発して消え去ります。

障気を消すために犠牲となったレプリカマリィ


  • レプリカ以外が音素乖離するパターン
    作中では人間であるラルゴ、バチカル廃工場のアヴァドン、ザオ遺跡のティランピオンが該当します。こちらは青白い光を発して消え去ります。
    レプリカと差別化されており、人間のラルゴも魔物も同じ消え方をするので、第七音素を含まない一般的な生命体の音素乖離はこれに属するのでしょう。

    注意点として、この光はフィールドで戦闘する人間や魔物の共通撃破エフェクトと同じです。戦闘中はレプリカと名のつく敵を倒して発する光であるため、この光の使い分けはムービーのみに適用する話📽とさせていただきます。

プラネットストームの流れに巻き込まれたのか音素乖離するラルゴ


こうして見ていくとワイヨン鏡窟に登場した『チーグルの実験に登場するオリジナルのスター』は音素乖離を起こしたのでしょう。火の吹き比べ🔥からも体に認識票を付けたオリジナルの能力はしっかりと弱まっており、融合後にはオリジナルの体が無くなっていることから、無事音素乖離によって体が消滅したのだと思います。

死体を長時間放置すれば白骨化せずに音素乖離を起こすのかもしれませんが、少なくともアッシュは1番であり、作中で体が消えることはありません

アッシュは記憶だけの存在へ

アッシュが死亡すると、同時にアッシュの音素がルークへ流れ込みます。
この死と融合を持ってアッシュの大爆発は終わったと考えます。

自身の音素をルークへ渡すアッシュ


ルークは『温かいものが全身に降ってきたような』とその瞬間を感じ取っており、アッシュの音素が融合したことで第二超振動が使えるようになりました。
第二超振動は超振動に超振動を和えるだけの簡単レシピ🥗です。アッシュが離れた位置で生きていたら成せるものではなく、大爆発のゴール地点はこの融合(コンタミネーション)です。

アッシュの音素と融合するルーク


アッシュの死因を映像で覚えていることや、ヴァン撃破後にルークがジェイドと握手🤝する際もジェイドの左手🫲に対して、左利きのルークがアッシュの利き手である右手🫱を出しかけたことからも、アッシュの記憶を持っていることは間違いないでしょう。

アッシュの利き手である右手で握手を交わそうとしたルーク

しかし、ルークとの融合は行われたものの、人格の上書きは見られません
大爆発現象が不完全であろうことは先に述べましたが、特殊な融合を起こすには『他の物質や音素が混じらないようにする特殊な力場』も必要とされています。

アッシュが融合した瞬間を後述するルークの状況と比較すると『特殊な力場』のイメージとは大きくかけ離れており、音素乖離、融合ともに上手くいかなかったためにアッシュを構成する音素の一部が欠如してしまい、上書きには至らなかったのはないかと考えます。

結果、ルークの体はルークが主人格であり続け、アッシュはあくまでルークに宿した音素やそれに伴った力、記憶だけの存在に留まったのです。

ディスト「……記憶は残るのですよ」
ジェイド「いえ、記憶しか残らないんですよ」
サブイベント『コンタミネーション4』の一部より

とあるサブイベントの会話もこの件に関係していますが、そちらは後半にある『ジェイド、ディスト、スターについて』で詳しく触れたいと思います。

左右非対称の像の意味

アッシュと一騎討ちした部屋では奥の扉の左右に巨大な像🗿が立っています。
後のムービーで剣で貫かれたアッシュが手前の壁に寄りかかると視点がズームアウトしていき、アッシュの奥には髪の長い像、反対側にはルークを指しているかのような髪の短い像が見えてきます。

左がルーク、右がアッシュと捉えられる像と床が崩れて落ちていくアッシュ

この像については二つの解釈が出来ます。

一つは肉体の崩壊を意味している、というものです

この肉体の崩壊というのは死を指すものではなく、あくまで外見上の問題です。
この短髪の像(ルーク)が崩れるのはルークが地核へ降下する時であり、直後にルークは音素乖離を起こして肉体を失います。長髪の像(アッシュ)は最後まで崩れず、アッシュの体も消え去ることはありません。

精神(主人格)の崩壊とするならアッシュがルークと融合した時、どんな説であっても片方が崩壊を起こして良いはずで、短髪の像が崩れるタイミングの説明がつかなくなります。
ですが、ルークに入ったアッシュは終始表に出てこず、意識があるとは言えない状態。水面下で生きているということにするのも難しいのではないかと思います。


もう一つはアッシュの体へ音素乖離したルークが入っていくことの示唆
です。
短髪の像(ルーク)は体が崩れない長髪の像へ、まるで手を伸ばして助けを求めるかのように体が崩れていきますが、長髪の像(アッシュ)は崩れる短髪の像に手を差し伸べ、覆い被さるようにして倒れていく風にも見て取れます。
後の展開ではこの像の通り、ルークは音素乖離によって体が崩壊し、アッシュの体があったことによって青年として助かる道が生まれます。

崩れ方は多種多様な表現方法があるはずです。
片方がもたれかかってその衝撃でもう片方も砕けたり、天井から瓦礫が落ちてきてその場で粉々になったり、後ろや手前に倒れても良いでしょう。
短髪の像だけが真っ二つに切られたかのように不可思議なスライドをし、二つの像が倒れながら互いに引き合っていく描写を見ると、そうした意味があるのではないか、と考えずにはいられません。

人によっては『体を失ったルークの記憶をアッシュが受け取ろうとする図』などの見方も出来ると思うので、こちらはやや説得力に欠ける解釈かもしれませんが、このように像の立ち位置や挙動から『体が崩壊するもアッシュの体を借りることで救われるルークと、崩壊しなかったことで図らずもルークを救ったアッシュを例えているもの』として捉えることも出来るのではないでしょうか。


ルークについて

ゲーム版とアニメ版で描写が少し異なりますが、全てゲーム版に準拠します。

音素乖離と特殊な力場を揃え、アッシュの体と融合するルーク

アッシュに起きた現象は整理できたので、次はヴァンを倒して第七音素の意識集合体ことローレライを解放しに行く場面から始めていきます。

【ローレライ】
第七音素の意識集合体で、星の運命を預言する存在。音素振動数は、πと同じで無限である。プラネットストームによって誕生し、それによって地核に閉じ込められた。地核から解放されて、音譜帯の7番目の層になることを望み、自分と同じ音素振動数を持つルークやアッシュに呼びかける。ヴァンが地核に落ちた際、音素乖離を起こしていたヴァンとの間にコンタミネーションが発生し、一部をヴァンが取り込んでしまう。残りはヴァンの制御下に置かれ、エルドラントに吸い上げられるかたちで施設を動かすエネルギーとされていた。
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ヴァンとの融合は偶然ではなく、大譜歌によって契約が交わされたため。
テイルズオブジアビス パーフェクトガイド 623P
ルーク「そうか……。ローレライの鍵で解放してくれって言ってたもんな」
ティア「ユリアの伝説通り、鍵にローレライそのものを宿して、成層圏の遙か上空にある音譜帯へ導くのね」
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ルーク 「良かったな。七番目の譜歌を思い出すことが出来て」
ティア 「ええ……。どうして忘れていたのか、自分でも不思議だわ。兄さんが子守歌代わりに、ずっと唄ってくれていたのに……」
ガイ  「これで譜歌は、大譜歌として成立するんだな」
ナタリア「ローレライの鍵とあわせれば、ローレライを目覚めさせることができる」
ティア 「私の大譜歌で兄さんの中のローレライを起こし……」
ルーク 「俺の剣で、師匠の中からローレライを移して宿す」
アニス 「うん。これで総長と渡り合えるかもだよね」
あらすじ81 ロニール雪山より(上)
スキット『最後の譜歌』より(下)

ローレライの鍵を使って地核へと降下していくルーク。
その途中で鍵に宿していたローレライを譜陣から解き放ち、これによってローレライは遥か上空にある音譜帯へと昇っていきます。

解放されるローレライ

その後、ルークはレムの塔で使った超振動の影響から、体が限界を迎えて音素乖離を起こし始めます。アッシュを抱えるルークの体がひどく透けていることからも間違いないでしょう。

地核の中は『記憶粒子(セルパーティクル)』で満たされており、地核を経由して音素を循環させるプラネットストームを停止させてあることから、干渉する音素や不純物が限りなく少ないはずです。
地上とはまるで異なる環境であり、アッシュの体を受け止めた場面ではローレライの鍵で作られた譜陣の力で瓦礫を弾く様子も見られるなど、他の物質や音素が混じらない(であろう)特殊な力場が確かに形成されています。

ルークの場合は完全な大爆発に必要な『音素乖離』と『特殊なコンタミネーション現象(融合)に必要な力場』の二つが揃いました。

ここから音素乖離が起きると同時にルークがアッシュの体と融合し始めます。

この時にルークの腕がアッシュの体に触れている所から黄色い光が広がっていく様子が分かるでしょうか?

音素乖離を起こし、アッシュの体と融合していくルーク

これは第七音素が伝わっていく様子を表しており、黄色い光がアッシュの左手へ達した時に指がピクリと動くのは、ルークの意識が入って利き手を動かしたことを意味しているのだと思います。
つまりルークは音素乖離を起こすと同時に、アッシュの体へ乖離した自身の第七音素を流し込んでいるわけですね。

音素乖離せず死亡してしまったために、離れた場所から1回で渡せるだけ渡したアッシュとは全く違う現象が起きていることは一目瞭然でしょう。

何故この光が第七音素と断言できるのか?
それは第七音素が絡む描写ではこの色の光が随所に見受けられるからです。

第七音素の色は基本的に黄色です。ローレライとアッシュにはオレンジ色や朱色も見られます。

  • ルークが融合時に渡している音素は黄色、
    アッシュが融合時に渡した音素はオレンジ色か朱色であり、
    ローレライはオレンジ色を中心に、黄色や朱色が混ざる色
    をしています。

  • 曜日の一つである『ローレライの日』は金曜日です。

  • ルークの朱色から黄色にグラデーションが掛かった髪の色も第七音素の色に由来したものである可能性があります。

これこそが『完全な大爆発』なのではないでしょうか。
そしてこの瞬間、アッシュの体とルークの精神が融合したのです。

毛先が黄色がかっている、髪を切る前のルーク

ルークは髪を切ると黄色い部分はなくなりますが、『レプリカに囚われない生き方を見つける』『レプリカという存在からの脱却』をも意味しているのかもしれません。
レプリカであることへの引け目は思っているより長く引きずりますが…。

尚、音素乖離の時点では既にローレライは音譜帯に移動した後であるため、ローレライにルークの第七音素が取り込まれた可能性は低いと思います。

レムの塔後にベルケンドで検査を受け、モブ顔の割にやたら声の良い医者のシュウ🩺から入院を促されますが、『入院しても消滅からは逃れられずに遅らせられるだけ』と言われたことから、消滅するのは時間の問題だったのでしょう。

レプリカがオリジナルに入れる理由

これはルークとアッシュが第七音素同士で引き合ったからだと思います。

ジェイド「ローレライの鍵を送る……というのは、一体、どういう方法なのでしょうね」
ティア 「ローレライの鍵は第七音素で構成されているという伝承です。本当に存在しているのなら、音素状に分解して届けたのでは……」
ガイ  「よく分からないんだが、音素と元素に分解された物質が、意志を持って誰かの元に届くと言うことはあり得るのか? 生物は分解されれば当然死ぬよな」
ジェイド「無機物ですから、再構成は…… まぁ不可能ではないのでしょう。粒子化したローレライの鍵が、正しくルークの元に届くのかと言えば、ルークの固有振動数は第七音素の振動数と同じだとローレライも言っていましたから」
ティア 「同じ音素同士、引かれあう性質が利用されている?」
ジェイド「ええ。いってしまえば、ルークとアッシュ、それにローレライは同じ存在なのです。固有振動数だけを見ればね。不可能ではないと思います」
スキット『ローレライの鍵はどこに』より

同じ属性の音素は互いに引き合う性質を持っています。
作中でもレプリカであるイオンは、パッセージリングの操作盤からティアの体内に流れ込んだ汚染された第七音素を自身の第七音素に引き寄せることで彼女を救いました。

汚染された第七音素を引き寄せてティアを救うイオン

『ユリアはチーグルから第七音素を操る術を学んだ』とイオンが話していますので、第七音素の力を使う場面は見られないものの、チーグルも所謂『第七音譜術士』に該当するのかもしれません。

第七音素はモースのように素養がない者が取り込むと正気を失ってしまうところですが、『実験に使われたチーグル(スター)では第七音素との関係性が分からないのではないか?』という懸念点もクリアできているはずです。

イオン「ユリアはチーグル族から第七音素を操る術を学んだと聞いています」
ミュウ「照れるですの……」
あらすじ7 タルタロス内より

レプリカでない生命体には基本的に第七音素は含まれていませんが、汚染された第七音素を体内から除去出来ずにいたティア、ジェイドの瘴気を消滅させる超振動を起こすなら第七音譜術士を1万人も殺せば発言、素養がなかったモースを見るに、第七音譜術士は体内に第七音素を有している可能性が高いです。

アッシュは死亡した際にルークへ音素を渡していますが、音素乖離していない以上、死して尚肉体を維持するだけの第七音素やその他の音素が残っているのだと思います。

アッシュの体内にある第七音素と引き合ったと考えると、オリジナルがレプリカへ入るだけでなく、レプリカがオリジナルへ入ることも十分可能でしょう。
融合は意識して音素を取り込んだとは言い難い描写ですし、体内に第七音素がなければ引き合う理由がなく、どちらのパターンであっても融合自体があり得ないものとなってしまうはずです。

万が一『音素振動数』が関係していたとしてもルーク達、チーグル(スター)ともに完全同位体であるため、両者の結果に矛盾が生まれることもないでしょう。

青年の再構築はアッシュの体とルークの精神の選択肢しかない

第七音素には傷を癒す力があります。
ティアやナタリアが行使する癒やしの力は第七音素を利用したものであり、地核へ落下したヴァンやシンクも地核にいたローレライの力を利用することで音素乖離を免れています。

ヴァン 「私の体は音素が乖離しながらプラネットストームに吸い込まれていった。消えるのだとそう思った時にユリアの譜歌を思い出し、口にしたのだ。それが契約の言葉だった。ユリアの契約に応え、ローレライが反応した」
ジェイド「乖離しかかっていたヴァンを構成する音素がローレライによって引き寄せられ……」
ガイ  「再構築された?」
ヴァン 「そうだ。ローレライは分解した私の体をつなぎ止めた。だが……存外扱いが難しい。暴れるローレライを眠らせて、ようやくプラネットストームから抜け出すことができた」
あらすじ96 アブソーブゲートより

深刻なダメージを負っていたとしても第七音素、もしくはローレライの力を使うことで回復することが可能である一方、死者や音素乖離で地上から消え去った者を復活させる描写は作中では見られません。
ヴァンですら『乖離しかかっていた』と死の一歩手前で留まっています。

そのため、音素乖離したルークの体を元に戻したり、記憶だけの存在となったアッシュを復活させて精神を取り戻すことは、例え第七音素やローレライの力を持ってしても困難とし、アッシュの体とルークの精神(主人格)でなければ青年として舞い戻ることは不可能であると考えられます。

復活や蘇生の類である『レイズデッド(譜術)』や『ライフボトル(アイテム)』も『戦闘不能状態を回復させる』とありますから、死とは明確に区別されています。
ポケモンで例えるなら『ひんし状態』であり、『イベントで誰か死んでも復活の魔法でいいじゃん!』が通用しないのもこのような理由からでしょう。
『普段からハチャメチャな攻撃を食らっておいて、剣1本で命を落とすとは…』とRPGのタブーにツッコミたくなる気持ちは分かります。

ジアビスの世界には禁忌とした『レプリカ技術』がありますから、記憶を持たない点に目を瞑れば蘇生に等しい行為は可能ということになります…が、エンディングでやっていることではありませんね👓


青年について

青年の邂逅はティアが大譜歌を詠ったから

青年が現れるのはローレライを解放してから2年後、ルークの成人の日です。
ティアが譜歌を詠い終えるとローレライの鍵を持った青年が現れます。
ユリアの譜歌には次のような説明がされています。

【ユリアの譜歌】
ユリアが残した譜歌のこと。通常の譜歌と違い、譜術と同等の力を持つ。譜歌は1番目から7番目まであり、譜に込められた意味と象徴を正しく理解したうえで歌わないと、術として完成しない。この譜歌はフェンデ家に代々受け継がれており、譜と旋律を知っていても一般の音律士には歌うことはできない。ヴァンはティアに子守唄としてこの譜歌を覚え聴かせていた。
ユリアの譜歌はローレライとの契約の証であり、1番から7番までを通して歌うとローレライとの契約の証である大譜歌が完成。大譜歌とローレライの鍵を組み合わせることで、ローレライを召喚し、その力を操ることができる。
テイルズオブジアビス パーフェクトガイド 621P

ティアが詠った譜歌は7つ通して詠われた『大譜歌』であり、ヴァン同様にローレライとの契約は成立するであろう他、大譜歌と鍵の二つがあるわけですから、ローレライを召喚し、その力を操ることも不可能ではないと思われます。
このことからティアとローレライで契約が交わされた、またはローレライの召喚に必要な大譜歌と鍵が揃ったおかげでローレライの力を扱える条件が整い、青年の治癒や再構築を助けたのだと推測します。

地上のティア、地核の青年、上空のローレライでは互いに距離があり、悔しいところではありますが、似た例と比べても一致させられる描写がなく、どのような経緯を辿って復活したのかハッキリと断言することは難しいです。

ヴァンを例にすると『契約はローレライのいる地核で行われたこと』や『体内に一部を取り込んで治癒が行われたこと』、そして『契約を交わせば目に見える形で力を扱わなくても契約者(ティア)の願い通りに事を成してくれるのか?』が分かりません。

ユリアを例にすると『契約の時と鍵にローレライを宿す時で二度、大譜歌を用いているように見受けられること』と『召喚の条件を満たしていても一度で力を操るところまで行き着くのか?』など不明瞭な点がどうしても出てきてしまいます。

ただし、ルークが完全な大爆発に成功したとしてもアッシュの体は満身創痍。
元々ルーク達は治癒術を使えないため、これ以外の可能性は考えられず、第三者によるローレライへの干渉なくして復活できるビジョンが見えません。

もし肉体に異常がなければ、チーグル(スター)の例を見ても恐らく融合しても治療行為は必要ないはずで、自らの力で地核から抜け出すことも可能でしょう。
『力を操る』の根拠を弱めてしまう形にはなってしまいますが、指ピクのことから生きてはいても昏睡状態に近かったのではないかと考えます。

地核の安全性に関しては当のローレライも音素乖離の前に音譜帯でプカプカ🏄‍♂️しており、地核には第七音素を含むその他の音素はほぼ残ってないと見て良いと思いますし、シンクもある程度の期間を地核の中で過ごしていました🏝から、2年という長い歳月を彷徨ったとしても、記憶粒子しかないであろう(エンディング時点の)地核なら、体の音素と引き合いかねない外部の音素が混入する可能性も極めて低く、アッシュの体は音素乖離を起こしにくい状態であると解釈します。

(第一)超振動には『あらゆる物質を破壊し、再構築させるこの現象』とあるのですが、物質の破壊はしても再構築をする描写を見た記憶がなく、超振動で再構築ができるのか分かりません。
大気中の第七音素に干渉して超振動を使ってきたのなら、尚更地核には第七音素が殆どないと思われるので、それも合わせて念の為こちらは考慮しないものとしたいと思います。

その他にも文字や映像など分かる形でローレライの力を使ったのは譜歌で契約したヴァンとユリアのみで、契約せずにローレライ自ら力を与えることはありません
シンクはヴァンよりも先にローレライがいる地核へと落下しましたが、直接ローレライの力を授かることはなく、ヴァンから延命処置として力を少し分け与えられただけでした。

また、レプリカは体の結合を第七音素が担っているため、第七音素の影響も人間より多く受けます。
ルークが音素乖離する前であればローレライが力を貸すことで、ヴァンのように乖離を免れることも出来たのかもしれませんが、それをしなかったとなるとローレライの力を借りるためには大譜歌が必要だったのだと思います。

ルーク 「だけどいくらローレライの宝珠が、音素に分解された状態で届いてたからって、それを自分の中に取りこんでしまうって、こんなのよくあることなのかな」
ジェイド「コンタミネーション現象だと思います」
ティア 「ですが、あれは特殊な譜術で刺激しないと起きないのでは?」
ジェイド「レプリカは音素が乖離しやすい。それは同時に音素が混入しやすいのです。周波数が近い音素なら、安易に体内に取り込んでしまう」
ガイ  「そうか。宝珠は第七音素で出来てるから、ルークの第七音素と混じりあっちまったんだな」
ティア 「では、ルークはコンタミネーション現象が起きやすい体質なのですか?」
ジェイド「ええ、そうです。それに、ルークと第七音素は音素振動数が同じですからね」
スキット『ローレライの宝珠』より

アニメ版用語解説には大譜歌に『ローレライの力を引き出せる』とも記載されていますので、これを参考にするのならやはりルークには『力を貸してくれなかった』のではなく、『力を貸せなかった』のかもしれません。

始祖ユリアが、ローレライと契約したときに詠ったとされる譜歌。全部で7つあるユリアの譜歌は、歌に込められた意味と象徴を理解しないと効果を発揮しない。しかし、7つとおして歌うことで譜歌は大譜歌となり、ローレライの力を引き出せるといわれている。
アニメ版第26話のあらすじより


青年はタタル渓谷のセフィロトを通じて地上へ戻った

パーフェクトガイド 590-591Pより、オールドラント構造図

青年が現れた場所、タタル渓谷には大地に点在する強力なフォンスロットである『セフィロト』の一つがあります。
その証拠にフォンスロットに群生しやすい『セレニアの花』と呼ばれる夜にしか咲かない花も存在しており、このフォンスロットからは地核内部にある記憶粒子が地上へ向けて吹き出しています。

外殻大地を降下させた時にセフィロトから生成される『セフィロトツリー』は崩壊してしまいましたが、エルドラントはレプリカのセフィロトのおかげで浮上していましたから、外殻大地を降下させてもセフィロトの機能が失われたわけではないはずです。

プラネットストームの根幹を担うラジエイトゲート、アブソーブゲートもセフィロトに含まれるので、基本的な流れは地核からアブソーブゲートのセフィロトを通じて戻ってきたヴァンと相違ないと思われ、ルーク達が地核にいたとしても、タタル渓谷にあるセフィロトを通じて地上へ戻ることは十分に可能であると考えます。

些細なことになりますが、例えセフィロトを通じて水辺に出たとしても『セフィロトが吹き上げる力で水が弾かれ、濡れることはない』とティアが話していたので、『感動のシーンなのにびしょ濡れのまま💦』なんて心配もしなくて大丈夫でしょう。

ルーク「うわっ、いきなり水の中かよっ!?」
ティア「大丈夫。濡れたりしないわ」
ルーク「どうなってるんだ?」
ティア「セフィロトが吹き上げる力で水が弾かれるらしいわね」
あらすじ32 アラミス湧水洞より
【タタル渓谷】
セフィロトのひとつがある場所。超振動を起こしたルークとティアが飛ばされた旅のはじまりの場所でもある。
http://www.tv-toa.jp/story/14.html
【セレニアの花】
① フォンスロットに群生しやすい白い花。夜になると咲き、淡い光を放つ。陽の光の差し込まない魔界で繁殖する、ただひとつの花である。

② 太陽光の届かない魔界(クリフォト)で咲く、唯一の花。タタル渓谷にも自生している。
① テイルズオブジアビス パーフェクトガイド 617P
② テイルズオブジアビス 公式コンプリートガイド 573P
【セフィロト】
通称、星のツボ。星の音素が集中し、記憶粒子が吹き上げているポイントのこと。大地のフォンスロットの中でも、特に記憶粒子の放出量が多い10ヵ所のフォンスロットを総称して、セフィロトと呼ぶ。このセフィロトの所有権を巡り、創世暦時代初頭にセフィロト戦争が勃発した。
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場所はラジエイトゲート(1番-停止)、アブソーブゲート(2番-停止)、シュレーの丘(3番)、ザオ遺跡(4番)、アクゼリュス(5番-消滅)、タタル渓谷(6番)、メジオラ高原(7番)、ホド(8番-消滅後レプリカ作成)、ザレッホ火山(9番)、ロニール雪山(10番)です。
テイルズオブジアビス パーフェクトガイド 617P

ホドを見渡せるの意味

「ここからなら……ホドを見渡せる。それに……約束してたからな」

青年の言う『ホド』は様々な解釈が出来るので明確にすることは難しいです。

解釈の例としてはエルドラントを『ルークから見たヴァンの墓』とするか、
『ルークから見たアッシュの墓』とするか、
『ローレライから見たユリアの墓』とするか、
タタル渓谷から見たエルドラントかホドに関連する何かの思い出、です。
今までルークとアッシュの話をしてきましたが、ローレライも彼らの完全同位体です。
完全同位体だからこそチャネリング(便利連絡網)が使えたわけで、ローレライの剣と宝珠を渡せたのもこれが理由です。

エルドラントは言わずもがなヴァンが散っていった地、それを墓と捉えることも出来ます。ヴァンを意識した言葉だとしてもおかしくはありませんが、ヴァンの墓というのは元々ティアの部屋の奥にあるセレニアの花畑にあります。
これはアブソーブゲートでヴァンを倒した後に作られ、ルークも一度目にして祈りを捧げています。


アッシュは記憶だけの存在とはいえ、ルークとともに在りますから、エルドラントを墓としてしまっていいのか、墓を作るならバチカルではないかと考えてしまいます。

おまけにタタル渓谷から見えるのはホドのレプリカである『エルドラント』です。
消滅したホド一帯を眺められるスポットにはなりそうですが、ルークやアッシュもモースが世界へ向けて声明を発表してからは『エルドラント』と呼んでいますし、二人とも生まれも育ちもホドとは無縁です。

そんな中でローレライは唯一ホドと大きな関係があります
それはユリアがホドの生まれであり、彼女が眠る地もホドということです。
ユリアは大譜歌を詠い、ローレライと契約を交わした後、その力を使ってローレライの鍵を作り、人類の存続と発展に大きく貢献しました。
事実、レプリカと言えどエルドラントには『ユリアの墓』が存在しています
ローレライの記憶があるとすれば『ホド』と認識しても何も問題はありませんし、ティアの大譜歌が青年に影響を与えたのなら、尚の事ローレライが関わっているはずです。

しかし、ルークの目線でエルドラントをホドと呼ぶことにも懐疑的ですが、ローレライは第七音素そのもので、星の誕生から消滅までの記憶を有しています。
ローレライならホドを呼ぶことに違和感はありませんし、ヴァンはローレライの一部を体内に取り込んでいたので『一部だけ混ざった』といった解釈も出来はしますが、『混ざる記憶のスケールが大きすぎないか?』という懸念もあり、やはりハッキリさせることは出来ません。

ルークはアブソーブゲートでプラネットストームを流れる音素と融合しかけ、地核に引きずり込まれて星の記憶の一部を垣間見たこともあり、こちらも関係ない描写だとは思いません。

アブソーブゲートを閉じるためにローレライの宝珠を使った瞬間、俺は吸い込まれるように地核へ流れ着いていた。よくわからないけど、多分プラネットストームの流れに俺の体が乗ってしまったんだろう。俺は音素乖離を引き起こしかけていたから、いろいろなものと融合しやすくなっているのかも知れないな。

地核で俺は、見る筈のない様々なものを見た。たとえばヴァン師匠が、ローレライを封じる瞬間や、シンクを助けた場面。これは星の記憶なのかも知れない。最後に、アッシュがシンクと闘っているのが見えた。俺がアッシュに助けに行くことを伝えた瞬間、俺は元のアブソーブゲートに戻ってきていた。

アブソーブゲートは無事に閉じられたみたいだ。よし、星の記憶が教えてくれた通り、アッシュが危険だ。助けに行こう。
ルークの日記『預言の犠牲者』より

地核にある記憶粒子は星の記憶を有していますが、預言の場合は記憶粒子を元にした第七音素を体内に取り込んでそれを詠むので、原理が同じなら地核に2年間いたとしても記憶粒子の段階で星の記憶を見ることが出来るのか疑問ですし、仮に第三者視点で記憶を遡ったとして『そこまでホドとして意識するのだろうか…』とも思います。
(ちなみに取り込んで詠み、体外へ第七音素を放出した結果、結晶化して現れる物体が譜石です)

筆者としては『ローレライの記憶が一部混入』か『地核の記憶粒子から星の記憶の一部を見た』に可能性を感じていますが、どちらも自信はありません🥺
ただ、青年の製造工程や主人格には関わらないので、ここは曖昧であっても青年の話には影響はないと考えます👷‍♂️

ローレライが主人格になる可能性を考える人もいるかもしれませんが、それはローレライの目的を考えると0に近いと思います。
自身が地核に留まっていると星に悪影響を及ぼすことから、地核から解放されて遥か上空にある音譜帯の七番目になりたかったのがローレライです。人の身になって地上へ降り立つことは初めから望んでいません。

パーフェクトガイド 592Pより、音譜帯拡大図
ローレライは音譜帯の七番目の層となることを望んでいる。アッシュはそれを叶えるため、ローレライの剣を鍵として完成させる必要があるから、ローレライの宝珠を探しているらしい。そして案の定、俺が宝珠を受け取り損ねたことをなじってきた。
ルークの日記『雪山で見つけたもの』より

また、ローレライはルークやアッシュと明らかに異なる口調で話します。
『約束してたからな』などと砕けた言い方をユリアが聞けば『ローレライはそんな事言わない!🤜💥』『解釈違い🙅‍♀️』と言い出すに違いありません。

ヴァンが自身の体にローレライを閉じ込めた際には、不足した第七音素を補おうとしてプラネットストームが活性化してしまう問題が生じました。
エルドラント進軍に伴ってプラネットストームは停止させてありますが、ローレライそのものが人の身に宿っても何も起こらないとは限りませんし、ルークらと融合して世界から消え去るようなこともしないでしょう。

青年の約束はティアとの約束

『ティアとルーク』『ルークとアッシュ』『ナタリアとアッシュ』が想定されますが、この時の『約束』はティアとルークの約束でしょう。

アッシュ「ここは俺がくい止める! 早く行け!」
ルーク 「俺も一緒に戦う!」
アッシュ「ざけんじゃねぇ! 今大事なことはここの奴らを一掃することか? 違うだろうが!」
ルーク 「だけど俺が鍵を持っていったらおまえの武器は……」
アッシュ「そんなものは敵から奪えばいい! 早くしろ!」
ルーク 「……約束しろ! 必ず生き残るって! でないとナタリアも俺も……悲しむからな!」
アッシュ「うるせぇっ! 約束してやるからとっとと行け!」
あらすじ102 一騎打ち後より

ルークとアッシュの場合は『一人で戦わせてしまうけど無事に生き伸びてくれ』『生きてまた会おう』という意味合いのはずですから、アッシュの約束は守られなかったと見て良いと思います。
アッシュが死亡した後のイベントやスキットではルークやナタリアが悲しむ描写も挟まれており、悲しまなかったということもありません。

おまけに約束を果たすためにアッシュが青年として戻ったとするなら、それは『生き残る』ではなく、『生き返る』になりますし、ルークとアッシュの約束なのにルークが欠けてアッシュだけが戻る形になってしまっては、約束を果たしたと言うのは難しいと思います。

ナタリア「ル……アッシュ。覚えていまして? 子供の頃ベルケンドの視察へ一緒に参りましたわよね?」
アッシュ「……ああ。大人になったら二人で来ようって、おまえから指切りをせがまれて……。」
ナタリア「でもあなたは、指切りなんて意味はない、父上は約束を守ってくれたことがないと仰ってむくれてしまいましたのよ。それでガイと一緒に私を置いて遊びに行ってしまって……。」
アッシュ「……昔の話だ。」
ナタリア「でも、約束は果たせましたわ。こうして、二人でまたこの街におりますもの。違いまして?」
アッシュ「それはルークの約束だ。……今の俺はルークじゃねぇ。」
ナタリア「いいえ……。あなたは昔のままのルークですわ。私には……わかりますもの……。」
あらすじ28 ベルケンドのスキット『約束』より
ナタリア「約束しますわ。 ちゃんと降ろすって! 誓いますわ」
アッシュ「指切りでもするのか? 馬鹿馬鹿しいな」
ナタリア「アッシュ……!」
アッシュ「世界に絶対なんてないんだ。だから俺はあの時……。……俺は行くぞ。おまえらもグズグズするな」
あらすじ47 砂漠のオアシスより

アッシュは過去の経験から約束を軽視したり、守らない傾向にありますが、ルークは約束を守ります。
アクゼリュスで超振動を起こすことを秘密にするというヴァンとの約束。
過去の話(ネビリム関連)を人に言わないというジェイドとの約束。
無事に帰るなら外に出て仲間に会いに行っても良いという母親との約束。
ローレライを解放するというアッシュとローレライとの約束。

中には悪い方へ作用してしまったものもありますが、守ったか否かに観点を置けばどの約束もちゃんと守られています。

ナタリア「アッシュ……! どうしてここに……」
アッシュ「スピノザを捜して……ちょっとな。おまえこそ、こんなところで何をしてる」
ナタリア「私は……」
アッシュ「バチカルへ行くんじゃないのか?」
ナタリア「知っていましたの!?」
アッシュ「……怯えてるなんて おまえらしくないな」
ナタリア「私だって! 私だって怖いと思うことぐらいありますわ」
アッシュ「そうか? おまえには何万というバチカルの市民が味方に付いているのに?」
ナタリア「……わかっています、そんなこと」
アッシュ「……―― いつか俺たちが大人になったらこの国を変えよう。貴族以外の人間も貧しい思いをしないように戦争が起こらないように」
ナタリア「……死ぬまで一緒にいてこの国を変えよう」
アッシュ「……あれは、おまえが王女だから言った訳じゃない。生まれなんかどうでもいい。おまえができることをすればいい」
ルーク 「(……俺も帰ろう)」
あらすじ59 シェリダンより
ルーク 「プロポーズの言葉。俺、知らなかったんだもんな。思い出せる訳なかった」
ナタリア「……聞いていましたでしょう。あの時」
ルーク 「《?》」
ナタリア「シェリダンで」
ルーク 「げ……ばれてたのか」
ナタリア「言ってみて、下さいません?」
ルーク 「な……なんで……」
ナタリア「……それで……私、色々なことから決別できるような気がしますの」
ルーク 「……いつか俺たちが大人になったらこの国を変えよう。貴族以外の人間も貧しい思いをしないように戦争が起こらないように。死ぬまで一緒にいてこの国を変えよう」
ナタリア「……ありがとう。私、あなたが誰なのかなどともう迷いませんわ。王家の血を引かない事実を受け入れたように、あるがままあなたを受け入れます」
ルーク 「ナタリア……」
ナタリア「あなたも私の大切な幼なじみですわ。一緒に生き残って、キムラスカを良い国に致しましょう」
ルーク 「ああ、ありがとう」
あらすじ70 ケテルブルクより
ナタリア「私、ずっと思っていましたの。アッシュがキムラスカに戻ってきてルークと二人でお父様を支えてくださればいいのにと。でも私は間違っていたのですね。あなたとアッシュにはそれぞれの生きる道があった。それを私が、無効となった約束で縛り付けていたのですわ。今あなたの中にはアッシュがいる。以前の私なら、あなたとアッシュを混同していたかもしれません。でも、あなたはあなたですものね。ですから、あなたはあなたの思うままに生きて下さい。その為に私は、全力であなたを手伝いますわ。あなたの幼なじみとして」
あらすじ105 ヴァン戦前の階段より

ナタリアとの約束(プロポーズ)は『幼い頃の元ルーク(現アッシュ)がした約束』である上、アッシュはアッシュと名乗る前の自分がした昔の話と捉えており、ナタリアも『過去のもの、無効となったもの』として決別しています。

また、ナタリアも最終的にはアッシュを待っているのではなく、ルークとともに在ると捉えています。
それでも尚アッシュと混合しないでルークを一人の人間、無二の存在と認めて、必要とあれば彼の力となる道ないし未来を選んでいますから、青年の約束はナタリアとアッシュのものではないでしょう。

これは元ルーク(現アッシュ)がした約束であって、レプリカが生まれる前の話ですから、現ルークの約束には入らないとカウントしますが、これも現ルークが代わりに責任を取るというのであれば『ルークがこれから果たす約束』と見て、『それにはルークが生きていなければならない』として青年の正体を後押しする解釈をしても良いと思います。

国を変えたり、戦争を起こさないことは出来たとしても『死ぬまで一緒にいよう』が国を支えていく王族では収まりきらないのなら、そこだけは難しくなると思われますが🥲

ティア「……必ず帰ってきて」
ルーク「ティア……」
ティア「必ず。必ずよ。待ってるから。ずっと。ずっと……」
ルーク「……うん、わかった。約束する。必ず帰るよ」
あらすじ105 ヴァン撃破後より

ティアとの約束であればティアとルークの両名が生存し、『待っている人と帰る人』の構図が成り立つので、自信を持って約束を果たしたと言えるでしょう。

生きたいルークと心の整理がついたアッシュ

二人とも『自分は死ぬ、音素乖離したその先はない』と思っていますが、未来に対する心構えは真逆です。

ルークは再三に渡って『生きたい、死にたくない😰』と言い続けてきました。
反対にアッシュは『スピノザによる少女漫画並みに端折られた大爆発の説明』によって誤解し続け、命が少しずつ削られていく状況に長期間晒されていたせいか、無駄死には避けたい様子ですが、ローレライ解放のためなら死ぬことに対して戸惑いは見られません。

アクゼリュスの件でヴァンに裏切られ、ルークに全てを奪われた(と思い込んでいる)アッシュはそこにしか存在意義を、あるいは生きた証を残せる道を見出せなかったのかもしれません。

ルークとの一騎討ちで敗北したことで自分自身とも決着がつき、自己確立、自己受容を遂げ、最期には『後は頼む』と遺してルークに全てを託したことからも、アッシュは死を受け入れる覚悟が出来ていたのだと思います。
ルークより生きることへの執着が薄いことは確かです。

だから俺たちは自分自身の存在をかけた勝負をすることにしたんだ。
勝負は俺が勝った。アッシュは憎まれ口をたたきながら、俺にローレライの剣をよこした。これで役割が決まったんだ。俺はヴァン師匠を倒して、ローレライを解放する。アッシュはそれを助けてくれるって。

このとき俺たちからローレライの鍵を取り上げようと、神託の盾騎士団たちが突入してきた。ここに残って奴らを倒せば二人とも部屋から出られる―― そう思ったけど、アッシュは俺に託した役割を果すように言った。

アッシュがあんなに憎んでいた俺に、全てを託してくれたんだ。それを裏切る訳にはいかない。アッシュを信じて、俺はみんなと合流するために部屋を出た。
ルークの日記『ひとり分の日だまり』より

個人的にもし青年がアッシュだとしたら、あのような笑顔🙂では帰らないと思います。
欲しいものは勝ち取るが信条のアッシュ
ですし、レプリカを理由に卑屈になるのが気に入らないのだと思いますが、ルークからの施しは特に嫌います。

ルークに全てを託したわけですから、アッシュは万が一自分が運良く復活できたとしてもルークでないことへの苛立ちを抱え、もっと複雑な面持ちで姿を現した気がしてなりません。

話は少し変わりますが、『生きることが贖罪に繋がる』とルークは考えていますので、死して罪から解放されたいという感情もルークには無いと思われます。
あまりにもマブダチなガイや先程のナタリアの台詞からも、ある意味で死ぬことも許されず、生きることをひたすらに応援されているのがルークです。

ティア「本気で変わりたいと思うなら……変われるかも知れないわ。でも、あなたが変わったところでアクゼリュスは元には戻らない。……何千という人たちが亡くなった事実も、それだけの罪を背負ってあなたはどう変わるつもりなの」
ルーク「わからねぇ。……だせぇな、俺。こんなことしか言えなくて。アクゼリュスのこと……。謝って済むならいくらでも謝る。俺が死んでアクゼリュスが復活するなら……ちっと怖いけど……死ぬ。でも現実はそうじゃねぇだろ。償おうったって、償いきれねぇし。だから俺、自分にできることから始める。それが何かはまだわかんねぇけど、でも本気で思ってんだ。変わりたいって」
あらすじ30 ユリアシティより
ガイ 「そうだな。おまえはまだ自分の足で歩き始めたばかりだ。しかも背中には数えきれない命を背負ってる。喰らった命の分 生き続けなけりゃ嘘だよな」
ルーク「……そうだな。俺、たった七年の間に血塗れになっちまったもんな」
ガイ 「俺は酷なことを言ってる。生きて生きて、生き抜いて恨み、憎しみ、悲しみ、怒り……全部しょいこまなけりゃならないってな。でも、おまえだけに背負わせたりはしないぜ。俺もおまえと同じだ。世界中がおまえのやってきたことを非難しても、俺はおまえの味方だ。俺はヴァンの六神将とは違うぜ。自分も生き抜いた上におまえも助けてやる」
ティア「ルーク、行きましょう。兄さんの目指す未来を私たちの目指す未来に書き換えるために」
ルーク「ああ!」
あらすじ105 ヴァン戦前の階段より


体の癖が現れる外見的特徴が殆どルーク由来

青年の後ろ姿

その人の体の癖、もっと広く見るなら習慣は精神が軸になると思います。

青年の帯刀の仕方はルーク、利き手も左利きでしょう。
髪の分け方はルークが右分け、アッシュが左分けに対し、青年は右分けです。
ジャケットの色は白を基調としたまま、元の服と同様に黒や黄色も使われており、ハの字に広がるシルエットもそれを意識したものでしょう。
その下に着ている上下の服は黒と赤とアッシュを象徴する色使いです。

元々ルークが下に着ている服も黒ですが、新しく赤が混ざっていることから、ルークの中にあるアッシュの記憶もとい存在に影響を受けた色となっていると見て間違いないはずです。

作中でも珍しい、髪を下ろしたアッシュ


毛先の色に関しては毛先の濃いアッシュの体を基に毛先の薄いルークを再構築したため、混ざり合って中間を取るように全体が統一された髪の色になったか、ルークがレプリカから人の身になったことで第七音素の色である黄色が毛先から取り除かれたか。
このどちらかの解釈で良いと思われます。

左からルーク、青年、アッシュ

ローレライの解放に使われた『ローレライの鍵』は青年が持っていましたが、鍵は第七音素で構成されているため、譜陣を作る際に音素へと分解された後、一時的に音素のまま体内に取り込まれて保管され、後に復元されたのだと思います
これはローレライから音素として剣や宝珠を受け取った時と同じ要領でしょう。
ローレライの剣はアッシュからルークに託されたものですので、アッシュに認められたルークが立っているという意味付けも出来るのではないでしょうか。

エンディングで映る月の謎

本来オールドラントから見える月こと『衛生ルナ』は白かったり、青白いです。

オープニングムービーより


こちらは最後に映る月🌝です。不自然に黄色くないでしょうか?
しかもこの月は全体が黄色いのではなく、所々黄色くなっていて線で結ばれているような形をしており、解読することは出来ませんが、文字やパッセージリングを操作する時に浮かぶセフィロトの図的な…何らかの模様にも見えてきそうです。

ラストのシーンで映る月

意図的に黄色を加えたのなら、第七音素の関わりを示唆しているのでしょう。
あの場面に第七音素が関わっている→ローレライは第七音素そのもの→音譜帯にいるローレライが大譜歌に反応した→青年の復活に関与、と繋がりを見出すこともできます。

しかし、この黄色い光は月表面に刻まれているように見えますが、オールドラントの月に人類が干渉した痕跡はありませんから、仮に意図したものであったとしても第七音素の関与を仄めかすために演出の一環として、なんとなく光らせただけのような気がしなくもないです。

ローレライがいる音譜帯というのは外殻大地から高度150kmにあります。地核から外郭大地までが30kmなので、外殻大地を降下させた後ではもう少し距離が開きます。
実際の地球ではオーロラの見える高さは100-200kmとされているようなので、音譜帯は惑星(オールドラント)全体を覆っており、オーロラのように局所的なものではありませんが、高度で例えるなら近いでしょう。

地上から眺める月に黄色い光が重なっていると捉えるなら、それは音譜帯にいるローレライが関わらないとありえない現象だと考えられますが、表面に刻まれた光とするならローレライすら干渉できないほど遠いはずです。

正直なところ意味があるのかないのかすら分かりませんが、考察の材料の一つとして書いておきたいと思います。

帰ってくるのは片方だけ

ゲーム外から考察の材料を持ってくるのはあまり本意ではないのですが、見出しの点をハッキリさせておくならジェイドとディストの会話だけでなく、こちらも用いた方が良いと思ったので、関係者発言によるED解釈より引用させていただきます。

吉積「最後の解釈についてはプレイヤーによって違うと思うんです。エピローグのシーンなんて、ラストバトルから2年経過していますからね。」
実弥島「えぇ、2年経過しています。たとえば、ティアが口紅をしていて、ちょっと大人になったんだなっていうのもここで見てとることができます。」
吉積「ティアの口紅が画面に映るのは一瞬ですから、いったいどれぐらいのプレイヤーが気づいているんでしょうかね。ちょっと化粧しているよって……。」
実弥島「帰ってくるのを待っているんだよ、って。

まぁ、最後に現れた人物がルークなのか、アッシュなのかっていうのは、もちろんシナリオ制作側として明確な答えがあります。
でもそれはシナリオを締めるために必要とされて書いた答えであって、プレイした人がルークだと思えばルーク、アッシュだと思えばアッシュが物語の結末なんだと思います。」
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吉積氏がプロデューサー、実弥島氏がメインシナリオライター担当。
テイルズオブジアビス 公式コンプリートガイド 583P
空白より上は筆者手持ちの同ガイド本から付け加えています

青年がルークかアッシュ、どちらか一方であることは確かです。
青年がルークでもアッシュでもない、未知の誰かにしたいのであれば『何者なのか』と言えば良いので、二択にして的を絞らせる必要はないでしょう。
下記のインタビューも合わせて読むと、その他の選択肢のためにあえてこの二つと誤認識させている可能性も薄いと思います。

最後にティアがルークを「好き」と囁くのは、想いが最後は愛情になったことを書きたかったからでした。
そのため、エンディングのタタル渓谷に現れた『彼』にティアが抱きつく、という描写も当初検討されていました。
しかし、それは我々の考えるエンディングの解釈にそぐわないのでボツにしました。
とはいえ、僕達の解釈はあきらかにしないまま終わろうと決めていました。
遊んでくれた人が考えるまま、望むままのエンディング、それが正解ということで良いのだと思います。
06年3月17日 ファミ通PS2インタビュー欄外「EDの正解とは?」より

こちらには『ティアが青年に抱きつく描写も当初検討されていた』と書かれています。
『抱きついてみたら実はアッシュでした!🎉』とドッキリENDをさせたかったわけではないでしょうし、『ティアが抱きつくとルークであると分かりやすく確定してしまう』と考える方が自然です。

このことから『元々あの場面はアッシュだと想定して作られていない』『ルーク以外の選択肢を生むために変更された』と解釈することができます。

現に抱きつかなかったり、表情を画一化させないこと、スターなどの理論でも武装することで、プレイヤーに生まれた気持ちは『最初はルークだと思っていたけど、もしかしたらアッシュなのかも…』のはずです。

プレイヤーは『帰ってきたのはルークという思考から始まる』ので、抱きつくシーンを無くすことで影響を強めるのはアッシュだけです。『ルークかも…』を強める効果はありません。ルークで一本化されるところにアッシュという分岐を生ませる、これが狙いなのでしょう。

開発側が『プレイヤーにはルークかアッシュで迷っていてほしい』と思っていることは明らかですから、ルークだと一目で分かってしまう描写は避けたいという理由からそのシーンは加えなかったのだと思います。


結論と主な流れ

  1. ルークの同調フォンスロット開放がきっかけで、アッシュの大爆発が開始
    アッシュは緩やかな音素乖離に伴い、体力、譜術力を失い始める

  2. 約半年後にアッシュが音素乖離ではなく、外傷によって死亡する
    直後、ルークへ自身の音素を受け渡すが、体が音素乖離せずに残る

  3. ルークがアッシュの音素を受け取り、記憶継承とともに第二超振動を会得
    アッシュは音素乖離や特殊な力場を揃えられなかったため、
    受け渡す音素から自身を構成する情報が一部欠落
    融合が上手くいかず、不完全な大爆発で終わり、記憶だけの存在へ

  4. ヴァンを倒し、ルークが地核へ移動
    ローレライを音譜帯へ解放する

  5. 地核でルークの体が音素乖離を起こす
    同時に乖離していく自身の音素をアッシュの体へ流し込んで融合
    その後、地核を彷徨い続ける

  6. 2年後、タタル渓谷にてティアが大譜歌を詠う

  7. ティアとローレライとの間で契約が交わされ、
    大譜歌とローレライの鍵が組み合わさる事でローレライが召喚される
    ローレライの力を使ってアッシュの体を治癒し、
    ルークの精神を基に身体の再構築が成される

  8. 地核からタタル渓谷のセフィロトを通じて、
    アッシュの記憶を受け継いだルークが青年として現れる

これでルーク達が起こした現象から読み解いていくのは終わりになりますが、その他のキャラクターの台詞や、キャラクター間の構図、心境などを元にした考察や解説はもう少し続きますので、まだまだ気になる方は見てやってください。


主題歌のカルマについて

約束は果たされるの意味

『ローレライを解放する』というアッシュとの約束でしょう。
(ローレライを地核に)沈めた理由に、
(ローレライの鍵という名の)十字架を建てる時、
(ローレライを解放するという二人の)約束は果たされる、ということです。

これは作中で使われるBGMのタイトルでも表されています。
アッシュが死亡するムービーで使用されるBGMのタイトルは『promise』
ヴァンの第一形態で使用されるBGMは『time to raise the cross』
ヴァンの第二形態で使用されるBGMは『finish the promise』
これらのタイトルの通り、後は頼むと託されたアッシュとの『約束』から始まり、ヴァンを倒すことでローレライを解放するという『約束は果たされる』わけです。

尚、ローレライを地核に沈めた理由は譜術戦争で招いた障気と大地の液状化により、魔界が人の生きていける環境ではなくなり、絶滅の危機に瀕した人類がこれからどうすれば良いのか、その道を探るべくユリアが預言の力を必要としたためです。

ユリアは大譜歌によってローレライと契約を交わし、そのローレライの力を使って『ローレライの鍵』を作りました。
それから再び大譜歌を用いて鍵にローレライそのものを宿し、その力を自在に操り、譜術戦争で不具合の生じたプラネットストームを再構築した後に鍵を地核に沈め、2000年以上先まで分かる『惑星預言(プラネットスコア)』を詠みました。

ローレライを地核に沈めた2年後にユリアが惑星預言を詠んだこと、ローレライが地核に落ちたヴァンに取り込まれたこと、その直後にアッシュに剣、ルークに宝珠を渡したことから、ローレライは鍵に宿されたまま地核に沈められた
のだと考えます。

オールドラントの誕生から消滅までの記憶を詠むには第七音素が必要で、人類が第七音素を行使するには惑星全体を音素で満たしてくれるプラネットストームが欠かせないので、ユリアはプラネットストームを修復した後、その循環の中心地点である地核にローレライを閉じ込め、人類の行く末を詠めるだけの第七音素を得ようと考えたのでしょう。

【ローレライの鍵】
ユリアがローレライの力を借りて作った譜術武器で、第七音素で構成されている。「ローレライの剣」は武器として、「ローレライの宝珠」は響律符としてユリアを守っていた。「ローレライの剣」は第七音素を集結させ、「ローレライの宝珠」は第七音素を拡散させる力を持つ。「ローレライの剣」と「ローレライの宝珠」が一体になることで、はじめて「ローレライの鍵」が完成する。ユリアは大譜歌を用いてこの鍵にローレライそのものを宿し、ローレライの力を自在に操り、BD2707年にプラネットストームを再構築した。この直後「ローレライの鍵」はユリアの手によって地核に沈められている。
テイルズオブジアビス パーフェクトガイド 623P

この辺りの話を時系列順に書いておくと下記のようになります。

1.サザンクロス博士によるプラネットストーム構想を各国の協力の元、実現化
2.プラネットストームによって音譜帯の一番外側を流れていた第七音素を発見
3.第七音素を巡って譜術戦争勃発。人類の半数が死滅し、地殻変動が発生
 魔界(元々の地表)に障気と大地の液状化、プラネットストームの不具合を招く
4.ユリアが第七音素の意識集合体であるローレライと契約
5.ローレライの鍵を作り、ローレライを宿してプラネットストームを再構築
6.譜術戦争が終結するも障気に覆われていく魔界から人類を救うため、
 ユリアがローレライを鍵に宿したまま地核に沈め、惑星預言を詠む
7.預言に従い、障気から逃れるために外殻大地形成。新暦が始まる
ED.約2000年後、ローレライを音譜帯へ解放


物語終盤では各国がプラネットストームの停止と預言廃止宣言を行っており、プラネットストームを停止させると地上へ降り注ぐ音素が著しく減少し、ローレライを音譜帯へ解放すれば譜術などと同様に根本的に預言が読めない世界になる可能性も高いです。

『十字架』は単純に『ヴァンに対する十字架』『ローレライの鍵を差した』という絵面だけではなく、ローレライの鍵は人類が預言や音素の恩恵を捨てる、今までの世界に対する終止符としての十字架という解釈も出来るのではないでしょうか。

ジェイド「ええ。恐らく当初はプラネットストームで地核に振動が生じるとは考えられていなかった。実際、振動は起きていなかったのでしょう。しかし長い時間をかけてひずみが生じ、地核は振動するようになった」
アニス 「サザンクロス博士も地核の振動を想定してなかったんですね」
ジェイド「地核の揺れを止めるためにはプラネットストームを停止しなくてはならない。プラネットストームを停止しては譜業も譜術も効果が極端に弱まる。音機関も使えなくなる。外殻を支えるパッセージリングも完全停止する」
あらすじ54 宿屋より


一般的には『沈めた理由』はホドかエルドラントなのかもしれませんが、ホドが沈んだ理由は幼いヴァンを利用して擬似超振動を引き起こし、偶然セフィロトツリーまで消滅させてしまったためです。
エルドラントに至っては崩れはするものの、アルビオールを押し潰そうと突っ込んできたがために傾いた姿をしているので、二つともローレライに比べると沈むとは言い難く、ローレライとの関係もありません。

十字架と約束を沈めた理由と繋げるなら一貫してローレライにまつわる話になると考え、このように解釈しました。

カルマ自体はルークとアッシュを歌った歌であり、『約束を果たした後、僕らは一つになる』のですから、歌詞の中の人物を見ても、時系列的に見てもティア、ナタリア、その他に対する約束ではないと思われます。
その場合は『一つになった後、約束が果たされる』ことになってしまいます。

ただし、『約束』には『もしかしたら…』と様々な見方ができるように含みを持たせている節は大いにあるでしょう。ローレライを解放するというのは、ローレライとの約束でもありますから。

ルーク「……みんなは急いで脱出してくれ。俺はここでローレライを解き放つ」
ティア「ルーク!」
ルーク「ローレライとの約束だ。これは俺がやるべきことだから」
あらすじ105 ヴァン戦後より

ジェイド、ディスト、スターについて

彼らの発言は嘘は言っていない、一部しか知らなかった。
故にルーク達にそのまま当てはめてはいけない、が特徴です。

アッシュの話はしていないのに、鵜呑みにするとアッシュに見えてしまいます。

複雑な会話が多く、彼らは『プレイヤーの解釈をアッシュに誘導する役』ということになるのですが、その落とし穴に囚われないように読み解いていきたいと思います。

大爆発現象の理論は未完成

大爆発の理論はジェイドが過去の研究を基に提唱したもので、内容に間違いこそありませんが、実証には至っていない未完成の理論です。
用語解説にもありますが、大爆発の説明には…

  • これまで同位体が存在しなかったため、立証はされておらず、あくまで仮説に過ぎない。正確に大爆発が起きるには、特定の条件の元、あらゆる不測の事態が取り除かれていなければならないが、実験以外でそのような状態が作れるとは思えないため、疑問視されている

と、大爆発は理論だけ存在するが、実例のない現象であるとともに存在を怪しむ声すらあります。
完全同位体は世界でルークとチーグル(以下スター)の2例のみであり、ディストがワイヨン鏡窟で行っていたスターの実験が世界初の大爆発実験例です。

大爆発というのはご存知の通り、オリジナルから音素乖離が始まってしまいます。これはどう足掻いても免れることは出来ず、普通に行えばこれ以外を観測することができません。

もし研究者がルークの現象を再現しようとするなら『完全同位体を用意した後、オリジナルを音素乖離する前に殺して死体だけを残し、レプリカを外部の音素の影響がないまま人為的に音素乖離させ、損傷しているオリジナルの体を修復すること』が必要になります。
現実的に考えれば不可能に等しく、この結果を実験で証明することは途轍もなく難しいと言えるでしょう。

その結果、ジェイドもディストもオリジナルがレプリカに入ることしか知らなかった。ルークの件は見たことがなかったのです。

ルーク 「……アッシュ……。お前が死んじまうなんて……。ぜったい死にそうにないって、心のどこかで思っていたのに……」
ナタリア「……アッシュ……。せめてもう一度、あなたに逢いたかった……」
ガイ  「……そうだな。俺たち、エルドラントではアッシュに会っていないからな……」
ジェイド「ルーク。辛い話を聞くことになりますが……アッシュはどのようにして亡くなったんですか?」
ルーク 「……神託の盾兵に囲まれて、剣を……体中に刺されて……」
ナタリア「…………アッシュ!!」
ジェイド「その後、あなたに何かが入ってくる感じはしませんでしたか?」
ルーク 「……そういえば……。なんだか温かいものが全身に降ってきたような気はしたけど……」
ジェイド「……何かが出ていく感じは?」
ルーク 「うん? アッシュが死んだ瞬間、虚脱感はあったけど、別に……」
ジェイド「そうですか……」
ガイ  「ジェイド、今のは?」
ジェイド「……いえ……なんでも……なんでもありません……」
スキット『アッシュの死』より

このジェイドの『出ていく感じは?』はスターにも聞いていない質問です。
時系列的にはスターへの質問→アッシュの死亡ですから、この場面よりも前に他の融合した完全同位体(スター)と接触していたにも関わらず、そこで聞いていない現象を突然ルークに尋ねるのは些か奇妙です。

しかし、ジェイドはオリジナルがレプリカに入っていくことしか知らないので、融合したのにアッシュが現れていないことがジェイドにとっては異常事態であり、自分の中の理論や答えを明確に否定できる未知の現象を探るべく、『入っていく感じはスターとの共通点だが…その反対はあるのか?』といったような考えから、このような聞き方をしたのでしょう。

出ていく感じなど存在しないのですが、もしあったとしたら『アッシュの音素が出ていった』と解釈でき、失敗例を見た事がないジェイドはアッシュの大爆発失敗に確信を持てるわけです。
そのため、この質問はアッシュの大爆発が正しく進行しているか確認のために聞いたわけではないと考えることができ、直後の『そうですか……』も想定通りに進んでいる事への納得や落胆と捉えることは出来なくなります。

ジェイドの心境を推察するとしたら『アッシュの音素がルークの中に入ったが、表には現れていない。時期に人格の上書きが起こるのか…?このままなのか…?これからルークの身に何が起こるのか分からない…』といったところでしょう。
それ故に『……いえ……なんでも……』は行く末を知っていて言葉を濁したのではなく、融合してもルークのままという未知なる現象を前にして答えに行き詰まったのだと思います。


表情が変化するジェイド

エンディングでのジェイドも皆と同じくルークが帰ってきたのだと数瞬喜びはするも、ルークでない可能性が頭をよぎって視線を落としたわけです。
憂い顔をする前の横顔の間は笑顔ですし、初めから『戻ってきたとしてもアッシュ』だと分かり切っているなら笑顔になる理由はないでしょう。

ジェイドとディストの会話もアッシュを示す言葉

ジェイド「アッシュが死にました」
ディスト「! 大爆発ですか?」
ジェイド「そう聞くと言うことはアッシュの大爆発はそろそろだったと?」
ディスト「そうですね。そちらこそその聞き方はアッシュの死が大爆発ではないと言っているようですが」
ジェイド「ええ、察しの悪いあなたでもわかるのですね」
ディスト「何が原因で死んだにせよ、この時期なら、大爆発は始まっていたと思っていいでしょう」
ジェイド「……始まっていないかもしれません」
ディスト「何ですか、それは!あなたが完全同位体の理論をまとめたんじゃないですか!自分の研究が信じられないのですか!私の知っている金の貴公子ジェイドはそんなことを言う人ではありませんでしたよ!」
ジェイド「気色の悪い二つ名を付けないで下さい」
ディスト「それとも……そんなにあのレプリカが大事ですか? この親友であるサフィールより!」
ジェイド「あなたと比べれば床の埃だって価値がありますよ」
ディスト「いいですか?コンタミネーション現象は免れません。たとえあなたの才能を持ってしてもね」
ジェイド「分かっていますよ、そんなことは。私は死者の復活に失敗した人間だ。運命は変えられない」
ディスト「……記憶は残るのですよ」
ジェイド「いえ、記憶しか残らないんですよ」
サブイベント『コンタミネーション4』より

『そんなにあのレプリカが大事ですか?』の一言に引っ張られて、ついルークに向けた言葉だと思ってしまいますが、記憶しか残らないを体現しているのはアッシュです。

二人とも1回ずつ融合して大爆発を終えており、どちらも会話に当てはめられます。その上でこれを記憶だけになるとは限らないルークの話とするか、実際に記憶しか現れていないアッシュの話とするか…。
この会話はルークについて話しているようで、本当はアッシュを説明しているのです。

アッシュにとっては残酷な話になりますが、精神の割合は恐らく100:0。
スターを例にしても『自分は死んだと思ったら死んでいなかった』『その時はもう一人の自分はいなかった』と自他の区別ともう一人の死を理解しており、オリジナルとレプリカの二つが混ざり合った人格をしているようにも見えません。
主人格となった者が100で、記憶だけとなった者は0なのでしょう。

チーグルの実験はヒントと同時にもっともミスリードを誘う存在

このような解釈の仕方はまだまだ続きます。
幾度となく見てきた、話題にされてきたであろうこのイベント。
1個目 / 2個目 / 3個目 )

ジェイド「スター。あなたは被験者(オリジナル)ですか?」
スター 「はいなのです」
ジェイド「ではレプリカ――もう一人の自分を作られましたか?」
スター 「はいなのです。ディストという気持ち悪い人にやられたのです」
ジェイド「やはりディストか。それはいつ頃ですか」
スター 「多分半年ぐらい前なのです」
ジェイド「コーラル城でルークとアッシュが完全同位体と知ったのなら時期は合うな……。最後にひとつ。もう一人のあなたはどうなりましたか?」
スター 「……多分死んだのです」
ジェイド「……多分?」
スター 「実は自分は一回死んだのです。その後何かが入ってくる感じがしたと思ったら、自分は死んでいなかったのです。その時はもう一人の自分はいなかったのです」
ジェイド「《!》 ディストは完全同位体研究を完成させたのか? ではあの時の研究結果は偶然ではなかった……?」
3個目のサブイベント『コンタミネーション2』より

素直に見れば『レプリカが消え、レプリカの記憶とともにオリジナルが生き残る』と受け取ってしまうところです。
そのように思わせる手法は惑星譜術と言っても過言ではないでしょう🧙‍♀️
最後まで決定的なものはないかと悶々としてましたが、あることに気づいた時は思わず驚嘆🕖してしまいました。

これにはもう一つ、捉え方を変えることでスターの身に起きた現象そのままに、ルークが起こした結果と結びつけることが出来ます。

双方の結果を『記憶だけの存在となったAの体と、音素乖離してAの体へ入った後に主人格となったB』と捉えてみましょう。
すると『記憶だけの存在となったアッシュの体と、音素乖離してアッシュの体へ入った後に主人格となったルーク』として照らし合わせても矛盾は生じません。スターの場合は『Aはレプリカ、Bはオリジナル』になりますよ。

オリジナル発言が気になるようでしたら、試しに逆転させてみましょう。
『記憶だけの存在となったルークの体と、音素乖離してルークの体へ入った後に主人格となったアッシュ』です。
……如何でしょう。音素乖離しないルークの体、体を音素乖離させたアッシュ、どちらも存在しませんよね🕵️‍♂️


スターはほぼ確実にレプリカの体とオリジナルの精神でしょう。
オリジナルのスターは大爆発の影響で力が弱まっていましたから、後に音素乖離して融合を遂げ、体がレプリカになったことは間違いないはずです。

重箱の隅をつつくような形になってしまいますが、ほぼ確実に…としたのは万が一の可能性が考えられるからです。

『体を音素乖離させて融合しているからオリジナル』と言いたくなりますが、スターのいたワイヨン鏡窟では特殊な融合のもう一つの条件である特殊な力場が確認できていません。
檻にいたまま融合したのなら、それは満たすことが出来ない可能性が高いですし、ずっと檻にしかいないため、隣にある巨大な装置(音機関?)の中で融合してから戻されたのかまではプレイヤーが知ることは出来ません。
場合によっては他の物質や音素が混ざる環境が成立し、レプリカの精神もオリジナルの精神も可能性の一つとしてあり得てしまいます。

尚且つその場合、スターから得られる大爆発に関する情報は『大爆発はオリジナルから始まること』と『2人分の記憶を持っていること』に加え、『音素乖離したオリジナルがレプリカと融合すること』までとなってしまい、この後にオリジナルはルークと同じ完全な大爆発をして主人格となったのか、失敗してアッシュと同じく記憶だけとなったのかまでは分からなくなってしまうのです。

ですが、これに関してはどちらであってもルークと矛盾する現象は起きませんし、拘っても意味のない部分であるため、PS2という当時のゲーム機の限界なのか、開発の詰めの甘さなのか…ということにして、スターはレプリカの体とオリジナルの精神で話を進めたいと思います。


ルークの話に戻りますと、ルークは『アッシュの体しか使えない』という条件があり、スターとの間には『完全な大爆発を起こして音素乖離したBは、Aの体へ入って主人格となる』という共通点があるので、『アッシュの体とルークの精神』は一見間違っているようで、実のところ間違っていません。
むしろそれ以外の選択肢こそ理論やチーグルの実験と一致するのか、青年として再構築できるのかどうか、どちらかから外れてしまって成立しないことでしょう。

『大爆発が起きるとレプリカが消え、オリジナルが残る』という、
氷山の一角だけを分かりやすくプレイヤーに提示し、それが真相と思い込ませ、
『アッシュとして帰ってくる』と誤解の種を植え付けるのが、
この『テイルズ オブ ジ アビス』なのです。

まるで、スピノザから大爆発について一部しか教えてもらえず、
全貌を知らないまま誤解し続けたアッシュをプレイヤーへ重ねるかのように……

しかし、青年に関わる描写や設定を1つ1つ丁寧に紐解いていくと、ルークであることを裏付けする描写が数多く存在しており、プレイヤーでは答えを見つけられない、嵌められないパズルだったのではなく、明確な1つの答えをプレイヤーが実証できるように作られていたわけです。
青年となったルークが地上へ戻るまでの道筋も『ヴァン師匠』がお手本だと言わんばかりに示してくれました。

  • レプリカ→オリジナルの可能性を知らないまま、
    オリジナル→レプリカとした理論

  • オリジナル→レプリカで無事に大爆発が終わってしまったため、
    レプリカ→オリジナルを確認できなかったスター、ジェイド、ディスト

  • オリジナル→レプリカに失敗したアッシュが肉体を残したことにより、
    前例のないレプリカ→オリジナルを実現したルーク

仲間外れがいるように見えるヒント達は元々情報の欠けていたもので、説明や台詞通りに読むと矛盾が生じてしまいます。
不明瞭な点を取り除くためにオリジナルとレプリカに囚われない読み方、物事の見方をしてみると、3つの共通点は文字では記述されていない水面下で交わっていました。

ルークとアッシュには当てはめられないスターの発言

スターの発言は難解なので、『何かが入ってくる感じがした』をどう読み解くのかと、スターの過程はスターにしか通用しないことの二つについて、もう少し詳しく話していきたいと思います。

ジェイド「最後にひとつ。もう一人のあなたはどうなりましたか?」
スター 「……多分死んだのです」
ジェイド「……多分?」
スター 「実は自分は一回死んだのです。その後何かが入ってくる感じがしたと思ったら、自分は死んでいなかったのです。その時はもう一人の自分はいなかったのです」
サブイベント『コンタミネーション2』の一部

極めて誤解を招く『何かが入ってくる感じがした』から見ていきます。
読めば読むほど頭がこんがらがる文へと仕上げる、スター渾身の一節なわけですが、スターの状況を考えるとそう説明するしかなかったということが分かってきます。

理論やアッシュの例に則って話せばオリジナルは『まず入る側』であり、レプリカが『入られる側』ですから、オリジナルの精神でこう話すのは不思議ですよね。

話の殆どはオリジナル視点なのに、『何かが入ってくる感じがした』だけは明らかにレプリカ視点で話しているような異質さがありますが、これはその間オリジナルは死亡していて意識がなかったため、レプリカ視点でしか感知及び記憶できなかったのだと考えます。

尚、死亡と表現してはいるものの、音素乖離から融合や再構築までの間の死を『完全な死』としてしまうと『死者は復活しない』と矛盾してしまいますし、ルークの音素乖離を例とすると描写にも完全な死とは明確な違いがあるため、昏睡や仮死など純粋な生命活動の停止とは異なるものと考えていただければなと思います。

さて、時系列は『オリジナルが音素乖離により死亡→入ってくる感覚(オリジナルがレプリカと融合)→オリジナルの復活』であり、『入ってくる感覚』というのはオリジナルが死亡してから復活するまでの間に説明されています。
そのため、その瞬間だけはオリジナルの意識がなく、レプリカの意識しか存在しなかった、故にレプリカの視点と記憶で語ったのです。
これをルークに当てはめた場合はアッシュが完全に死亡しているので、ルーク→アッシュの際の『入ってくる感覚』というのは感知しようがなく、記憶に残らないということになるでしょう。

何かが入ってくる感覚はレプリカ視点、入ってくるものは音素乖離したオリジナルの音素ですから、本来はこの『その後何かが入ってくる感じがしたと思ったら』という言い方そのものが正しくありません。
正確に話すなら『入っていく感じ』になるのですが、先程述べた通り、この瞬間は『オリジナルは死んでおり、まだ復活していない』わけです。
ですので、スターがこれを説明するとしたら必然的にレプリカ視点となり、このような表現以外で人に伝えられる方法がなかったんですね。

例えるならあなたが突然死亡し、目覚めたら他人の体になっていたとします。
それを人に説明するとしたら、あなたは死んでいて意識がないわけですから、『途中で誰かに入っていく感じがした』とは言えないはずです。
『目が覚めたら他人の体になっていた』『死んだと思ったら死んでなかった』が恐らく精一杯。そこで元の人の記憶があったとしたら、それは『何か(あなた)が入ってきた』などと記憶されているのではないでしょうか。
そして偶然にもその記憶が残っていたため、前者の言い方だけで終わらせるのではなく、後者まで付け加えて話したのがスター、ということになります。


次にこれはスターが自分に起きたことを話しただけであり、その過程はスターにだけ通用する話であることを説明していきます。
実は1回の融合でこの順序のまま進行したのはスター以外にいません。


スターはオリジナルとレプリカを混合すれば成立しますよね。
オリジナルの記憶で『自分は1回死んだ』と話し、
レプリカの記憶から『何かが入ってくる感じがした』と引き出し、
再びオリジナルの記憶で『でも自分は死んでなかった』と話す。

こうすれば順序を崩さず、更に『1回の融合』で全て説明することができます。

しかし、ルークとアッシュは1回の融合で話そうとすると無理が生じます。
アッシュは外傷によって死にますが、ルークと融合しても死んだままです。
ルークは音素乖離を起こして1回死にますが、その後の『何かが入ってくる感じ』を感知するとしたら、それを担うのはアッシュの死体です。

ルークであれば『でも死んでなかった』と繋げれば一応は自然な形になりますから、これで良しとするなら『スターと一致する』と言いたいのですが、死体が感覚や記憶を持つのは無理があります。アッシュであっても、ルークであっても、スターの話をそのまま再現することは不可能なわけです。

アッシュの融合はアッシュが分かりやすく死に、ルークは『入ってくる感じ』を認識し、理論からも外れた見せ方になっています。
これによって、『アッシュの大爆発は地核に移動するまで終わっていない、スターと同じように1回の融合でオリジナル(アッシュ)が生き返った』と思われる方もいるかもしれません。
ですが、これでは融合と見受けられる描写が2回挟まった後にアッシュが復活すること、1回目の融合後も依然としてルークが主人格であり続けること、アッシュの体とアッシュの精神という結果になってしまうこと、いずれもスターなどのゲーム内で確認できる現象と共通する点が見出せず、説明がつきません。

『大爆発は起きた、でも互いの過程は一致しない』となれば、スターとルーク達は最終的に起きた結果を比べ合うことしか出来ません。
その結果を合わせて出来上がるのは、前述の『記憶だけの存在となったAの体と、音素乖離してAの体へ入った後に主人格となったB』という枠組みだけ。

それに当てはまるのは『アッシュの体とルークの精神』しかないのです。

ジェイド「スター、あなたは被験者(オリジナル)ですか?」
スター(1.ori/2.rep) 「はいなのです」
ジェイド「ではレプリカ――もう一人の自分を作られましたか?」
スター 「はいなのです。ディストという気持ち悪い人にやられたのです」
ジェイド「やはりディストか。それはいつ頃ですか」
スター 「多分半年ぐらい前なのです」
ジェイド「コーラル城でルークとアッシュが完全同位体と知ったのなら時期は合うな……。 最後にひとつ。もう一人のあなた(1.rep/2.ori)はどうなりましたか?」
スター 「……多分(1.rep/2.ori)は死んだのです」
ジェイド「……多分?」
スター 「実は自分(1.ori/2.rep)は一回死んだのです。その後何か(ori)が入ってくる感じがしたと思ったら、自分(1.ori/2.rep)は死んでいなかったのです。その時はもう一人の自分(1.rep/2.ori)はいなかったのです」
ジェイド「《!》 ディストは完全同位体研究を完成させたのか?ではあの時の研究結果は偶然ではなかった……?」
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番号を合わせて読んでください。オリジナルがori、レプリカがrepです。
入ってくる感じはオリジナルが音素乖離することからoriで固定しています。
スターの発言の解釈例

スターの話の解釈例になりますが、以上の説明を踏まえた上で『1番』を読んでいくともっとも矛盾なく読むことが出来るのではないかと思います。
入ってくる何か(音素)をレプリカにすることは出来ませんし、入ってくるオリジナルに合わせようとして『2番』で読んでしまうとレプリカが主人格となるので、ジェイドの質問に対する自分はオリジナル発言が嘘になってしまいます。


ルーク 「もういいのか?」
ジェイド「ルーク。私はこと研究においてあまり失敗したことがありません」
ルーク 「なんだよ、それ。自慢かよ」
ジェイド「……そうですね。今度ばかりは私のはじき出した答えが間違っていればいい、と思います」
ルーク 「うん? そうなのか?」
ジェイド「まあ、あなたは私の想定外のことをやらかしてくれますから、もしかしたらとは思っていますがね」
あらすじ98 ベルケンドより

…ということで、ルークは想定外のことをやってのけました。
おジェイ👓も大爆発の一部しか知らなかっただけで『失敗は』していませんし、ディスト🥀が話すコンタミネーション現象から免れることもしていません。

この考察を読んだ後ならあの場面でもニコニコスキップ😊🕺で青年の元へと駆け出していく🏃💨はずです。


作中の台詞や表現からの考察

ルークとティアは月と夜、アッシュとナタリアは夕日が象徴

この二つのペアにおいて重要な話、とりわけ二人だけの会話が展開される場合は特定の背景が使われる傾向にあります。

ルークとティアは月と夜🌃です。初めてのタタル渓谷前夜の語らいが該当します。
カメラの影響で月は見えないものの、ルークの断髪シェリダン1回目のヴァン撃破後なども夜を意識しているのか、全体的に日の差さない背景が多いです。
付け加えるなら『セレニアの花』もティアの要素で溢れています。この花は夜にしか咲かず、タタル渓谷と魔界(クリフォト)でしか確認できません。

前夜の語らいより、アルビオールの上で語り合うルークとティア

対してアッシュとナタリアは夕日🌇です。シェリダン前夜の語らいが該当します。
シェリダンは夕焼けというよりは朝焼け、前夜の語らいはアッシュこそ現れませんが、夜ではないので同じカテゴリとさせてください😔
ローレライの解放を外から見届ける場面も夕焼けであるため、アッシュとナタリアに関わる意味も込められているのかもしれません。

シェリダンより、アッシュとナタリア

ナタリアの実母であるシルヴィアは『夕日を眺めるのが好きな穏やかな女性』と記載されており、ナタリアが夕日を象徴とするのは母親の面影をも反映させた意図的なものだと思われます。
ちなみにティアは日の差さない魔界(クリフォト)生まれの魔界(のユリアシティ)育ちであり、出生からも夜の要素を含んでいます。兄のヴァンはホド崩落前に生まれたため、魔界ではなく、ホド生まれとなっています。

前夜の語らいより、夕日を眺めるナタリアと、
パーフェクトガイド 616Pより母のシルヴィア


ティアとナタリアの会話イベントのとある場面も明と暗がハッキリと分かれていて気になりましたが、こちらは流石にこじつけかもしれませんね…。

ティアの部屋より、ティアとナタリアの会話


色々列挙していきましたが、ラストのシーンではどうでしょう。
そう、満月の夜。あの再会はルークとティアのためのシーンとなるわけです。

青年が現れたのはセレニアの花が咲く夜のタタル渓谷
この場面で使われるBGMのタイトルは『溢れる想い、再会』です


……月夜ばかりなんです


ティアは悲しみの涙を流さない

教官を失ったティアは、傷ついた顔をしていたのに涙をこぼすことはなかった。凄い自制心だと思う。

そういえば、俺は出会ってから一度も、ティアが泣いたところを見たことがない。もしかしたらティアは俺が死んだ時も泣かないのだろうか。泣かないような気がする。泣いて欲しい訳じゃないけど、ただ何となくそう思った。
ルークの日記『ひとり分の日だまり』より

ルークは自身の日記でこのように綴っています。
リグレットや兄であるヴァンとの別れや、ルークとローレライの解放を見届ける時、ルークのいないルークの成人の日、如何なる時もティアは涙を流しません。
どれだけ悲しいことがあっても涙は流さないのでしょう

ティアが流す唯一の涙

そうした中、青年と再会した時だけは涙を流します
これは希望が潰えたことに対する悲しみの涙ではなく、ルークが帰ってきたことに対する嬉しさの涙を描いている、または嬉し涙を見せることでティアが願った通りの結果が訪れたことを表しているのだと思います。

リグレット「……ヴァン……。歪んだ世界を……改革して……」
ティア  「教官……」
ルーク  「ティア……。大丈夫か?」
ティア  「……ええ。大丈夫。感傷に浸っている暇はないわ。行きましょう」
ルーク  「……相変わらずだな。泣いたっていいんだぜ」
ティア  「私は泣かないわ。泣いても何も変わらない。感情を律することができなければ……」
アニス&ナタリア「兵士として失格よ」
ガイ   「ティアは強がってこそティアってことか」
ジェイド 「こうあるべきという兵士の姿を保たなければ、ティアの中でリグレットの死が無意味になる。そういう乗り越え方もあるということですよ」
ルーク  「……みんなの方がよっぽどティアのこと、理解してるな」
ティア  「……そんなことないわ」
ルーク  「へ?」
ティア  「いいの。行きましょう」
あらすじ101 リグレット戦後より

もし『青年はルークではない、これは悲しみの涙だ』とするなら、上記で語った『私は泣かないわ。泣いても何も変わらない』と矛盾してしまう上、涙を流した後に青年へと駆け出していく理由も無くなります。
泣いても結果は変わらないから悲しみの涙は流さないのがティア、なんですね。

ルークとティアの物語はタタル渓谷から始まり、タタル渓谷で終わる

タタル渓谷はルークとティアの思い出の地
物語中盤では昼間のタタル渓谷にも訪れました

タタル渓谷はルークとティアが出会ってすぐ、擬似超振動で飛ばされた地です。
同じ満月の夜、海の見えるセレニアの花畑、二人の旅が始まった場所。
全てはここから始まりました。

旅を始めてから約1年後、ルークは世界を救うための犠牲となって、
仲間の前から姿を消しますが、時は流れ、再びタタル渓谷で出会い、
二人の約束を果たすとともにこの物語は終わりを告げる……

と、このようにテイルズオブジアビスは主人公のルークとヒロインのティア、
二人の始まりの場所と終わりの場所が同じ話になるのです。

『ルークの日記』の一番目の題名は『はじまりは歌とともに』

人となったルークの新たな人生もまた、歌とともにはじまります。



以上を持ちまして、当考察を終わりにしたいと思います。

本当はルークだけでなく、アッシュも幸せになってほしいと、出来ることなら融合しないで二人とも帰ってこいと言いたい方もいるでしょう。筆者にもそうした思いはありますし、理想を言えばそう思う方は多いと思います。
二者択一の酷な書き方をしておいて…という言いづらさもありますが、この考察は異なる考え方を改めさせるものではありません。

トゥルーエンドが存在せず、答えの定まらない円環の中で希望と絶望を反芻できることこそジアビスの良さ、または怖さであり、そのおかげでプレイヤーの心に残る作品になったのだとも思います。ここまで周到に準備した恐ろしい😈素晴らしい😇開発の方々には脱帽する他ありません。

ただ筆者は答えが知りたかった側です。ルークであれば嬉しいし、ハッキリ違えば諦めがつく。答えが出ないままが一番辛いと感じていました。『ルークが帰ってきたと思っていたのに…』と悲しんだ人もいるでしょう。
これは自分のわだかまりを解消するとともに、同じように感じた人達に向けたものでもあるんですね。

また、ご自身で導き出した結論であれば、それは大事にしてほしいのですが、『雑誌で開発側の誰かがアッシュだと匂わせたから』というだけで『あれはアッシュ』と決めつけてしまうにはあまりにも惜しい作品です。これとは食い違う発言も多々見受けられ、開発側も一枚岩ではないのでしょう。

ルーク(とティア)の物語として見ていくと話の筋が通っていて、約束を守るルークや悲しみの涙を流さないティアなど言動に一貫性があり、これだけ感動的な話をしているだけに、その一言で全てを片付けられてしまうのは、ただの1プレイヤーが言うには烏滸がましいかもしれませんが、勿体ないとか寂しく感じてしまうんですよね。

様々な見方を踏まえた上で『本当はそうだったのか』や『でも自分はこう思う』『やっぱりそうだよな』と思ってほしいと、考察を終えた今はそう思います。


さて、エンディングと関係のありそうな部分を拾い上げていたらここまで膨れ上がってしまい、こうした経験に乏しいが故に読み辛く、拙い文章であったと思いますが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

当考察をするにあたり、やる気の超振動💥を起こさせた大空スバル氏🦢やタイムスタンプを事細かにまとめてくれた方、wikiやブログ、中古の攻略本など様々なものを参考にさせていただきました。
特にルークの日記や作中の会話をテキスト化されていたサイト様はゲームを振り返る上で非常に大きな助けとなりました。こちらの方々も本当にありがとうございました。

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