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ロンドン自然史博物館(National History Museum)

ロンドンのハイドパーク近くに位置する自然史博物館です。開館したのは1881年で150年近い歴史を誇ります。博物館の建物自体が貴重な建造物です。
かはく並の広さがあり、日本の博物館と展示の仕方が異なっていたり、時間も半日ほどしか取れなかったりしたので、十分なレポートができていないと思いますが、ご了承ください。

展示

下の写真は博物館入り口(Exhibiton Road Entrance)を入ってすぐの写真です。かなりの混雑です。中央に赤く見えるのは上階へ向かうエスカレーターですが、当日はメンテナンスのため停止していました。

Entrance

ホールの真ん中にはステゴサウルスの全身復元骨格が展示されています。説明によると、一部分(左前足と尾の付け根など)のみが欠けた最も保存の良いステゴサウルスだとのこと。

The most complete Stegosaurus

エントランスホールを進むと少し薄暗くなっていて、左右にライトアップされた標本が展示されています。

Diplocaulusの頭骨
リクガメ(Stylemys nebrascensis)の甲羅

他にも鉱物(パイライト)などが展示されていました。ムードを高めるための演出的な展示ですね。

鳥類展示

ホールを抜けると通路のような所に出ましたが、鳥の標本が所狭しと並んでいました。

巣と卵の多様性
絶滅危惧種(ハシビロコウ,サイチョウなど)

圧巻だったのはこのハチドリのディスプレイです。

ハチドリがびっしり

そして是非とも見たかったあの鳥、ドードーです。
本当はハーバードの博物館に見に行く予定だったのですが、ひと足先に出会ってしまいました。思ったよりもずっと重量感のある姿をしています。

絶滅種(ドードー)
ドードー

かの有名なリョコウバトもいました。

Passenger pigeon, Huiaなど

海棲爬虫類展示

どこをどう進んだのかよく分からなくなっていますが(^^; 次に出たのは絶滅した海棲爬虫類のコーナーでした。

ここは本当に圧巻で、細長い部屋の左右の壁にびっしりと魚竜、首長竜、モササウルス、ワニなどの化石が展示されています。

海棲爬虫類のホール
一面に海棲爬虫類
プレシオサウルス
初期の首長竜ピロサウルス メアリー・アニングのパネル展示があります
海棲のクロコダイル
イクチオサウルス
モササウルス
モササウルス 大きすぎて写真に入らない

下のものはなんと出産中のイクチオサウルスです。体内にも3頭の胎児が。(私は2頭までしか見分けられませんでした。)この標本によって出産時に胎児が尾から生まれたことが分かります。

出産中のイクチオサウルス

まだまだ名残惜しかったのですが、ここだけで丸一日使ってしまいそうだったので、先に進みました。

Hintze Hall

先に進むとまた広い空間に出ました。吹き抜けの大きなホールです。ホールの上にシロナガスクジラの骨格が見えます。ホールの周りにはたくさんの小部屋があり、様々な標本が展示されています。後で知ったのですが、ここはHintze Hallという名前のホールで、博物館の建立に尽力した、かのリチャード・オーウェン卿に関連する展示があるようです。展示内容が多くて情報過多だなと思っていたのですが、そういう事だったのか。

シロナガスクジラの全身骨格
マンモスではなく、アメリカマストドンです
キリンの剥製と骨格標本
マンテリサウルス

写真を撮り損ねてしまいましたが、他にも2mくらいあるサンゴの標本や鉄鉱床、海藻などが展示されていました。

恐竜展示

恐竜が展示されているエリアですが、なんだか薄暗いです。(写真はだいぶ明るく写っていますが)

かなり薄暗い展示

そして恐竜は上の方にいます。

恐竜が見づらい
上にいるドロマエロサウルス

解説のプレートがこういう感じで置かれているのですが、混雑のため探すのが大変です。これはちょっと残念でした。

ドロマエロサウルスの解説プレート
トージャンゴサウルス これは見づらい

展示内容としては系統学的な話ではなく、恐竜の動きや恒温性などのテーマにスポットを当てた展示が多かった印象です。

恐竜の骨格と筋肉に関する解説
恐竜温血説に関する解説
恐竜の絶滅

これはイグアノドンでいいのか、プレートが見つからなかったので不安です。

イグアノドン?


恐竜の発掘と復元に関する展示


コエロフィシスの産状展示
カマラサウルス
バリオニクス 大きく、通路が狭いのでこれが精一杯
ディプロドクスの頭骨
トリケラトプス頭骨

動く恐竜もいますが動きは控えめです。

吠える、えーと何だっけ?
眠るプシッタコサウルス
柱のレリーフ
柱のレリーフ
柱のレリーフ

ダーウィンセンター

恐竜の展示を見た後、ダーウィンセンターと名付けられた部屋に向かいました。

ここはいわゆる博物学的な展示となっていて、液浸標本を中心に様々なものが収納されている部屋をガラス越しに見ることができます。

剥製や書籍が収納されている部屋
クモの標本
オウムガイ

面白かったのはフェイク標本の展示ですね。エイプリルフールで作られた偽標本などが展示されていました。(QRコードありますが、お金を払わないと中身は表示されません)

フェイク標本
タツノオトシゴの頭

結構ショッキングなものがあります。キリンの頭。

キリンの頭部
センザンコウの全身標本

哺乳類展示

ここは大型の標本がたくさんあります。

骨格は多分セミクジラ

どうやら哺乳類の種類ごとに近縁種と、類似した絶滅動物が集められているようです。象の進化に関する展示。

牙の発達に関する展示

サイがいましたが…ツノはフェイクであると書かれてありました。盗難防止のためとのこと。迷信て怖い。

サイのツノはフェイク
ケサイに関する展示
アルシノイテリウム サイの仲間ではない
イッカクの頭骨
牙が2本になった変異個体のもの

パレオパラドキシアの展示がありました。
日本で見られる展示とは前脚の向きなど違いが見られます。

過去からのパズル パレオパラドキシア

水棲生物展示

次は水生生物の展示でした。
ここはガラスケースの中に展示品が収まっているので、控えめな印象です。魚類、両生類、爬虫類など様々な水棲脊椎動物が展示されています。

魚類の展示
トラフザメ
ワニの展示
Andrias japonicus 日本のオオサンショウウオです
毛の生えたカエル ヘアリーフロッグ
スリナムヒキガエル 集合体恐怖症の人は要注意

中央階段

Heints Hallに戻って階段を登ります。階段にも素晴らしい彫刻が施されています。

そしてあのお方が…感無量です。

チャールズ・ダーウィン像

お宝展示室?

上階には博物館自慢の至宝が展示されている部屋がありますが、何といっても最高に素晴らしいお宝はこれ。「種の起源」の初版本です。こんな豪華な装丁だったんですね。

世界を変えた一冊
ダーウィンの飼育していたハト
ウィリアム・スミスのアンモナイト
始祖鳥 いわゆるロンドン標本です

吹き抜けの2階には鳥類の標本などが展示されていますが、時間もないので先を急ぎます。ステンドグラスなど、建物も素晴らしいのですが、標本の写真を撮るには向きません。

鳥の展示
大きなステンドグラス
博物館の建物自体が芸術品です

鉱物展示室

次に鉱物標本の展示に向かったのですが、これがまた圧巻。かはくのワンフロアくらいある部屋の中にびっしりと展示ケースが並んでおり、成分別, 産地別など様々な基準で分類展示されています。

鉱物展示室
英国の鉱物
英国の鉱物
鉱物標本
鉱物標本

人のいないミネラルショー。

さながら鉱物標本の無限回廊
鉱物標本
鉱物標本
鉱物標本

一生分の鉱物を見たような気分になりましたので、切り上げて地球科学の展示室に向かいました。
そこに災害関連で地震資料が展示されていたのですが、何とナマズがいました。
日本のナマズが地震を起こすという伝説について展示されています。

地震の伝説

さらにこれは阪神淡路大震災の展示です。被害にあった店舗を再現しており、床が動いて震災を擬似体験することができます。(揺れは抑えめですが)

震災時の商店を再現したコーナー
被害の様子を生々しく再現
日本語の解説プレートがありました

他にも津波や火山など災害に関する展示があったのですが、どちらも日本の映像が使われていたのが印象的でした。(さすが災害大国)

続いて地球と生命の進化に関する展示のようです。

風、水、寒気、大地
ブラディサウルス 初期の草食動物
プレシオサウルス 海への帰還
白亜紀の恐竜と、恐竜の絶滅
ジャイアントモア

展示を抜けた場所に「古代のテーブルトップ」という名のお宝がありました。説明によると、古代ローマの街道や墓から発掘された様々な修飾用岩石をはめ込んで作成されたもののようです。

古代のテーブルトップ

次の予定もありましたので、この辺で切り上げてミュージアムショップに向かいました。

Museum Garden

時間がなくて立ち寄れなかったのですが、博物館の庭にはアパトサウルスの全身骨格が展示されています。以下は博物館外から撮った写真です。

アパトサウルスの全身骨格 雨ざらしでいいの?

感想など

とても大きな博物館で、駆け足になってしまったのが残念です。昆虫や人類進化の展示など、飛ばしたり、見落とした展示もかなりあります。
標本の数と質には圧倒されるのですが、特に恐竜の展示室など雰囲気重視で展示が見づらかったりするところも多く、パネルと丹念に読んでいかないとならないのに混雑で時間がとれなかったりしたのが残念でした。
一方で恐竜を解剖学的に見た展示も面白かったですし、復元骨格よりも化石展示が中心な点も日本の博物館と違って印象的でした。
訪れる際にはぜひ丸一日時間を確保して行かれることをお勧めします。

アクセスなど

所在地:South Kensington, London
アクセス:地下鉄サウスケンジントン駅から徒歩5分
入場料:無料(5ポンドの寄付をお願いしています)
開館日・開館時間:ウェブを確認願います。(クリスマス休館などがあるようです)
施設:ミュージアムショップ、カフェ、いずれも複数箇所あります


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