【vol.17】けんざいとせんざい
いきなりですが想像してみてください。
ここにとある【油性マジックペン】があります。
このペンには
・インクが従来品の《2倍》長持ち
・何に書いてもすぐ消える
・値段が従来品の《5倍》高い
・他社も同じ商品をかなり扱っている(結構知られている)
という4つの特徴があります。
あなたが「このペンを売ってこい!」と言われた営業マンだとしたら、以下の2人のお客さんのうちどちらに売りに行きますか?
■ 値段が高い商品の価値を分かってくれるのは誰?
このクイズの目的は、【値段が5倍もする商品をいったい誰に売りに行くか?】を考えること。
一見すると
A.「インク切れでいつも困ってる人」
が買ってくれやすそうですが、このお客さんが【あなたからペンを買ってくれる可能性】はほとんどありません。
なぜか?
すでに他社も販売している上、市場認知度も高い状態なので、「ライバルが多くてあなたから買う理由がないから」です。
ちなみに、今まで弊社の研修でこのクイズに挑戦した方は300名以上になりますが、そのうちのなんと80%以上が(A)を選びました。
つまり《インクが切れて困ってる人》の周りには、《ペンを売りたい営業マンがうじゃうじゃいる》状態です。
このお客さんのように「今すぐ買いたいと思ってる人」のことを【顕在客(けんざいきゃく)】と言います。
この顕在客はモノを買ってくれるのは間違いないのですが、ライバルが多くなるばかりか買い手の立場の方が強くなるので、なかなか利益が出にくい。
住宅業界に置き換えると「今すぐ家を建てたいと思ってる方へ!」というキャッチコピーをつけるのと同じです。
一方、B.「子どもをのびのび育てたいと思ってる人」は、ペンのインク切れについては何にも困ってません。
でも《すぐに消える》という特徴をアピールすれば、家の壁やテーブルに落書きされて子どもを叱りつけてしまう…というストレスから解放されるばかりか、楽しそうにのびのびお絵描きをしている子どもの姿を想像することができます。
つまり、いま目に見えて困ってはいない(気づいていない)けど、実はめちゃくちゃ得をする、もしくは悩みを解決できる状態にあります。
こんなお客さんを【潜在客(せんざいきゃく)】と呼びます。
この「潜在客」の特徴は
気づかせたあげた営業マンの話を熱心に聞いてくれる
ライバルが圧倒的に少ない
商品やあなたに惚れ込んでくれる
ということ。
つまり、気づかせるのは大変だけど、良いお客さんになってくれる可能性が非常に高いのです。
■お客さんは自分の欲しいものを知らない
住宅業界で実際に使われた【顕在客向け】と【潜在客向け】のキャッチコピーを見てみましょう。
このように、同じ商品を売るにしても、呼びかけ方や内容が大きく変わることがお分かりいただけると思います。
「家の特徴を伝えても最後は価格勝負になってしまう…」と悩んでいる工務店さんは、ライバルの多い【顕在客】にアピールするよりも、強烈なファンを作りやすくなる【潜在客】を掘り起こすチャレンジをしてみてください。
■今日のまとめ
【潜在客】を意識すれば、新たな市場を開拓できるチャンスが生まれる