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好みの木の実|油山福岡*野鳥ブログ⑫

皆さん、こんにちは。日々お疲れ様です。
学校、職場、家の外、今日はどんな鳥さんに会いましたか??

先週末は油山ヤマガラの会さんの活動日。その名も「ピーチク会」が開催されました。今回のテーマは「鳥が好きな木の実を覚えよう♪」
いつもの野鳥観察に加えて、鳥さんたちが好きな木の実をみんなで確認して回りました。

ハゼノキの周りにいろんな野鳥が来ていましたよ。

猛禽類以外の小鳥たちの食料(春夏期)は基本昆虫類。
ですが秋冬は昆虫がぐっと減るので、メインディッシュに木の実などが加わってきます。ならば鳥たちの好みの木の実を知っておくと、出会える頻度がぐっとアップするはず♪…ということで、今回はヤマガラの会の達人の皆さんの目撃情報をもとに、油山の鳥たちの好みの木の実をいくつかご紹介したいと思います♪

①ハゼノキ(ウルシ科の落葉小高木または高木)

関東~沖縄の暖温帯・亜熱帯に野生化または自生。かつてはロウ採取のため栽培され、沖縄以外は野生化ともいわれる。海岸~低山の林縁や明るい林で見られる(山渓「樹木の葉」より)

鳥さん人気1,2位を争うのはこの「ハゼノキ」ではないでしょうか。
今時期紅葉もとてもきれいです。文一総合出版の「野鳥と木の実ハンドブック」ではキツツキ類、ツグミ類、メジロと記載されています。
油山では
メジロ、ジョウビタキ、シロハラ、アオゲラ(以上4種が写真あり)、ルリビタキ、カワラヒワなどが確認されています。

余談ですがハゼの実の皮がむけて道路に落ちたものは「ネズミの小判」という愛称で、幼稚園児や小学生にとても人気です。10個集めることが出来ると願いがかなう♪なんて話もあったりします。
ひとつ叶うとするならば皆さんの願いは何ですか?

年末ジャンボがどうか当たりますように。


②カラスザンショウ(ミカン科の落葉高木)

本州~沖縄の温帯に自生。海岸から山地まで林縁や二次林で見られる。(山渓「樹木の葉」より)

お次はカラスザンショウです。
この木の葉っぱはアゲハの幼虫に人気。花が咲くといろんな昆虫が吸蜜しにやって来ます。そして秋になる木の実は鳥さんみんなに大人気!
1年を通してたくさんの生きものの命を育んでいる木です。

文一総合出版の「野鳥と木の実ハンドブック」ではツグミ類、ウグイス類、ヒタキ類と記載されています。

左からキビタキ♀、ソウシチョウ、ウグイス、ムギマキです。

油山では写真の鳥さんに加え
オオルリ、ジョウビタキ、ルリビタキ、アトリ、マヒワ、ウソ、シメ、カワラヒワなどなどいろんな鳥が確認されています。


③トキワサンザシ 別名ピラカンサ(バラ科の常緑低木)

西アジア原産。植栽でよく見かけるが時に野生化も。

自然観察センターとくすの広場の間の周回路にこのピラカンサが植わっているのですが、2年ほど前、ここはシロハラやマミチャジナイのレストランか!?とつっこみたくなるくらい彼らが押し寄せている時期がありました。
残念ながら今年の油山のピラカンサは不作。実がちょびっとしかできておらず、木の実レストランは閉店休業中の模様です。

ちなみに文一総合出版の「野鳥と木の実ハンドブック」ではやってくる鳥はレンジャク類、ムクドリ類、ツグミ類とあります。
油山では先ほどのシロハラ、マミチャジナイに加え、メジロ、ジョウビタキ、シジュウカラが実を食べている姿が確認されています。

鳥たちが好きなのは木の実だけではありません。ススキやセイタカアワダチソウ、イタドリなど草の種も大好物だったりします。

④セイタカアワダチソウ (キク科の多年草)

北アメリカ原産。観賞用に栽培されていたものが野生化し、戦後急速に全国に広まった。川の土手や荒れ地に大繁殖する(山渓「野に咲く花」より)

植物の世界では「日本の侵略的外来種ワースト100」にリストアップされているセイタカアワダチソウではありますが、こちらも一部の鳥さんに人気です。
油山でよく確認されているのがベニマシコ
綿毛付きだなんて口の中でもたつかないのかしら、というこちらの心配もなんのその、むしゃむしゃ?ぽりぽり?ついばんでいる様子は冬の風物詩です。

セイタカアワダチソウの種子を食べてくれるのはとてもありがたいですー


さて、今回は鳥さんに人気の木の実3種と草の種をご紹介しました。
①ハゼノキ②カラスザンショウは園内周回路沿いに点在、③ピラカンサは自然観察センターとくすの広場の間、④セイタカアワダチソウはトレイルアドベンチャー付近にスポットがあります。
ただこれはほんの一部。まだご紹介できていないものがたくさんあるのですーー。。

ということで!来月12月7日から自然観察センターにて「鳥と木の実」コーナーの展示を予定しています♪
そこでは木の実の実物展示を含め、このブログでも一部ご紹介した野鳥調査ボランティア「油山ヤマガラの会」の皆さんが撮影された木の実を食べる鳥さんの写真を展示する予定です。

落葉が始まり、見通しが良くなってきた初冬の森。
木の実を食べる鳥たちをぐっと身近に感じることができます。
ぜひぜひ油山へおいでください♪お待ちしております♪



参考文献・引用:
叶内拓哉氏「野鳥と木の実ハンドブック」(文一総合出版)
林将之氏「樹木の葉」(山と渓谷社)
林弥栄氏「野に咲く花」(山と渓谷社)
野鳥写真:
日下充氏、宮石弘さん、大木伸泰氏
(野鳥調査ボランティア油山ヤマガラの会)
植物写真:スタッフ、一部写真AC
文:土屋志乃
(ABURAYAMA FUKUOKA自然観察センター)



ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター

福岡市油山にすむ生きものの標本や季節の展示、最新の自然情報発信を行っています。各専門スタッフが交代で常駐していますので、自然・生きものの困り事はお気軽にご相談ください。

開館時間 9:00~16:30
休館日  毎週水曜日(祝日の場合翌平日)

「自然観察センター」森のひろばから徒歩約3分の場所にひっそりとあります。
昆虫標本や動物の剥製を展示しています
季節で変わる企画展示も随時行っています。

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