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最近カラスがほんとにヒドイ|あぶらやま野鳥ブログ⑨
みなさん、こんにちは。カンカン照りな日が続いてますね。見かける鳥たちも暑そうに口を開けています。
タイトル通りですが、ここ最近園内でカラスに食べ物を盗られる事案が多発しています。人々が和気あいあいとお昼ご飯を食べる中忍び寄り、一瞬のスキをついておにぎりやパンをかっさらって行ったり、置きっぱなしにした荷物の中からファスナーをあけてスナック菓子を抜き去ったり…
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自動ドアが開くタイミングでカラスが飛び込んできて、店内で売っているお菓子をくわえ、ドアが閉まる前に出ていくそうです。恐るべしカラス!!
そんなちょっと困りもののカラスのこと、見かけてはいるけど詳しく知らない。そんな方も多いのではないでしょうか。
ということで、今日のテーマは「カラス」!
せっかくなのでこれ知ってたらすごいよ!をレベルに分けてご紹介します。よかったらお付き合いください。
【カラスレベル初級】カラスは2種類いる、を知っている&見分けることができる。
意外と知られていないのですが、国内で繁殖しているカラスは2種類います。ハシブトガラスとハシボソガラスです。
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ぱっと見分ける一番のポイントは①クチバシ。
クチバシがふといから「ハシブト」、クチバシがほそいから「ハシボソ」。
加えてハシブトガラスはおでこがぼっこり立ちたがっています(個体差あり)。
画像に書いている通り鳴き声も違います。そして大きく違うのが採餌方法です。
ハシブトガラスのやり方はずばり「狙い撃ち」。
木の枝などにとまり、エサがあるのが見えた→よし、あれを食べよう→木から降りて即ハンティング、という流れ。
ハシボソガラスは「歩きながら探す」。
ここの落ち葉の中にいるかな?→ガサゴソ→いないぞ、じゃああっちは?→ガサゴソ→見っけ、という流れ。
今園内で食べ物泥棒をしているのはハシブトガラス。
森のひろばでシートを広げると、どこからともなく現れ、近くの枝にとまり、じーっとこちらを観察しています。園内を観察していてもハシブトガラスの方が多い印象です。
皆さんがよく見るカラスはどちらでしょうか??
【カラスレベル中級】おとなカラスと子どもカラスを見分けることができる。
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カラスの繁殖期は春。一般的に3月くらいから巣作りが始まります。7月の今時期になると子ガラスは巣立ちして、パッと見、親ガラスと違わないくらいの見た目になります。
ただ一点、見分ける方法があります。「口の中の色」です。
おとなのカラスの口の中は真っ黒。対する子ガラスは赤色(ピンク色)、そして次第に黒くなっていき、2歳以上はおとなと同じ黒色となるそうです。
7月のはじめ、園内の池の鯉にエサをやっていたら3,4羽のグループが集まってきました。1羽の口の中は黒色。他の個体はピンク色。なるほど、親子でやってきたのね、なんて推定ができました。むふ。中級クリア!
【カラスレベル上級】カラスの言葉が分かる!
カラスってなにやらいろいろ鳴いてますよね。
何を言っているんだろうと常々思っていたのですが、この鳴き声を研究している方がいらっしゃいました。㈱Crow Labの塚原直樹さんです。塚原さんが書かれた「カラスをだます」にある「今日から使える鳴き声辞典」はとても興味深いです。その一部をご紹介します。
①「アー」という優しい鳴き声。
これはコンタクトコール、「挨拶の鳴き声」だ。群れているカラスたちはこれでよく鳴き交わす。僕はここだよー、私もいるよー、という感じだ。
②「アッ アッ アッ アッ」という、平板な短い鳴き声の繰り返し。
餌を見つけた時に聞かれる「食べ物みっけ!」だ。これが聞こえると、餌にありつけると思ってカラスは集まってくる。
③「アッ アッ アッ」という強く短い繰り返し。
これは「怪しいやつが来た!気をつけろ!」という警戒の鳴き声だ。警戒度合いが強まると鳴き声と感覚が短くなり、繰り返し回数が増えて「アッ アッ アッアッ アッ アッ」となる。
④「ガーガーガー」と濁った声は「威嚇」だ。
(中略)この鳴き声を聞いたら、カラスは威嚇攻撃の臨戦態勢に入っていると思って注意してほしい。いわば最後通告だ。
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あー!たしかに聞いたことある!というものも多いです。お昼にひろばでお弁当を食べようとした時に②の「食べ物みっけ!」の鳴き声がしたら要注意ですね。
うーん。カラスに困っている現状は変わってはいないですが、なんだかちょっとカラスの声が聞きたくなってきました(笑)。
皆さんはいかがでしょうか。ぜひ上級者めざして?カラスを観察してみてください。
そして園内で休憩される時は、必ず食べ物は隠して、荷物からは目を離さないようにお気を付けくださいね。
あと「餌付けはダメ!絶対!」です。記憶力の高い彼らに「人間は美味しいものを持っている」ということを学習させないようどうぞよろしくお願いします。
参考・引用:
「カラスをだます」塚原直樹氏 NHK出版新書
「鳥類学者の目のツケドコロ」松原始氏 ペレ出版
写真:※一部写真AC
日下充氏、大木伸泰氏
(野鳥調査ボランティア油山ヤマガラの会)
文 :土屋志乃
(ABURAYAMA FUKUOKA自然観察センター)
ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター
福岡市油山にすむ生きものの標本や季節の展示、最新の自然情報発信を行っています。各専門スタッフが交代で常駐していますので、自然・生きものの困り事はお気軽にご相談ください。
開館時間 9:00~16:30
休館日 毎週水曜日(祝日の場合翌平日)
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