2023年度の冬鳥をふりかえってみた|あぶらやま野鳥ブログ⑤
皆様、こんにちは。あっという間に3月も中旬になりましたね。もうすぐやってくる4月から環境が大きく変わる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ちょうど同じタイミングで鳥たちの世界も変化があります。
秋冬に油山で越冬していた渡り鳥(冬鳥)たちが繁殖地に向けて旅立つ、そんな時期がいよいよ近づいてきました。
今回は今季の冬鳥たちの動向を、野鳥調査ボランティア“油山ヤマガラの会”の皆さんの記録(と私の所感)を参考に振り返ってみたいと思います。
※昨年度との比較をしたりしてますが、調査に入った回数もルートも全く一緒、とはいえないのであくまで参考程度に読んでいただけると幸いです。
今年の動向をひとことで言うと「今期の冬鳥は例年より少なかったな」です。その中には
①あまり確認されなかった種
もあれば
②来てはいるけど個体数が少なかった種
もいます。逆に例年より多く確認された種もありました。
■今季あまり確認されなかった鳥さん
最たるものが「アトリ」です。もともとアトリは年によって個体の増減が激しい種といわれていますが、今季の油山では特に少なく、年明け以降目撃例なし、となっています(涙)。3年前などは“もみじ谷に行けば30~50羽くらいの群れが見られる”という認識だったのですが今季は寂しい限りです。
同じく例年に比べ圧倒的に目撃数が少ないのは「クロジ」
昨年度も今年度も目撃数が少ないのが「マヒワ」
初認以降、油山で確認されていないのは「ビンズイ」です。
■渡来しているものの個体数が減ったなと感じる鳥さん
「ジョウビタキ」と「ルリビタキ」です。
昨年度ジョウビタキは、園内いたるところで「ヒッヒッ」と鳴いていました。1回の調査で5か所、6か所にて確認!というのもざらで、油山に来ればほぼほぼ会える!といえる種でした。今年度はそこまでではなく、見かけない日もあるくらいです。
ルリビタキも園内にいるものの、昨年度より気持ち少ない印象です。
■今年は多かった!と感じる鳥さん
ダントツで「キクイタダキ」です。
11月の初認以降、あちらこちらで2,3羽の小群を見かけました。12月以降はキクイタダキだけの小群だけでなく、混群の中にいる姿がよく確認されました。私の感覚としてはエナガよりもよく見たな!という感じです。
場所も定番のアカマツ林だけではなく、つり橋近くのモミジや、水の森のヒノキ林など色んな場所で出会いました。
■めずらしく油山に現れた鳥さん
今年度はめったに来ない鳥が珍しく来た!年でもありました。
油山ではレアな「シメ」←左写真
そして10数年ぶりに「ヒレンジャク」←右上写真
あわせて油山では初確認となった「キレンジャク」←右下写真 が一時期くすの広場に現れたことがありました。
■そろそろ旅立ちの時期がやってきます
ざざっと今季を振り返ってみました。いかがだったでしょうか。
読んでくださっている方の中には、油山へ通われている方もいると思います。皆さんは今季どんな印象をお持ちでしょうか?よかったらぜひ教えてくださいね♪
ちなみにシーズン初めの確認を「初認(しょにん)」というように、シーズン最後の確認を「終認(しゅうにん)」といいます。昨年度の終認日はこんな感じでした↓
2月12日ベニマシコ
3月10日クロジ
3月25日キクイタダキ
3月26日ジョウビタキ・マヒワ
3月27日トラツグミ
3月28日ウソ
4月15日ルリビタキ
4月16日ミヤマホオジロ・ビンズイ
4月22日アオジ
4月28日アトリ
5月9日シロハラ
ただいま森はカラ類たちがさえずり、続々と繁殖期に突入している中、冬鳥たちは旅立ちを前に栄養補給に一生懸命の様子。すでに油山を離れた個体もいるのでしょう。
冬鳥のシーズンもあとわずか。よかったらぜひ♪
油山でお待ちしております。
写真:酒井さん、日下さん、大木さん、宮石さん
(野鳥調査ボランティア油山ヤマガラの会)
文:ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター 土屋
ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター
福岡市油山にすむ生きものの標本や季節の展示、最新の自然情報発信を行っています。各専門スタッフが交代で常駐していますので、自然・生きものの困り事はお気軽にご相談ください。
開館時間 9:00~16:30
休館日 毎週水曜日(祝日の場合翌平日)