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真冬の白い花?|あぶらやま植物ブログ⑬

皆さんこんにちは。寒い日が続いてますね。

たしか去年の2月。あれは中旬だったか下旬だったか。一般来園者の方から「この時期に桜みたいなのがいっぱい咲いてるんだけど!!!」と一報ありました。

なぬ?そんなことがっ!!??ともうひとりのスタッフと見に行くと、そこにはまるで満開の花が咲いたような景色が!!
よくよく見ると、枝いっぱいに綿毛がついています。ちょっと遠目だったので、花と見間違えてもおかしくないくらいでした。

こんな感じです↓↓

その時は遠すぎてスマホでは撮れませんでした。この写真はフリー素材から拝借してきましたが、まさにこんな感じでした!

この白い花の正体は「コバノボタンヅル」のなんと種子!?
つる性植物であるコバノボタンヅルが落葉した木に絡みついたことで、まるでその木が花を咲かせたように見えていたのです。

これはP5駐車場のコバノボタンヅル。ふわふわの綿毛がびっちり。
茶色の種子は5、6個合わさって星形のようになっていますが、ひとつひとつはフサフサの尾っぽのような綿毛がついています。

通常「綿毛」というと、落下傘型をイメージする方が多いのではないでしょうか。

上からテイカカズラ、ヒヨドリバナ、セイタカアワダチソウの種子、みんな落下傘型です。
改めてコバノボタンヅルの種子のアップ。落下傘型ではありませんが、綿毛がびっちりで風をとらえてくれそうです。

この時期、とても似た形の種子をつけるものがいます。
形はそっくりだけどコバノボタンヅルより2まわりほど大きい種子。「センニンソウ」という植物です。

上がセンニンソウ、下がコバノボタンヅル
この長い綿毛を仙人のひげ や白髪に見立てたのが「センニンソウ」という名前の由来です。

ちなみに、コバノボタンヅル、センニンソウともに油山では8月末から9月頭に咲き始めます。
夏の終わりに森を彩る白いお花たちです。

9月初旬に開花したP5駐車場のコバノボタンヅル。
そしてセンニンソウ。どちらもつる性植物で似ていますが、コバノボタンヅルの葉っぱはギザギザ、センニンソウは葉にギザギザがないのが見分けやすいポイントです。

そして今、冬の森を歩いていると落葉した木々の枝先で綿毛を広げる彼らはとても目立ちます。光が当たっているとさらにきれいです。
この時期ならではの「冬の花」をどうぞお楽しみください。


写真・文:土屋志乃
(ABURAYAMA FUKUOKA自然観察センター)
※一部写真は写真AC


ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター

福岡市油山にすむ生きものの標本や季節の展示、最新の自然情報発信を行っています。各専門スタッフが交代で常駐していますので、自然・生きものの困り事はお気軽にご相談ください。

開館時間 9:00~16:30
休館日  毎週水曜日(祝日の場合翌平日)

「自然観察センター」森のひろばから徒歩約3分の場所にひっそりとあります。
昆虫標本や動物の剥製を展示しています。
季節で変わる企画展示も随時行っています。







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