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    湯らゆら

    湯にひたり白鶺鴒の息をのむ

    湯らゆら

    庭のささ鳴き

    ささ鳴きがする ――ヒバリだ。 庭木と呼気を交わしあう ――一匹のヒバリ、 ふくんだソウゾウを口にする 「――――――」 胸のふくらみにささ鳴きがコダマしている

    庭のささ鳴き

    灰空

    屋根のうえ手触りのある梅雨の空

    梅雨のうろう

    ハスの葉に銀雲なびく雨だまり

    梅雨のうろう

    ツバクラメ

    梅雨空を搔き分けのぼるツバクラメ

    ツバクラメ

    梅雨のつき

    二重窓かさねて梅雨の月かさむ

    梅雨のつき

    雨上がりの阿蘇

    雨あがりの阿蘇 田にひく水のいきいき

    雨上がりの阿蘇

    夏のいとま

    背表紙の紐を忘れし午睡かな

    夏のいとま

    紫苑の華

    つぐむのは姫女苑をや鷽の口

    紫苑の華

    コ魂

    不自由な腕で すっくりと 盲目なかなたで 立ちつくす。 ことに冷たく、ごとに優しき  硬質なアナタのUNhold  樹皮下を脈うつUNcold 鼓動を静かに 重ね合い ココロの強かを 解きあい この星の一端ヲ――木霊する

    クオリアの空

    ふいに、ただの道行きに ひらけた視界の新鮮さ 旧道木陰のふちの外、 広大無辺な光のもとに 小さき粒を連ねる空と――  のかんかく、と   カチリ。 嵌り込んだ器。がこぼす、自然な 流れるモノの輝きを ――野のユリと 呼ばずにはいられない

    クオリアの空

    春のノラ

    たしなめに野良は甘噛み春の夕

    春のノラ