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生活道路 時速30キロ規制へ
法定速度を変更
政府は23日、中央線などがない一般の生活道路での法定速度を現在の時速60キロから時速30キロまで引き下げることを盛り込んだ道路交通法の施行令の改正を閣議決定しました。
センターラインや中央分離帯のない道路で、目安として道幅が5.5メートル未満の狭い道路などが対象となっていて、現在、標識などがない生活道路※の多くが含まれる見通しです。
歩行者保護を優先
一般道路での車の法定速度は現在、道路交通法の施行令で、「時速60キロ」と定められています。
住宅地や商業地にあって道幅も狭いいわゆる「生活道路」でも、区間を指定して最高速度を設ける標識や標示がある場所をのぞき、時速60キロまでの走行が可能になっています。自動車の速度が時速30キロを超えると、歩行者の致死率が急激に上昇するというデータもあります。
3年前に最高速度の標識などがなかった千葉県八街市の道路で飲酒運転のトラックが児童5人を死傷させる事故が発生するなど、歩行者や自転車の安全確保が課題になっていましたが、生活道路に標識や標示をくまなく設置するには、財政面の限界もありました。
今回の改正は、住民が徒歩や自転車で利用したり近くに学校があったりする生活道路の安全を確保するのが目的です。
2026年9月から施行予定
道交法施行令の改正案では、新たな速度規制は、再来年(2026年)9月から施行する予定で、政府は今後2年間かけてドライバーなどへの周知を図ることにしています。
農道・山間道路などは除外か
なお、警察庁が5月31日~6月29日に実施したパブリックコメント(意見公募)では「郊外の農道や山間部の道路のように、中央線はないが幅員は広い道路は対象から除外すべきだ」などの意見が寄せられました。
警察庁はこうした幅が広いがせんラインのない道路には実態に応じて新たに標識を設置し、30キロ以上の速度で規制することを検討しています。
また、既に標識や路面標示がある生活道路は、引き続きその速度が適用されます。
※生活道路:明確な法的定義はありませんが、警察庁は主に、中央線の設置の目安とされる幅員 5.5m未満の道路を想定。統計では、全国の一般道の約7割が該当するといわれている。
(NHKニュース・共同ほか 2024.7.23)
横断歩道の白線間隔の改定
なお、今回の道路交通法施行令の改正では、横断歩道の白線同士の間隔を現在の2倍の90センチまで広げられるようにする改正も決定しました。
こちらは、7月26日から実施されます。横断歩道の設置・維持費用の削減などが目的です。
警察庁は当初、全ての横断歩道を対象にする方針でしたが、視覚障がい者の安全を図るため、間隔を広げるのは音響信号機や専用点字ブロックが設置されている場所に限ることにしています。パブリックコメントで、「白線の間隔を広げると、塗料の凹凸を足で感じている視覚障害者や視力の弱い人が横断歩道を認識しづらくなる」との意見があったことを踏まえました。
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