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連載小説『ヰタ・セクスアリス・セーネム』四章 レンタル彼女(三)

「なあ健一、前にキャバ嬢とジイのテーマで、お前の知り合いのおっさんから聞いた話をオレにしてくれたやんか。おぼえてるやろ」と順平が問う。
「ああ、レポートつくった、あれやろ。嫁さんにわからんようにデータを印刷して俺の引き出しの奥に入れといた」と西本が重要文書の可視化をわざわざしたことを知った。
 まあ、健一のリスク管理の甘さにあきれながらも、よその夫婦の事まで構もうておられんわいと順平が続けた。「……でな、お前がレストランで出くわしたのが、ほんまにレンタル彼女とそのお客さんかどうかは置いといて、レンタル彼女について、例のおっさんに聞いてもらえんか」
「へえ、お前も隅に置けんなぁ。興味、持ったか。よっしゃ聞いといてやるわ」と西本が請け合ったと順平は思ったが「と言いたいねんけど、もう聞いた」そうだ。
「で、どやった?教えてぇな」順平が乞うた。
しかし西本の答えはこうだった。
「それがなぁ、おっさんの言うには『わしは、キャバ専門じゃ』っちゅうて何も教えてくれへんねん」

 ならば、自分たちで調べるほかあるまい。順平がパソコンを開いて、西本は自分のスマホでさっそく調査を始めた。順平が「レンタル彼女」と検索したら出た。URLのホームページの一ページ目を表示したところ、「レンカノ」という言葉が目にはいった。レンタル彼女をつづめたものらしい。これは、かなり市民権を得ている可能性があると思った。

「レンカノね。なにぃ、グループ累計利用者数○万人と~!俺たち、出遅れちまったようだぜ」スマホで同じURLに行き当たったらしい西本が珍しく関東の言葉で声を上げた。
「ふむふむ、人気の定番デートが《日帰り温泉に岩盤浴》だと~!おぅ、《男女別浴》と小さく書いてて、逆にホッとした」今度は順平だ。
西本が順平の肩に手を置いて言う。「あせるな。しずまれー、鎮まれー。第1位はランチ&ディナー、第2位がテーマパーク、第3位が観光・ショッピング、第4位スポーツ観戦・映画・演劇、第5位岩盤浴・小旅行と続いてるでぇ」
 ホームページの一頁目から、度肝どぎもを抜かれた二人であった。順平がつぎに、メニューから<料金とシステム>をクリックした。


 

 
 
写真は呼吸 <こさいたろ> さんの画像をお借りしました。

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