轡田哲朗×塚越始対談│浦和レッズ「大槻組長2020→リカ将2021 総括&展望」とても重要だった1年の先へ――「一貫して思っているのは、このクラブは実績ある選手の人数が多すぎるということ」「『3か年計画』は一つのメタファーであり」
Jリーグの浦和レッズを丹念に取材してきたフリーランスの轡田哲朗氏とサカノワ編集長の塚越始氏による、浦和レッズの2020シーズン総括&2021シーズン展望を対談形式で行った。
クラブ初のスペイン人指揮官となるリカルド・ロドリゲス監督の就任により、浦和は2021シーズン、また新たな時代を迎える。一方、スクラップ&ビルドを繰り返してきた歴史のなかでも、「2020年」は浦和にとって、非常に重要な1年だったと言える。
それぞれの視点で長年に渡り浦和の選手の一挙手一投足を追ってきた二人で、2020シーズンを徹底検証する。
ちなみに――二人の関係はさかのぼること7年前。塚越氏は2010年からサッカー専門誌の浦和担当をし、轡田氏が浦和のクラブオフィシャルライターという関係に。原稿を依頼する機会も数多くあった(発行されなかったほぼ完成していた幻の優勝増刊は4冊を数える)。
互いにフリーになったあとも、ACL(AFCアジアチャンピオンズリーグ)の韓国でのアウェーゲームにともに行くことも。近年は、轡田氏が浦和を全試合チェックし(浦和レッズレディースを含め)、キャンプや練習取材も精力的にこなしている。一方、塚越氏は浦和を軸にJ2、J3、さらにドイツなど海外まで取材し、検証や比較など落とし込んできた。
そのあたりの異なる視点からも、議論は深まっていった。
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▼5レーンの意識付け。レオナルド、汰木、マルティノス…「そこが塚越さんの言う『個』に頼っている部分でしょうね」
塚越 浦和の2020シーズン、J1リーグは13勝7分14敗(43得点・56失点)で10位。シーズン序盤はレオナルド、途中から少し汰木康也、そして中盤から終盤はマルティノスの「個」の力を最大限に生かし、勝点を掴んでいった印象が強かったです。そこにエースである興梠慎三をはじめ、推進力のある山中亮輔、関根貴大、彼らと相乗効果を生み出せる武藤雄樹も終盤に絡んで。結果的には「個」への依存が強かったな、と思うのですが、轡田さんは?
轡田 そうですね。マイボールについて言えば、GKから最終ラインとボランチのところまでのビルドアップに原則がありました。サイドの関係についても縦に重ならないようにポジションを取ろうというキャンプからのやり方がありました。その上で、敵陣では個々に力を発揮していくことで、徐々にコンビネーションが確立されればという考えはあったと思います。
塚越 なるほど。5レーンの意思を徹底させていた、と言えるでしょうか。
轡田 戦術的な用語を用いるなら、それが基本にあったと思います。キャンプの時の指示で、サイドの選手に「レーン被りしないようにやろう」という声がありました。
塚越 ただ横浜F・マリノスほど「徹底されているな」と、なかなか感じられなかったです。例えばF・マリノスは、ハーフスペース(ピッチを縦に5分割した中央の隣の2レーン)を攻略すると、スタジアム全体が「来た!」という雰囲気になります。そういう道筋みたいのが最後まで作れなかったような。
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