悪口を言われる女社長さんの優しさ
昔、母はパートのおばさん4人だけの
小さな町工場に勤めていました。
毎日毎日、みんなが話す女社長さんの悪口を黙って聞いていたそうです。
(ー ー;)
ある日、女社長さんは母に
「 宮内さん、国民年金かけている? 」
と、聞いてきたそうです。
母には初めて聞く言葉です。
「 いいえ、知りません。」と答えると
後日、自分の車を出して今で言う年金事務所に母を連れて行き
国民年金加入の手続きを手伝ってくれました。
母は未加入時期の分を、貯金をかき集めて納め
父とともに無事に国民年金加入者になることが出来ました。
母はいつも私に言いました。
「 あの女社長さんのことを、みんな悪く言っていたけれど、そんなこと無かったよ。親切にしてくれた。」
やがて歳月が流れ、母が第一回目の国民年金を受け取る日がおとずれます。
母はその年金で女社長さんが好きな果物を買い、
「 あの時は本当にありがとうございました。おかげさまで今日、年金をいただきました。」と
お礼を言いに伺ったそうです。
私はこの母の話を聞いて、心から女社長さんに感謝しました。
母はとても長くここに勤めていましたが、
姉がスキーで足の骨を2本折り、長期入院したことがきっかけで退職しました。
母よりずいぶんと年下だった女社長さんは亡くなり、94才になった母は
わずかではありますが国民年金で無事に暮らしています。