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『最善のリサーチ』翻訳者あとがき

2024年5月刊行の『最善のリサーチ』の翻訳者陣による、あとがきを全文掲載します。

翻訳者あとがき

本書の原題は「Just Enough Research」 です。そのまま訳せば、「必要十分なリサーチ」になるでしょう。事実、翻訳をし始めた当初は「必要十分なリサーチ」というタイトルで刊行する予定でした。

しかし、翻訳を進める中で「必要十分なリサーチ」では、著者のErika Hall(エリカ・ホール)が伝えたいことと一致しないと翻訳チームは判断しました。リサーチは、単に情報を集めるのではなく、真の洞察を得るための活動であることをこの書籍から学び、もっと最適な言葉があるのではないかと模索しました。
「ちょうどいいリサーチ」、「適当なリサーチ」、「最適なリサーチ」など様々なアイデアとしばらくの空白期間を経て、リサーチの価値を伝えたいという想いから「最善のリサーチ」というタイトルに決定しました。

この「最善」は、実はドイツの高級自動車ブランドメルセデス・ベンツの基盤を作り上げたKarlFriedrich Benz(カール・フリードリヒ・ベンツ)の「最善か無か」という言葉に由来しています。この言葉は「最善を尽くさなければ無と同じで、中途半端なものは存在しない」という意味を指しますが、リサーチにも同じことが言えると私たちは考えています。

皆さまには、リサーチを行うたびに本書を手に取って欲しいと考えています。
一通り読むだけでなく、リサーチの現場では当然のこと、普段の仕事でも積極的に活用していただけると考えています。それは、組織にはコミュニケーションや傾聴の能力が利用できるからです。人の本質的な理解とインサイトを見極める能力でプロダクト開発できます。

プロダクト開発チームが、最善のリサーチを行うことができれば、リサーチ
対象者の視点から物事を見ることができます。
現場でのトライアンドエラーを繰り返し、本書を読み返すことで理解が深まるでしょう。
私たち、翻訳プロジェクトメンバーがそうであったように、何度も繰り返し読むことで、リサーチの本質への理解を深めることができ役立っています。

最後に、私たち翻訳プロジェクトメンバーが最善の翻訳ができるよう支援し
てくださったプルーフリーダーの反中さん、山田さん。翻訳作業期間をぎりぎりまで調整いただいた編集の藤島さんにもこの場を借りて御礼申し上げます。

そして何よりも、本書を手に取って読んでくださった皆さまに、心より感謝
申し上げます。

皆さまの「最善のリサーチ」を心より願っております。

―菊池 聡、久須美 達也、横田 香織


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