泡沫の少女漫画
少女漫画を読むことは、好きだ。
私は少年誌青年誌TLBL、果てにはメンズコミックまで、なんでも読む超雑食人間である。
そしてもちろん少女漫画を読むことだって大好きだ。
しかし、私が"好んで"読むのは結局ジャンプ系で、少女漫画を積極的に読んだりはしない。
なぜか。簡単である。
虚しいから。
この一言に尽きる。
小学生の頃、ちゃおを読んでいた。
月刊はもちろんのこと、私が特に楽しみにしていたのは『ちゃおDX』という増刊号。主にデビュー前の作家さんの短編、もしくは本誌のスピンオフが収録された、辞書のように分厚い少女漫画の宝石箱だった。
発売日は財布を持って近くのスーパーに買いに行く。本誌を読むのを卒業してもDXだけ買う時期は続いた。
こうして集めたちゃおDXを何回も読んだ結果、愛着で全く捨てられず、今も実家のベッド下に収納されている。
時には朝早起きして読んだ。漫画を読む時間が好きだった。
そして思っていた、いつかこのような恋ができると。
大きな間違いだ。
結果20過ぎてもこんな出会いはなかったし、周りにも少女漫画のようなキラキラした恋愛はなかった。私利私欲ばかりのどす黒い噂を聞く度、私は裏切られたような気分になる。
しかし結局ハマるとダメだった。ずっと読んでしまうし、頭もいっぱいなる。BLGLNL、すべての創作物を好むような脳みそにとっては、もはや尊い恋愛ならなんでもこい、という門戸開放具合だった。
その中でも特に、『瞬間グラデーション』(ひろちひろ著)は、本当にダメだった。
これはもちろん尊いという意味のダメである。
しかしそれと同時に、精神に大変なダメージを負ったというダメでもある。
この作品は派手でも地味でもない、良くも悪くも普通の女子高生と、大人しい男子高生の、ベタな学園物の少女漫画だ。
ベタは時に人を殺す。
簡単に言うと、ありそうだからこそ、ないという現実との摩擦で心がしんどくなってしまったのだ。
特に男子高校生の方は、眼鏡男子。私のタイプ、いや、性癖だった。
女の子の性格も"いそう"ないい子な上に絵の可愛さで好感度が更にプラスされて、私はこのふたりがすごく好きになってしまい、
同時に、このような恋がしたいのにできないという葛藤で、精神を病んでしまった。
ただ漫画を読んだだけなのに、精神の消耗が尋常ではなかった。
すれ違いのシーンは胸が本当に痛くて描き毟らずにはいられない。
結ばれても羨ましさで胸が痛い。
私のたいそうな共感力は本当に胸を痛くする。心臓が絞られるように、ぎゅうっと、痛くなる。
しかしこのぎゅうっ、を感じる作品は私に刺さったというサインだとも思っている。
自分の書いた作品でこうなれればいいのだけれど、未だにならない。いつか自分で自分の心臓を絞りたいものだ。
ところで何故今このような記事を書いているのかと言うと、またダメになってしまったからである。
(※さっきのダメと同じ意味を含む)
『痴情の接吻』(如月ひいろ超)
先程全6巻を一気読みした。イーブックジャパンで2冊が無料になっていた、そして表紙が眼鏡だったから__癖には抗えない。
先程の学園モノとは打って変わって、こちらは大人同士の恋愛。ただし、男性側は高校時代からの片想いを拗らせているのでちょっと重め。
オトナの恋愛なので、一筋縄ではいかない想いや葛藤が描かれている。
甘酸っぱい一途な青春漫画も最高だが、少し危うい、踏み込んでいいラインを探す大人の恋愛漫画も至高である。
3月はお金を貯めようと思っていたのに思いもよらない出費だった。
しかし全く後悔していない。
ツンデレな主人公とデレデレの眼鏡彼氏。タジタジなツンデレ主人公は本当に可愛くて大好き。
新刊の発売が今から楽しみだ。読み終わり奥付で3/15発売と知った時の絶望は凄かったが。
(私はすぐに結末が見たいタイプなので、連載中の漫画を買うことは少ない。今日からこのふたりのことで頭がいっぱいになるのだろう)
最終的に、少女漫画を読むと虚しくなってしまうのは、私の恋愛脳が良くないという結論に至った。
漫画と現実の区別もつかないから、少女漫画を読み、心が満たされたと同時に虚しさという大きな穴があきまた空っぽになる。
しかしまあ、心を満たすのはやめられない。
一瞬でもその味を知ったら我慢できなくなるのが欲深い私の性である。
最後に、私は、少女漫画が大好きだ!!
今度はどんな眼鏡男子モノを読もうかな。
(瞬間グラデーション、痴情の接吻は本当におすすめです)
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