指揮者・エフェクト
義務教育の音楽の授業って、「指揮者」についてきちんと教えるべきだと思うんですよ。もしかしたら教えてる学校もあるのかもしれませんが、少なくとも僕はきちんと習った覚えがありません。
小学校で校内の合唱コンクールってあるじゃないですか、アレの時、1人の先生がピアノを弾いて、もう1人、他の先生が指揮者をやったりするわけですが、指揮者が何なのか全く説明を受けてない小学生の僕らには、前に立っている先生が何をやっているのか全く理解が出来ないわけです。
先生にしてみれば、指揮者の指揮棒に合わせて歌うのが当たり前だと思っているのかもしれませんが、僕らは「指揮者が何なのかわかってない小学生」なんですよ。指揮者というものに対する知識がゼロの子供たちの前で急に棒を振りだしたら、「先生がいきなり黒魔術の儀式を始めた」くらいに受け取られても仕方ないと思います。残念ながら悪魔が召喚されたりはしないわけなんですが。
そして中学生になると合唱コンクールのスタイルも変わりまして、ピアノを各クラスの生徒が弾いたり、指揮者も各クラスの生徒から選出されます。大体どのクラスにも1人くらいはピアノを習っている子がいたりして、ピアノを弾く子は自然と決まるんですが、指揮者はどういうわけか、多数決で決めてたんですよ。
で、信じられない話なんですが、中学2年の時の合唱コンクール、多数決の結果、僕が指揮者をやることになりました。
音楽の授業とかで指揮者が何なのか説明されたことがなかったので、僕は中2になってもまだ指揮者が何なのか理解していなかったんですが、今になって思えば、クラスの大半が理解していなかったのかもしれません。
当時、仲が良かった友人のT君にいたっては、指揮者を決める投票で、「仲が良かったから僕に入れた」そうです。いやそこは仲が良いからこそ僕に入れんなよ。
そんなわけで僕が指揮者をやる事になり、音楽の授業での練習中、どう棒を振っていいのかわからなかったので、適当に棒を振っていたら、なぜか音楽の先生、男性だったんですが若い頃の長嶋茂雄さんに似ていたので「しげお先生」とします。しげお先生からは「良い指揮だ!!」と褒められました。
いや、僕は適当に棒を振ってるし、僕が適当に棒を振る事によって、みんなの練習時間を棒に振っているのに、しげお先生は何を言っているんだ?と思ったんですが、その時の僕は「ここで媚びておけば成績が上がるかもしれない」とか考え、
「ありがとうございます!この調子でがんばります!」
とか、僕の人生でトップクラスに心にも無いことを言いました。棒はその後も適当に振るわけなんですが。
結局、コンクール本番はどうなったのか覚えていないんですが、当時の音楽の成績は5段階評価の2でした。しげお、なんでやねん。
いまだに指揮棒はどうやって振ったらいいのかわかりません。