みかんって意外と万能!?みかん産業を次世代へと。(農業×スケボー)
ゴミ箱に、みかんの皮と、菓子パンが入っていたプラスチックの袋が入っている。どちらを”汚い”と思う?
シャイナタウンのサスティナブルオフィサー兼"able sustain."担当のエリナです。
1週間放置したときの見た目の変化を見ると、みかんの皮にはカビが生えてきて、プラスチックの袋はほとんど全く変わっていないだろう。カビは”汚い”と思って早くゴミ収集に出したいと思う人がいるだろう。
(所要時間5分)
みかんを食べれば皮が残る
みかんの皮の話題を持ち出したのは、最近みかんをよく食べるからだ。ただし手の皮膚は黄色くなっていない・・・
みかんって本当に色んな品種があるんだよ~。一時期、四国に住んでいたときに瀬戸内の栽培地から集まる多種多様な柑橘類にご対面した。
カバンに入れて持ち運び、食べたいときに皮をむけば洗わなくても食べられて、水分補給になる。のどが渇いたときにみかんを食することが、オレンジジュースをコンビニで買うという行動よりも手軽で満足感があることを伝えたい。
果実を食べれば最後に残るのは”皮”。
私はその”皮”をゴミ箱に捨てることができない。
外出中や職場でも食べた後に”皮”を袋に入れてカバンに入れておく。
理由は大きく2つある。1つは他の果物や野菜の食べきれなかった部分に関しても同じで、いずれか土に還るから。畑の肥やしになるものを焼却処分するのはもったいないので、家に帰って”コンポスト行き”の袋に入れておく。
みかんの皮の効能
ただみかんの皮の場合は、”コンポスト行き”の袋に入るまで、もうひと頑張りしてもらう。
皮を捨てることのできない2つ目の理由は、皮そのものを洗剤や入浴剤として活用したいからだ。
見覚えのある洗剤にもこんな形でオレンジオイルが含まれている・・・!
実はみかんの皮には、リモネンという油になじみやすく、界面活性剤と同じように汚れを落とす成分があるって知ってた?他にも、水垢などの汚れを落とすクエン酸や、ツヤ出しの効果があるペクチンも多く含まれている。
ある週末の朝、部屋の一角に集められた、数週間分のカラカラになったみかんの皮を使った、大掃除が始まった。
まずは鍋に皮と水を入れ煮詰める。キッチンにさわやかな香りが漂う🍊
水がみかん色に染まってきたら火を止め、冷ます。
皮を取り除けば、お掃除用のみかん液の完成!きわめてシンプルである。
液をぞうきんに染み込ませて、コンロ周りやシンクをふき取る。
フローリングの掃除の仕上げとしてワックスがけする。
トイレの黄ばみ落としに使う。
こんな調子だ。
市販されている洗剤は、掃除する場所に特化しているため効能は高いのだろう。みかん液でも期待していた効果は得られたため、私はこれで良い。
ちょっと手間をかけると、それまで当たり前に使っていたものが不要なことに気付いたりする。
億劫な日々の掃除に、みかんの皮でさわやかな香りをプラスしてみよう🍊
みかん産業を取り巻く問題
あまり気付かなかったけれど、みかんが値上がりしているらしい。
農業総合研究所によると今年1月の出荷価格は前年比で1割高くなっている。
原因のひとつに夏の猛暑がある。記事によると、猛暑の影響を大きく受けたリンゴや柿の代わりに、果物売り場のスペースを埋めるために、みかんが各地で駆り出されるようになり、取り合いで値上がりになったそうだ。
他の原因として、産地における高齢化と担い手不足も顕著だ。
愛媛県では、何とこの40年でみかん農家は3分の1以下まで減少。農業をメインでやっている人たちのうち65歳以上の割合は74%(2020年度)に上るという。それによってみかんの栽培面積や出荷量も減少しているのも理解できる。
先日みかんの収穫体験に参加させてもらった。これは高齢者には少し大変な作業だなと思ったのは、木が斜面に植わっているから。木にまんべんなく光を当てるのと、水はけを良くするために急斜面に園地があることが多い。
みかん×スケートカルチャーで農業を身近に
そんな中、農業をもっと身近に感じられるよう、発信を続ける若手のみかん農家がいる。
若松さんは愛媛県宇和島市にUターンされ、100年続く実家のみかん農家を継ぎ、Tangerine(タンジェリン)というブランドのもと、みかん×スケートカルチャーという新たな形で地域活性化や後継者を増やすことに取り組まれている。
眺めているだけでも元気をもらえる、収穫されたみかんの写真。
若松さんの代から始めたというジュースの加工販売では、ボトルに「みかんジュース」とは書かず、特徴的なステッカーが貼られている。
都内や名古屋、福岡でも、アパレル・ライブイベントに出店しているのも、「みかん農家」らしくない。が、フレッシュなみかんジュースあったら飲みたくなるなぁ…
若松さんのインタビュー記事で印象に残った文章
今やコロナ禍を経て、地方への移住やUターンへのハードルが低くなっているように感じられるが、それでも若い人たちは、最先端の情報や流行の飲食店、規模の大きい商業施設、有名人が来るライブやイベント、多様な仕事や人との出会いなど「刺激」を求めて都市へと向かう。
都市では欲しい物がすぐ手の届くところにあり満足するのだが、自然と「消費すること」が活動の中心となっていく。そうしてしばらく都市に身を置いていると、パッケージ化された「商品」がどのように作られ、自分たちのもとに届くのかといった過程が見えづらくなると感じる。
宇和島のような豊かな自然のある、第一次産業が中心の土地では「食べるものがあれば生きていける」。それを裏返すと、東京のような大都市は「商品」としての食料を購入しないと生きていけない人が多い土地利用、経済構造となっており、災害などが起こった際に住む人たちの最低限の生活を保障できるレジリエンスを持ち合わせていない。
一方で、都市は都市、地方は地方で完結するような二分論も間違っている。都市にとって食料やエネルギーをまかなうために必要なのは地方とのパートナーシップであり、また地方にとって最先端の情報やビジネス、世界とつながるきっかけは都市が与えるものなんだろうと思う。
「東京のような人が集まる場所」が地方にあれば確かに最高だな。
(文責:エリナ)