さようなら日本

さようなら日本　　　　　　　　　　　　　　　　

この国はもうすぐ滅びるだろう
ペンにはもう
それを食い止める力がない

だが絶望しないでほしい
滅びるのはこの国のからくりであって
この島の山河そのものではない

目鼻も手足も溶けただれた人間が
ゾンビのように行進していても
この島は沈まずそこにある

そこには原始のシダが茂り
遺伝子の狂った巨大な動物たちが
奇声をあげながら
山から下りてくる

さあ　狂い咲き祭の始まりだ

ああ
この国はもうすぐ滅びるだろう

さようなら　美しい子ども時代
さようなら　日本

窓の外を巨大なトンボが
太陽に駆け昇っていく

その羽音のノイズが
透き通った音色に変わるとき

この国は
悶えながら
絶命する