多機能トイレの使い方
多機能トイレなるものが街中に普及してきたのはいいことだ。
障碍者用というだけでなく、赤ちゃんのオムツを替える台があったり、オストメイト対応のものもある。中には大人の障碍者が介助者によってオムツを交換できる大きな折りたたみベッドの附設しているものさえある。
だが、こうして多機能になったトイレには時に「どなた様もご自由にお使いください」と書いてある。僕はこの言葉の意味を履き違えている人がいるのではないかと思う。
ひとつしかない多機能トイレが使用中の時、ここでしか用の足せない障碍者は長い時間待つしかない。 五分、一〇分とかかるとさすがに尿意も限界に近づく時もある。その挙句ピンピンした若者が出てきたりする。
「ここが必要でしたか?」と尋ねると、僕の車椅子を見て「あ、ごめん。 ごめん」と言って逃げるように去っていったことがあった。
思うのだが、「ご自由に」の意味は、 「何らかの必要性のある方はご自由に」ということではないだろうか。 しかし、文言を文字通りにとり、想像力を使わない人が昨今は増えた気がする。
今、自分が、ひとつしかないこの場所を使う必然性がある状況か、使用の際には今一度振り返っていただければ幸いである。
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