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天国の扉 ボブ・ディラン 長澤靖浩訳

幼いとき、門真市の家の近所で殺人事件がありました。
「人が死んでる」と友だちが呼びにきて、警察より早く、そこへ行きました。
狭い路を抜けるあたりに男は天を仰いで倒れていました。
瞳孔が散大して、限りなく透き通った目に空が映り、雲が流れていました。(後で知ったのですが)彼は弟に刃物で胸を刺され、殺されたのです。
しかし、その目のなんと透き通っていたことでしょう。
私は、彼は今、死の向こう側を見ているのだと思いました。
その後、ボブ・ディランの「天国の扉」を聞いたとき、その目を思い出しました。
映画「ビリーザキッド」は見たことがないけれど、最期を迎えたとき、きっと彼は無限に透き通った目をして空を仰いでいたのだと思いました。
いつか自分もそのように路上で死にたい気すらしました。
この歌はエリック・クラプトンが歌うのは、大阪城ホールで生で聞いたことがあります。



天国の扉 ボブ・ディラン 長澤靖浩訳

母さん 
オレの徴(しるし)をこの体から取り去ってくれ
もうこいつには用がないんだ
暗くなってきたね 
形ある世界はもう見えやしない
天国の扉を叩いているんだね

叩け叩け 天国の扉
誰にも他に行き先などない
叩け叩け 天国の扉
光る闇に 還るだけさ


母さん
オレの銃を地面に横たえておくれ
もう何ひとつ撃ち抜くことはできやしない
終わりのない暗雲が降りてきて包む
オレは天国の扉を 叩いているんだなあ

叩け叩け 天国の扉
扉の向こうに 解き放たれるときがきた
叩け叩け 天国の扉
扉の向こうに やすらぐだけさ




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