シェア
長澤靖浩
2021年1月4日 03:14
<作品集『黎明・複葉機物語』より>鉛色の冬の出米事 長澤靖浩 17歳(初出『大阪府立長尾高校紀要第4号』1978年) 第一章 時々、わけもなく苦しくなったんだ。何故なのかは自分でも分析しきれない。ぼくは精神病なのかもしれなかった。あるいは苦しみの見えない奴らの方こそちょっとおかしいのかもしれなかった。しかし、多い方を正常と定義するならば、ぼくは異常だった。ぼくの精神は何だかわ
2019年8月15日 02:04
(1) 僕の鼻が敏感な性感帯になったのはママンのせいだ。僕が幼い頃、子ども布団の中で寝たふりをしていると、ママンは足音を忍ばせてやってきた。そしてそばに膝をつくと、僕の鼻の頭にキスをした。僕はくすぐったくて、笑いだしそうになるのを我慢して眠っているふりを続けた。ママンの鼻キスは夜毎、エスカレートしていった。絖った長い舌が鼻先を舐めると、僕はママンに食べられるような、あるいは秘密のトンネルからマ
2020年3月29日 04:44
(詩)岸のない河せまい入り口をはいっていくと奥には岸のない河がひろがっているさざ波もなく 流れる音もなくぼくもなくあなたもなく光さらさらあふれかえる岸のない河(1)abhisheka様こんにちは。突然のお手紙申し訳ありません。このことはかくかかかないかとても迷いました。けどあの頃のことを含めてまたいろんなことをお話したいとおもい、本当のこ