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小説

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2019年8月の記事一覧

食人華

(1)

 僕の鼻が敏感な性感帯になったのはママンのせいだ。僕が幼い頃、子ども布団の中で寝たふりをしていると、ママンは足音を忍ばせてやってきた。そしてそばに膝をつくと、僕の鼻の頭にキスをした。僕はくすぐったくて、笑いだしそうになるのを我慢して眠っているふりを続けた。ママンの鼻キスは夜毎、エスカレートしていった。絖った長い舌が鼻先を舐めると、僕はママンに食べられるような、あるいは秘密のトンネルからマ

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