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4コマ劇場(第1部)

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4コマ漫画をイメージしたショートストーリー集
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2016年1月の記事一覧

第36話 4月(33)

「とにかく、がんばろー!!」

 異様にテンションが高い高宮。とはいえ、音声データを3人で手分けして、文字起こし。この時点で、日が落ちかけていた。。

「ねね、科学部って試験管握ってるだけじゃないんだよねー」
「ん、バスケ部って結構惜しいとこまでいってんじゃん」

 この人終わらせる気ない。

第37話 4月(34)

「あのな、高宮、もう16時回ってんだぞ。実質できるのは明日だ……」
「ちょっと、あんた、ここカットした?」

「この、女子サッカー部のやつ。副部長との恋愛トークがない!」

「ん、それってたしか、インタビュー終わったあとに、副部長と話していたところだから、録音してないような」

「え、うそ。あんたがあの副部長の声がかわいいから、抜き取ったんでしょ?」

第38話 4月(35)

テニス部。18分。4000文字。
バスケ部。21分。3500文字。
ラグビー部。4分。1000字。

弓道部。27分。2000字。
フェンシング部。21分。5000字。
山岳部。11分。1500字。

茶道部。1時間30分。10000字。
科学部。40分。7000字。
将棋部。13分。1000字。

「全部活50。まだ、10個。今17時30分。いつまで学校残れるかな……」

第39話 4月(36)

「高宮さん、阿部くん、今どれくらい文字起こししできた、かな」

「おれは、まだ3つです」
「えっと、まだひとつも書いてない」

「「え?」」

「一応全部聞いておきたいじゃない?」

第40話 4月(37)

「あのな、今どんな状況かって、夕月先輩!?」
夕月先輩が部室を出ていってしまった。。

「おい、さすがの夕月先輩も切れちまった。どうすんだよ」
「えー、単純に休憩に入っただけじゃないの?」

 あのタイミングでそれは好意的に捉えすぎだぞ。。

「だって、原稿あげるだけならすぐにできるじゃないの」

第41話 4月(38)

「書けるところは、A4、4枚なんだからそこに書くのは決まりきったことしか書けない。だから、すぐにできる。というか、それは夕月先輩が仕上げてるよね?」

「じゃあ、今やってることはなんなんだよ」
「だから、部活紹介」

……おいおい。

「今やってることは、別のところに出すわけ」
 初耳だ。

第42話 4月(39)

「じゃあ、どうして夕月先輩はでていったんだよ?」
「だから知らない」

 おい。

「んー、考えられるとすれば、今やってるやつの締め切りも、月曜日」
 おい。。

「つか、その今やってることの説明おれはうけてない」

第43話 4月(40)

「いってなかった? あれ、おかしーなー」
 高宮はそういいながらも、手を止めずにノートパソコンで打ち込んでいく。

「これは部活誌のほうにのせるの」
 ん? 部活誌? そんなのあったか?

「これからはじまるの、不定期で。今回の『部活紹介ex』は部活動ごとに配るから」

「そしたら、希少価値も高まるし」

第44話 4月(41)

「部活誌作るって言ったって、誰が読むんだよ。というか、そんなの許可なしで作って大丈夫なのか?」

「知らない。とりあえず、各部長には手渡すから」
 はあ。てか、なんの話だっけこれ。

「つか、なんでそんなの作るんだよ。普通の新聞部の印刷物じゃ駄目なのか。つまり、普通の新聞部の活動じゃ嫌ってことか」

「新聞部が独自でなにかやってるってことがまず大事なの!」

第45話 4月(42)

 とりあえず。
「あのな、そしたらまず夕月先輩を呼んでこい」

「なんでよ」

「この部の部長は夕月先輩のはずだ。あの人がいなきゃできないことだ」
「めんどくさい」

 ……おれの役割なのか、それは。

第46話 4月(43)

「夕月先輩、とりあえず締切まで頑張りませんか?」

 おれにはうまい慰めはできない。
「……わかってはいるんです。高宮ちゃんを入れた時点でこうなるのは」

 夕月先輩は図書室の一番隅、本棚に隠れた椅子に腰掛けている。

「おれは夕月先輩がいなきゃ、こんな無茶なこと、あいつもできないって思ってます。良くも悪くも先輩しだいで、どうにでもなると思うんです」

第47話 4月(44)

 夕月先輩と一緒に部室に向かっている。
 先輩は、

「高宮さんがああいう人なのはわかってて、それが問題なわけではないの。ただ、私がテンパっちゃってて、ごめんね」

 こんなふうに追い込んでいるのは、あいつだし、おれもその片棒を担いでいる。

 部室に行く前に、おれは夕月先輩にジュースをおごった。先輩は「ありがとう」と言って受け取ってくれた。

第48話 4月(45)

 何とか日の目を見た。
 自分たちが作った部活動紹介の正規のほうは無事顧問の先生に受理してもらえた。

 あまり細かな直しは入らないらしい。
 それを聞いておれと夕月先輩はほっと息をついた。

 高宮のほうは、各部活一部しか配らない「部活動誌EX」をサクサク作っていっていた。
 このペースを維持できるなら一人でできるんじゃ。 

 夕月先輩と部室に戻ったとき。 
 高宮には自分から切り出して、月曜

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第49話 4月(46)

 4月最終週の月曜日。
 放課後の新聞部の部室。

 今年度初の新聞部の部活動紹介号。
 そのフォーマットは例年と変わらないものだから、それほどの反響はないだろう。案の定、顧問の先生からは特に指摘もなかった。

 部単位で配るex。
 これはGWに入る前に配る予定だ。第一弾はもう準備できており、5月中にはすべての部の紹介をできるはずである。

「あんたは、王になれたの?」