2015年9月の記事一覧
第31話 4月(28)
「なあ、おまえのいってることは、どこまで本気か俺は聞いときたいんだが」
おれは高宮に、校門で別れ際に聞いた。
「まあ、でもこれでよかったんじゃない? 夕月先輩が部長のままで」
「当たり前だろ」
高宮が部長になる方向で、職員室に残っていた顧問に聞いたが、頭の固い顧問だったおかげか、夕月先輩の部長続投が決まっていた。
第32話 4月(29)
「いまさらだけど、新聞部におまえが入ってどうするんだ? 夕月先輩はあんな感じで、一人でどうする?」
「あんたはいないの?」
「おれもいるが、ときどきおまえの考えていることがわからなくなる。現状なら、夕月先輩と友好な関係を築いておくべきじゃないのか」
「うーん。まあね……」
「だろ?」
「あ、それはあんたがやればいいじゃない!」
第33話 4月(30)
「4月の活動は、残り少ないですが、部活動紹介の記事を掲示板用と、配布用で作りたいと思います。すでに各部から、事前の紹介文はもらってきています」
次の日、早速新聞部にいくと活動内容を紹介された。
案外忙しそうだ。
「締め切りはいつまでですか?」
「今日は火曜日なので、来週の頭には」
「直接、各部回りたいと思います!」
こいつ、話を曲げるなよ……。
第34話 4月(31)
いろんな部活に回った。
そこで高宮の性格もあるだろうが、運動部、文化部問わず、面白い輩が釣れ、そこそこに名前を売ることはできた。
とはいえ……。
「これでいい記事かけるんじゃない?」
「今日何日かわかるか?」
「明後日、月曜日なんだけど……」
第35話 4月(32)
目に見えて、夕月先輩の顔は青い。
高宮の行動に黙っていた先輩だったが、日が進むにつれてその焦りようは明らかだった。
目の前の机にはノートパソコンが1台。
高宮が撮りまくった写真のファイルが何百枚、とりあえずおれが録音した各部の取材という名の雑談の音声ファイル20時間ほど……。
「いやー、大量大量!」
夕月先輩が机に突っ伏した。