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安部農園新名物の女化カボチャの話

こんにちは。
今年ついに出来上がった、うちの新名物になるかもしれないカボチャのお話をします。

カボチャが植わってるからできればそこは歩かないで

私は畑で作物を作る時には、どんな順番で畑で作物を育てたら、土の状態を一番良い状態に保ち続けられるかを考えて畑仕事をしています。作物はそれぞれが、育てることで畑の土に様々な影響を与えます。ですからそれを管理して、土がいつもいい状態で、種をまけば自然と良い作物ができる状態にし続ければ、一番いい農業ができると思っています。だから私は、効率よく短期間にお金を稼ぐという側面から考えたら効率は悪くても、小麦、落花生、野菜を組み合わせて栽培する農家をやっています。
 ですが、ここ何年もずっと考えていました。『落花生を育てた後にできる土のポテンシャルを活かす作物をいまいち作れていない…』と。


ひっくり返した落花生

落花生は畑で育てることによってその畑の土に栄養分を残すことができる作物です。出荷の際には畑で脱穀をするので、豆以外の枝や葉の部分が大量に畑に残ります。そのため落花生を栽培すると、収穫した翌年の畑に改めて肥料を入れる必要がないほど栄養のある状態を作ることができます。


脱穀後の落花生の枝葉を畑に散らす少年

その栄養がある畑でどんな作物を育てるかが長年のテーマでした。栄養があるといっても、翌年の最初から栄養があるわけではなく、冬の寒い間は落花生の枝葉が土の中にそのまま残っていて、気候が暖かくなって初めて土の中の微生物によって枝葉が分解されて作物が吸える栄養が出てきます。ですから、3月ごろに植える春の野菜はむいていません。少し暖かくなった4月中旬以降に植えられて、枝葉の分解が進んでたくさんの栄養分が出てくる7月から8月に大量の栄養を必要とするものでなくてはなりません。そして、あまりにも手がかかりすぎる物は他の仕事が回らなくなるのでできません。そういったことを考慮しながら、数年間様々な作物を試作して導き出した結論が露地のカボチャです。


ぐんぐん伸びたカボチャ畑

当園名物のタケノコ堀が終わった後、落花生の種まきが始まる前の5月下旬に畑にカボチャの苗を植えます。土に力があるのでものすごくよく伸びます。7月にはカボチャのつるで土が見えなくなります。通常実がなる農作物というのは、つるが伸びすぎるほど土に栄養があると実が付かなくなります(通称つるボケ)。しかしそれは化学肥料等で栄養バランスが偏っている場合です。当園のカボチャ畑の落花生の枝葉で肥やした土は、実をつけるために必要なミネラル分が豊富にあるので、つるが伸びすぎるほど伸びても、きちんと実を付けます。カボチャの実を大きくするのは、広がった葉による光合成の力と、その時に使われる土の中のミネラル分です。ですから畑のカボチャは、近年の猛暑の太陽の光と落花生の枝葉由来の豊富なミネラル分が重なって、とても充実した実を付けます。

カボチャ

農薬や化学肥料を使っていないどころか、去年の落花生の枝葉以外何も畑に入れていないカボチャです。太陽と土のエネルギーを吸い尽くしたカボチャをぜひ食べてみて下さい。

お近くの方は押木養鶏場とたつのこ産直市場にて、遠方の方はオンラインショップにて販売しておりますので、ぜひ食べてみて下さい。

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