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人生にはスパイスが必要だ

「ご飯に何をかけて食べるか」問題

恵方巻きは美味しく食べたいので切って食べる、風習クラッシャーの私です(あいさつ)。

「白ご飯に何かをかけて食べる」という食べ物が好きだ。親子丼とか麻婆丼、それからハヤシライスに天津飯、タコライスやクッパ、中華丼というのもある。

しかし、「中華丼」と言うとだいたい八宝菜をご飯にかけたものを指す。そう考えると、八宝菜に「中華」という四〇〇〇年の歴史をすべて負わせるのはちょっと酷じゃなかろうか、とも思うのだが、まあ美味しいし、八宝菜本人も「押忍、頑張ります」と言っているようなので(確かめたワケではないが)、まあ良いとしよう。

話がそれた。

日本人が大好きな「カレー」

さて。こうして並べてみて、おそらく皆さんは「おいおい、大切なものを一つ忘れてはいないか」と思うはずだ。

ご飯にかけて食べると言えば、アレがあるじゃないかと。そう。カレーである。もちろん、忘れているワケがない。むしろその話をしたいがために、ずっと遠回りしてきたのである。

日本人はどういうわけか、カレーが大好きである。私だけが好きなのかと思っていたのだが、キャンプではカレー、夏にはカレー、おせちもいいけどカレーもね、というくらい、何かにつけてみんなカレーを食する。

給食で麻婆丼やハヤシライスが出たことはなかったが、カレーはしょっちゅうあったし、「我が家では、オカンが夜出かける日に夕食を作り置きしておいてくれる際にはカレーが定番だったイメージがある。野外実習的な学校の行事でも、何やらカレーを作った記憶がある。そのくらい、我々の生活とカレーはなぜか、密接に関係している。

でも、考えてみてほしい。なぜ「カレー」なのか?

カレーは多かれ少なかれ、スパイスが配合されている。私が今まで会ってきた人の中で「カレーが嫌い」または「カレーが苦手」という人は一人しかいなかったが(いたのである)、人それぞれ「辛いカレーが好き」とか「辛いものはNG」とか、色々な好みがある。

だったら「辛さ」というややこしい変数が加わるリスクのないハヤシライスが、こういった定番メニューの位置に君臨しても良さそうなものなのに、どういうわけか「カレースタンド」や「カレー専門チェーン」はあっても「ハヤシライススタンド」や「ハヤシライス専門チェーン」はない。いや、私が不勉強なだけで、存在するのかもしれないが、残念ながら聞いたことがない。

これだけコンプライアンスだの何だのがうるさいと言われる昨今なのに「カレーは辛いので給食で出すべきではない」という議論にならないのも不思議といえば不思議である。

いや、そんな議論、もちろんしてほしくはないのだけれど。

複雑化する「カレー」の行く先

さらに、近年は「カレー」が複雑化している。

我々が子どもの頃から慣れ親しんできた、いわゆる黄色くて、ジャガイモやニンジン、お肉がゴロゴロと入ったとろみのある「カレー」だけでなく、北海道発祥のサラサラした「スープカレー」や、本格的なインドカレー、あるいは従来のカレーよりももっと香辛料を利かせた「スパイスカレー」なんてのも出てきた。

もはやこれは「カレーの多様化」と言ってもいいだろう。「カレー食いに行こうぜ」と誘われて行ってみたら、銀のお皿にご飯や見たことのないおかず類やヨーグルトみたいやつ、それからせんべいみたいなのが並んだものが出てきて面食らう・・・なんてこともある。

いや、私は南インド料理の「ミールス」も大好きだし、最近ようやく「サンバル」と「ラッサム」のどっちがどっちか、という見分けがつき始めたのだが、いわゆる「カレー」を想定している人に、ミールスを出したら、そりゃびっくりするはずである。

ちなみに、ミールスを知らない方はこちらが参考になる。
https://macaro-ni.jp/102792

でも、確かにどちらも「カレー」とは言える。

これだけ多様化しているカレーにも関わらず、未だに「国民食」的な立ち位置をキープし続けているのは、なぜなのか。

それは究極、人々は心のどこかで人生に「スパイス」を求めているからなのである(断言)。

「人生」と「カレー」にはスパイスが必要だ

カレーには、単に「辛い」だけではない「スパイシーさ」がある。それは、スパイスの主張がストレートに出ているカレーだけでなく、どんなに甘口のカレーにも存在する。

人生もまた然り。

毎日がコショウ味だけとか、クローブ味だけとか、ターメリック味だけとかでは、あまりに単調過ぎてしまう。複数のスパイスが絡み合っているから、面白いし、味わい深くなる。まあ、ターメリックが単体だとどんな味なのか、私は知らないが。

辛いこともあれば、苦いこともあり、香ばしい香りがすることもあれば、甘い匂いがすることもある。そういった様々な香りや味わいを楽しみながら生きていくのが、人生の醍醐味なのかもしれない。

全く辛くないカレーがあったとしたら、多分あまり美味しくないし、面白くないのではないか、と思う。逆に、限度を超えて激辛すぎるのもつまらない。

辛味も、甘みも、奥行きも、そういったありとあらゆる味わいがバランス良くあるからこそカレーは美味しいし、万人に愛される食べ物になっているのではないだろうか。

そこにさらに、らっきょうや福神漬までアクセントとして加えたくなるのが人間である。どれだけ幅を持たせたいのかとも思うけれど、それがまさに「人生そのもの」と言えるのかもしれない。

そう。カレーは人生の縮図なのである。辛いだけでもなく、苦いだけでもなく、山あり谷あり、様々な味わいを見せてくれるからこそカレーは楽しいし、美味しい。

だから人々は、ご飯に何かをかけようと思った時、ついついカレーを選択してしまう。そして、ビュッフェに行けばお皿に白飯を盛ってカレーをかけてしまうのである。他に食べるものが山盛りあるのに。

これからも私は、あるいは私たちは、カレーを食べ続けるのだろう。人生が続いていくのと同じように。Life goes onだし、Curry goes onなのだろう。たぶん違うけど。


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あべ のぶお@セッション型フリーライター
いつもありがとうございます。