「地域包括支援センター(通称:包括/ほうかつ)」って?
皆さんこんにちは、あべのまちセンです!
今回は、"高齢者が、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができる"よう活動している「地域包括支援センター(通称:包括/ほうかつ)」についてご紹介します!
地域包括支援センターって?
地域包括支援センターは、高齢者についての総合相談窓口です。行政から委託を受けた社会福祉法人(民間)が運営を行っています。
"地域包括ケアシステム"という、「誰もが、住んでいる場所から負担なく移動できる範囲で『医療・介護・福祉など』のサービスを受けることができる」という理念のもと、地域包括支援センターは全国に設置されています。
"包括"の事業内容は大まかに分けて以下の4つです。
具体的には、例えば、高齢者ご本人からの
「近頃、お金の管理に自信がなくなってきた……」
「最近、階段の昇り降りが辛くなってきた……」
といった相談や、
高齢者のご家族や、近くにお住まいの方からの
「うちのおじいちゃん、家に帰る道がわからなくなってきたみたい」
「おばあちゃんが家に引きこもりがちで心配……」
「お隣の家族、介護が大変そう」
といった相談を受け付けています。
(※「阿倍野区 地域の身近な相談窓口」冊子より)
こういった困りごとについて、相談を受けたり、訪問などによるアウトリーチを通じて、重大化する前に課題を発見する、また、見つけた課題を解決するための取り組みを行う、関係機関や専門家と連携する、といった支援を行います。
"包括"の職員は全員が「社会福祉士」、「主任介護支援専門員」、「保健師または地域で活動経験のある看護師」のいずれかの専門資格を有しています。こうした専門の知識を持つ職員が、相談やアウトリーチを通じて、高齢者の方の心身の状況や生活環境などを調査します。
その中で、要介護度(どの程度の支援・介護が必要かを示すレベル)が「要支援1・2」に該当する方、また、それ未満でも基本チェックリストに該当する方に対して、デイサービスなどの地域の事業者やケアマネージャーなどの専門家や、地域との連携を通じて、介護予防のためのケアプランを作成します。(なお、要介護度が「要介護1」以上の場合は、居宅介護支援事業所などのより専門性の高い機関が対応を引き継ぎます)
阿倍野区の包括
包括は地域の高齢者人口を鑑みて設置されています。
阿倍野区には、
「阿倍野区地域包括支援センター」(長池・晴明丘・阪南地域担当)(令和6年度高齢者人口推計:10395人)
「阿倍野区中部地域包括支援センター」(王子・丸山・阿倍野地域担当)(令和6年度高齢者人口推計:7559人)
「阿倍野区北部地域包括支援センター」(高松・常盤・金塚・文の里地域担当)(令和6年度高齢者人口推計:9573人)
の3つの包括があり、それぞれの包括が担当地域で活動しています。
また、相談窓口として「高松・文の里ブランチ(高松・文の里地域と、常盤地域の一部担当)」と「昭和ブランチ(長池地域担当)」の2つのブランチがあります。これらは、包括の事務所が遠く足を運びにくい方などのための出張所のようなものです。さらに、認知症に専門に対応するための「認知症初期集中支援推進事業・オレンジチーム(阿倍野区全域担当)」という部署も存在します。
そのほか、阿倍野区内10地域の各会館に駐在する「地域福祉コーディネーター」とも連携し、相談の受付や、アウトリーチ活動を行っています。
(各窓口の詳しい住所については、こちらのページ中部の地図からもご覧いただけます)
ご家族やお近くの高齢者についてお悩みや相談がある方は、ぜひ、上記の地図からお近くの窓口までお気軽にご相談ください。早めの相談と対応が、将来の介護予防に大きな効果を発揮します。
それでは、ここからは阿倍野区にある3つの包括の具体的な取り組みについて、もう少し詳しくご紹介します。
阿倍野区地域包括支援センター
区包括基本情報
阿倍野区地域包括支援センター(通称: 区包括)は、阿倍野区南部の三地域(長池・晴明丘・阪南)を管轄しています。
区包括は阿倍野区社会福祉協議会が運営していて、事務所も阿倍野区社協の中にあります。また、阿倍野区全地域の認知症の人や家族の相談について専門に対応する「あべのオレンジチーム」も同じ建物の中で活動しています。
区包括の特徴って?
そんな区包括が、取り組みの中で大切にしていることについて、職員の中川さん(主任介護支援専門員・社会福祉士)、山階さん(保健師)にお話を伺ってきました。(中川さん、山階さん、ありがとうございました!)
包括が高齢者人口に応じた数で設置されている理由は、"個別相談・個別対応"が主な業務となるためです。
認知症の人や家族に早期に関わる「オレンジチーム」のように、専門的な課題に対しては区全体を管轄する体制もありますが、基本業務については地域性に応じてきめ細やかな対応ができるよう、3つの拠点(+2つのブランチ+10の地域福祉コーディネーター)に分かれています。
区包括が担当する阿倍野区の南部地域の特徴としては、一人暮らしの高齢者が多いことが挙げられます。民生委員・児童委員協議会や町会、近隣住民による見守りは行われていますが、介護や医療につなげる「介入」のタイミングはご家族でも難しく、症状が重くなってから包括や専門機関につながることも多いそうです。
こうした事態を防ぐため、区包括では、少しでも困ったときに気軽に「SOS」を出せる意識づくりや、健康なうちから将来について考える取り組みに力を入れています。
例えば、阿倍野区医師会と連携して、"自分が希望する医療やケアを受けるために、大切にしていることや望んでいること、どこで、どのような医療・ケアを受けたいかを自分自身で前もって考え、周囲の信頼する人たちと話し合い、共有する"「人生会議」に取り組んでいます。
(「ゼロからはじめる人生会議」より引用)
独居でなくとも、日本社会の高齢化に伴い、高齢者を介護する家族も高齢であることが多くなっています。そのため、50歳、60歳くらいから、あるいはもっと若いうちから、少しずつ将来のプランを考え、介護予防に取り組むことが重要です。
こうした意識づくりや将来の想定を行い、地域や専門機関とつながりを持っておくことで、いざというときにSOSを出したり、少しの困りごとや違和感を感じたときに相談を行うことができ、事態が重くなる前に予防策を講じることができます。
阿倍野区中部地域包括支援センター
中部包括基本情報
阿倍野区中部地域包括支援センター(通称:中部包括)は、阿倍野区中部の三地域(阿倍野・王子・丸山)を管轄しています。
社会福祉法人大阪平成会が運営を担当しており、事務所は松虫通沿いに位置しています。
中部包括の特徴って?
中部包括の取り組みや特徴について、センター長の工藤さん(社会福祉士)にお話を伺いました。(工藤さん、ありがとうございました!)
阿倍野区の中部地域(阿倍野・王子・丸山)は、高低差のある土地が多く、また、住宅密集地が少ないため、阿倍野区の他二つの地域と比べると高齢者人口が少ないことが特徴です。
しかし、高低差がある分、包括などの窓口に顔を出すことが難しい高齢者も多く、中部包括では訪問などのアウトリーチ活動に力を入れています。例えば、令和4年度のデータによれば、中部包括の地域の高齢者に対する訪問率は"30.4%"と、大阪市内の包括でも2番目に訪問率が高くなっています。(「地域包括支援センター運営状況報告について」より)
他にも、アウトリーチの一つとして、地域活動への参加や後方支援も積極的に行っています。例えば、介護に関わる子どもたち(ヤングケアラー)への啓発・支援を行うため、子ども食堂のお手伝いを行ったり、介護、生活困窮を予防するため、地域で行われる福祉講座(うつ病や認知症についての啓発講座など)における講師のアテンドなどを行っています。
これらの活動を通じて地域の住民に顔を覚えてもらい、いつでも気軽に相談しやすい関係性づくりに力を入れているそうです。
阿倍野区北部地域包括支援センター
北部包括基本情報
阿倍野区北部地域包括支援センター(通称:北部包括)は、阿倍野区北部の三地域(高松・常盤・文の里・金塚)を管轄しています。
令和6年度から社会福祉法人育徳園が運営を担当しており、事務所は大阪メトロ谷町線・阿倍野駅前、あべのベルタの一階に位置しています。
北部包括の特徴って?
北部包括の取り組みや特徴について、職員の松村さん(主任介護支援専門員・社会福祉士)、廣谷さん(社会福祉士)にお話を伺いました。(松村さん、廣谷さん、ありがとうございました!)
北部包括は、令和6年度から育徳園が事業委託を受けていることから、前の事業者からの引継ぎのほか、新たな取り組みにも力を入れています。
まず、北部地域は高松・常盤・文の里・金塚の四つの地域で構成されていて、高齢者人口も9573人と、阿倍野区の三つの包括の中で二番目に多いことが特徴です。しかし、これまでは「ブランチ」がなく、人口に対して窓口がやや少ない、といった声も聞かれたそうです。
そこで、令和6年度から、北部包括の窓口は阿倍野駅前とアクセスのいい立地に移動し、また、高松小学校の近くに新たに「高松・文の里ブランチ」が開設されました。
また、高齢者人口の多い北部包括では、ブランチのほかにも、もう少し日常的な接点・相談窓口を増やす取り組みを始めています。
例えば、文の里地域・文の里会館で毎週月曜日・火曜日に開催されている「百歳体操」の際に、会館前に地域の野菜や、就労継続支援B型作業所で作られたお菓子の販売を組み合わせるなど、緊急の相談などがない場合でも、包括の職員や、専門職、地域の方々と日常的に関わる機会を作っているそうです。
まとめ
以上、高齢者の総合相談窓口である地域包括支援センターと、阿倍野区にある三つの包括(区包括・中部包括・北部包括)の概要についてご紹介しました。
介護や生活における困りごとは、ほとんどが突然降ってくるものではなく、日常生活の中で少しずつ進行していきます。包括などの専門機関や地域と日常的に関わり・繋がりを持つことで、状態が悪化する前に予防策を講じたり、対応を行うことができます。
ご自身のこと、ご家族のこと、お知り合いのこと……高齢者についてのお悩みや困りごと、気になることなどがあれば、ぜひ最寄りの包括の事務所やブランチ、各地域会館の地域福祉コーディネーターまでお気軽にご相談ください。
また、包括のような専門機関・専門家以外にも、地域との接点を持っておくことは、日々の暮らしを彩り、有事に備えるための大切な営みです。あべのまちセンがご案内する、阿倍野区の各地域活動協議会主催のものをはじめとして、様々な地域活動にもご参加いたけますと嬉しく思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
参考文献:
・地域包括支援センター/地域包括ケアシステムなどについて↓
「阿倍野区 地域の身近な相談窓口」冊子
・阿倍野区の各包括や窓口の所在地などについて↓
・各地域の高齢者人口について↓
厚生労働省:介護事業所・生活関連情報検索システム 介護サービス情報公表システム「阿倍野区地域包括支援センター」
厚生労働省:介護事業所・生活関連情報検索システム 介護サービス情報公表システム「阿倍野区中部地域包括支援センター」
厚生労働省:介護事業所・生活関連情報検索システム 介護サービス情報公表システム「阿倍野区北部地域包括支援センター」
・人生会議について↓
※本noteの文章は、「まちづくりセンター」の活動に相当するような公共性の高い取り組み、市民活動・地域活動における啓発・教育目的の使用かつ、発信に際して費用を徴収しない場合(Webサイトなどにおける無料公開や、無料で配布するチラシやパンフレット、プリントなど)のみ、引用元を明記のうえご自由に引用していただけます。引用を行う場合は、「阿倍野区まちづくりセンターのメール: abeno-machikyou@wonder.ocn.ne.jp」までご一報いただけますと幸いです。