神社とサスティナブル
最近サスティナブルやサステナビリティといった言葉を耳にする機会が多くなりました。
サスティナブルとは一体なんぞや。
サスティナブル
人間の活動が自然環境や資源に悪影響を与えず、かつその活動を維持できるさまを表す言葉。
自然環境に配慮するという意味では「エコ」「エシカル」といった言葉があります。
じいちゃんばあちゃんですらエコエコ言ってるから「エコ」はずいぶん浸透していますね。
「エコ」は環境に優しいなぁ、といったふんわりしたに意味になりますが、「サスティナブル」は人間の経済活動をも維持できますよー、っていう意味も含みます。
「エシカル」は今でこそたまに聞きますが、あまりなじみがない人も多いんじゃないでしょうか。
「エシカルジュエリー」というものが最近話題になっています。
エシカルとはそもそも「道徳的・倫理的」という意味で、人や自然を尊重する考え方ですが、ジュエリーをとりまく環境保全はもちろん、ジュエリーの影に潜む紛争や児童労働、搾取、環境破壊といったことから距離を置き、貴金属や原石を採掘する人、職人、身に付ける人、みんなが喜びや誇りに満ちた生き方を送ることを目的とするジュエリーです。
エシカルの特徴は環境だけではなく、道徳・倫理にも配慮するところです。
エシカルプロジェクトを展開しているセブンイレブンでも、食品ロスの削減を目指すなど、エシカル的な考え方は少しずつ広がっています。
「サスティナブル」を超かんたんに言えば
この「エコ」とか「エシカル」的な活動を維持できる「さま」
ってことじゃないかと思います。それがいま巷で飛び交っている「持続可能な」ってところに結び付いていきます。
そう考えると神社はめちゃくちゃ「サスティナブル」じゃないか!ってところに行きつくわけですが、なんとなんと国連のみなさんもそこに行きついたようです。
いわゆる「SDGs」ですね。
持続可能な開発目標「SDGs」とは
持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。(外務省HPより)
分かりやすいイラストがありました。
job storyさんより
神社が長い間大切にしてきた神道の考え方が、SDGs達成の大きなヒントになるのではないかと国連に注目されているようです。
確かに神社って「超」長期間持続しているビジネスのエッセンスが凝縮しています。
当社・隠津島神社は769年に勧請され、今年で1251年を迎えましたが、めっちゃ持続してます(笑)
もちろん、今の形が1251年もの長期化持続されてきたわけではありません。
境内や社殿だけを見れば、戦火も被ったし、自然災害にも悩まされてきました。
神社を取り巻く環境だって幾度の変遷を経て現在に至っています。
戦前戦後では神社が置かれた立場は全く違うし、その時々の治世者の考えによって神社の価値やあり方は大きく変わりました。
それでも事実、当社は1251年たった今も神社として存続しています。
そういった恩恵を「神の思し召し」の一言で言ってしまえばそれまでなんですが、多くの神社がここまで持続を可能にしてきたのには理由がある、と国連が気づいたのです。
ではどういったエッセンスが神社をここまで持続させてきたのか。
①伝統工芸
いまでこそ「伝統工芸」は「伝統」の「工芸」とされていますが、その工芸・工芸品が編み出された当時は最先端で流行したモノやサービスだったと思われます。神社にはふすまや屏風、彫刻、細かいところまで見れば木工技術や耐震構造の基礎、また鍵や釘などの鉄工品であふれています。それらひとつひとつは、無駄を最小限に押さえつつ、機能性と美しさも兼ね備えたものが多く、今もなおそれらを見る人の心を震わせます。神社で必要なものが今に至るまで伝統工芸として残っているという点では、産業を生み出し、またそれらを守るという機能があったと言えます。
②コミュニティ
神社はもともと地域のコミュニティとして機能していました。現在も少なからずそういった役割はありますが、個人主義や生活の多様化、信仰の自由によってその役割は薄れてきました。コミュニティだった時代は、神職は先生として地元住民の師表となり、学校や図書館のような役割を果たしていました。その名残もあり、現在も教職員を兼ねる神職がいたり、幼稚園を経営している神社もあります。
また、公民館のような場所でもあったため、絶えず人が集まるところでした。そこで住民同士が助け合い、知恵を寄り合い地域を発展させていきました。
③お祭り
上記のコミュニティが発展して生まれたの「お祭り」と言われています。現在のお祭りは信仰や行事など、伝統的な行事としての意味合いに重きが置かれていますが、当時は地域としてどうありたいか、どうなっていきたいかといった未来を見据えた目的があり、住民がそれを共有し目指した結果、お祭りという形に発展していったと考えられています。
お祭りを行うという目的でコミュニティが形成されている現代と、地域の連帯感、さらにはコミュニティ形成のためにお祭りを行っていたとされる昔の人々。
現代企業組織の存在意義も似たような変遷をたどっている気がします。
神道では、太陽からトイレに至るまで万物に神が宿っていると考えられています。自然を神聖なものとして敬い、大切にしてきた神道は、まさにSDGsに求められる考え方です。
サスティナブルが浸透し、世界全体がいよいよSDGsを目指したとき、神社が多くの人々にとって有益な場所になっているよう、自分に出来ることから始めていきたいですね。
そのことが更なる持続を生み、ステキな世界が末永く続くことを願って。