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整理できない自分の心をととのえる③

「整理できない自分の心をととのえる②」でも少し触れたが、心をととのえる方法として、昨今のサウナブームにも乗り、私はサウナを週1回程度利用している。そこで、サウナの効能効果について、大規模調査¹の結果も含めて紹介したい。

サウナで心をととのえる

サウナは、心を整理し、リフレッシュするための優れた方法の一つである。温かな空間に身を置くことで心身がほぐれ、自然と深い呼吸が促される。このゆったりとした呼吸は、ストレスや不安を和らげ、心を落ち着かせるのに役立つ。

ただ、私自身はサウナの熱気で鼻呼吸が難しく、どうしても口呼吸になってしまうことが多い。もし鼻からゆっくりと腹式呼吸ができれば、より深いリラックスが得られるのではないかと思うが、その実感はまだ得られていない。

また、サウナに入っている間は、日常の喧騒から離れ、自分自身と向き合う時間を持つことができる。しかし、サウナ室にテレビが設置されていることが多く、静かな環境で思索にふけるのが難しいと感じることもある。せめて静かな音楽、できればヒーリングミュージックが流れていれば、より心地よく過ごせるのではないかと思う。

サウナの効果と心への影響

サウナの魅力は、単に体を温めることだけではない。大量に汗をかくことで、体内の老廃物が排出され、デトックス効果が期待できる。この作用により、体が軽くなったように感じ、心までもスッキリとするのだ。

さらに、サウナの後に掛け湯で汗を流し、水風呂に入ることで血行が促進される。新鮮な血液が全身を巡ることで、心地よい疲労感とともに深いリラックスを得ることができる。この「温冷交代浴」は、自律神経のバランスを整え、心の安定にもつながると言われている。

サウナはリラクゼーションやストレス軽減、疼痛緩和などの目的で利用されており、特に精神的なウェルビーイングや睡眠の改善に寄与する可能性が示唆されている¹。また、心肺機能とサウナ浴の頻度が高いほど、死亡リスクが独立して低下することが示されている²。さらに興味深いことに、運動とサウナの組み合わせにより、健康への相乗効果が期待できる可能性も示唆されている²。

サウナを安全に楽しむために

サウナには多くのメリットがあるが、体に負担がかかる環境であることも忘れてはならない。特に高温の環境は、心臓や血圧に影響を及ぼす可能性があるため、無理をせず、自身の体調に合わせて楽しむことが大切である。
高血圧や心疾患などの持病がある人は、事前に医師と相談したうえで利用するのが望ましい。また、サウナでは大量の汗をかくため、こまめな水分補給が不可欠だ。サウナ前にしっかりと水分を摂り、サウナ後も意識的に水を飲むことで、脱水を防ぐことができる。

また、サウナが薬の効果にどのような影響を与えるのかについては、まだ明確な研究が少ないと感じている。体温の上昇が薬の吸収や代謝に変化をもたらす可能性は考えられるが、それを裏付ける論文を今のところ探しきれていない。もし薬の効果に影響があるのであれば、服用のタイミングや種類の見直しが必要になるかもしれないし、場合によってはサウナを控えざるを得ないこともあるだろう。今後も、サウナと薬物療法の関係について検証していきたい。

サウナと自己対話

心を整理するには、「自分だけの静かな時間と空間」が必要だ。サウナは、まさにそうした時間を提供してくれる。温かな蒸気に包まれながら目を閉じると、余計な雑念が消え、今この瞬間の自分に集中できる。私自身、サウナの中で静かに目を閉じ、瞑想をすることが多い。そのため、できることならサウナ室にはテレビがないほうがいいと感じている。

自分の心が整理できないとき、その解決策を見つけることはとても大切だ。サウナは、その一つの手段として有効であり、心と体をリフレッシュさせる貴重な時間を与えてくれる。しかし、それだけに頼るのではなく、日常生活を見直し、意識的に自分と向き合う時間を持つことも必要だろう。

心と体をととのえ、日々の混乱を静め、思考を整理する。そうした積み重ねが、より豊かで充実した毎日へとつながっていくはずだ。

参考文献

  1. Hussain JN. et al. A hot topic for health: Results of the Global Sauna Survey. Complement Ther Med. 2019; 44: 223-234.

  2. Kunutsor SK. et al. Joint associations of sauna bathing and cardiorespiratory fitness on cardiovascular and all-cause mortality risk: a long-term prospective cohort study. Ann Med. 2018; 50(2): 139-146.

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abeken/アベラボ
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