
ロゴマークはできたところが旅のはじまり
前回に書いた記事がnoteの今日の注目記事にとりあげてもらい、おもいがけなくたくさんの方にスキをもらいました。ありがとうございます。
ロゴマークの話という一般的ではない話題、取り上げた事例もローカルな生産者さんということで、読まれやすい記事の鉄板、だれでも知っている人や会社の話ではないのに400以上のスキをいただいたのは本当にうれしいことです。
グラフィックデザイナーとしていままで150以上のロゴマークをデザインしてきましたが、僕の場合その対象が農業や漁業といった一次産業だったり、日本全国の地域の中小の製造業(食品が主)だったりと、たくさんの人がよく知っている大企業や有名なブランドではありません。
でもどんなにちいさな、家族経営だったとしてもその存在を知ってもらい、覚えてもらうためのシンボルとしてのキラリとひかるロゴマークは必要なものです。
ただロゴマークだけをデザインしてそれを渡して終わり、ということはまずありません。前回の記事でも書いた通りロゴマークはデザインの起点であり、それをどのように展開し、使っていくかというところがとても大事だからです。
今回はロゴマークを作った後にどのように展開をしていくかを実例でお見せしたいと思います
●クロサワファームさんのシンボルマークとその展開
茨城県ひたちなか市でさつまいもの生産から干し芋の加工販売までを行っているクロサワファームさん。茨城県は干し芋の一大生産地ですが、その中でもクロサワファームその究極の干し芋は地域の品評会で史上初の2年連続W金賞受賞という品質の高いもの。
でもその地域は干し芋農家が多いこともあって似たり寄ったりのパッケージデザインの干し芋が並びます。ここはしっかりした顔をつくってブランドづくりを進めていく必要がありました。
時間をかけて聞き取りと話合いを重ねてつくりあげたブランディングコンセプトを クロサワの頭文字のKをもとにした3つの3角形で表現したシンプルなグラフィックによるロゴマーク。
ロゴマークがきまったことにより、それをもとにパッケージデザインを進めていきます。といっても工場で大量生産されるものではありません。パッケージも既製品の袋にラベルを手貼りしたり。箱は共通にしてラベルで種類別を表現したりとコストはかけずにデザインを進めていきます。
デザインの主なところはロゴマークをつねに印象づけ、覚えてもらうこと。不必要なもので飾り立てたりする必要はありません。
芋の品種や加工方法の違いが箱詰めしたあとでもわかるよう必要最小限のグラフィックを追加していきます。(写真ではわかりにくいですが、べにはるかという品種の、焼き芋、ほしいも丸干し、ほしいも平干しを区別できるようストライプや丸の模様で識別できるようにしています)
生産の現場ではたくさんの資材が山のようになり、整理や管理が大変なことになります。ぱっと見で中身がわかる、というのは間違いも減らすことができ作業のスピードもあがります。
パンフレットや商品とともに箱の中に入れる商品説明のしおりも製作します
展示会などに出展する場合、どんなデザインのブースにするか、どんなディスプレイをするかは大事です。ここでもロゴマークは主役です。
名刺はビジネスの基本
印刷された会社案内もビジネスやリクルートにはまだまだ必要。
ウェブサイトもリニューアル
ユニフォームにもロゴマークを
製品が入るダンボール箱はただの発送箱ではありません。いろいろな人の目にふれる、有効な発信媒体。ここでもロゴマークをデザインします。
ロゴマークはできあがって仕事がおわりではありません。デザイナーとしてはそこで手をはなれることも多いと思いますが、ロゴマークを手にした生産者さんはそれを使って情報を発信し、パッケージやパンフレットの印刷物、SNSやウエブサイト、売り場でのアピールといったことをし続ける長い長い道に踏み出します。
その道のりのなかで自分たちのブランド価値を作っていかなければなりません。ロゴマークは現代の家紋であり、継続と発展という戦いを勝ち抜くための「旗印」であり武器となるものです。
そんな道のりを自信をもって進むことのできるようなロゴマークのデザインをこれからも提供していきたいと思っています。
ロゴマークについて以前書いたこちらも読んでもらえるとうれしいです!
●今回取り上げさせてもらった生産者さん
株式会社クロサワファーム
〒311-1201茨城県 ひたちなか市阿字ヶ浦町1992-1
こちらの干し芋は本当においしい!干し芋といえば平たくて乾燥して堅いイメージですが、クロサワファームの干し芋はソフトで甘味と風味がひろがるとても食べやすい食感。特に丸い形のままの「丸干し」はねっとりとした濃厚な甘さを堪能できます。
原料となるさつまいもの生産から、加工製造、販売まで一貫して自家でおこなっています。
●オマケ
NHKの朝のニュース「おはよう日本」のなかでクロサワファームさんが紹介されたのですが、生中継のなかでパッケージもそのまま紹介!キャスターさんのコメントに「デザインも大事ですねー」と言っていただいたのに、ロゴマークの部分だけが隠されている!
特定の企業を宣伝できないNHKならではの処置ですが
ロゴマークがよっぽど目立っていたということでしょうか(笑)