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シンプルじゃないロゴマーク。それが必要なときがある。

ロゴマークを作る時はシンプルなデザインが重要だと言うエントリーを前回書きました。


実はシンプルではないロゴマークもデザインしています。あれ、言ってることが違うね。さてそれは一体どういうことなのでしょう。

農業や地域の中小企業の方々のデザインブランディングを主にやっている僕にとっては、ロゴマークと言うのはデザインの原点、すべての起点となるものと考えています。

決まったロゴマークを中心にそこから商品パッケージのデザインや看板等のサインデザイン、広告や商品パンフレット、ウェブサイトやSNSなどすべてに統一されたデザインとイメージでつくっていきます。

家族型の農業や中小規模の企業にとって、商品ごとにコンセプトの違うデザインを展開したり、そのための広告に大きな費用を使ったりと言う事は難しい。商品パッケージをいちどにリニューアルすることも大変だし、今年はこれとこれ、来年はこれとこれと言うように何年もかけて一つ一つデザインを統一していく。そのような作業がほとんどです。

だからこそロゴマークが商品の顔になり、統一したイメージのデザインの核になっていることが大事だといえます。

そんな観点からロゴマークをデザインするときに考えるポイントのひとつとして、それを手に取った人、お店で見た人が見た目にまず心をひかれ、記憶に残るものになるかどうか。

そうしたときに手描きのイラストを元にしたものや装飾的なデザインでロゴマークを作ることがあります。商品と一体になり、パッケージという立体になったとき、上から見たり、斜めから見たり、その形状、商品のまわりにまとわる「雰囲気」や「たたずまい」。そこに大事なものがあると思っています。

それを感じてもらえることで思わず興味をひかれる、手に取りたくなる、そのためにブランド、商品に合ったロゴマークをつくることが重要です。

いくつか実例を挙げてみましょう


福島県福島市の果樹農園フルーツのいとう園さんのロゴマーク。

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巨峰やシャインマスカットといった高級なぶどうや、桃、リンゴなどを生産する家族経営の果樹農園です。

高級なぶどうを干しぶどうにした加工品を自ら製造していて、それを付加価値をきちんとつけたものとして売りたい、また海外にも持っていきたい。そういう要望によりパッケージにゴールドで箔押しされることを最初から想定して、手描きのイラストで生産物を表して作ったロゴマークです。

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高級感のあるパッケージにロゴマークが映えます。

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ロゴフラッグを掲げる農園主の伊藤さん

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展示会の時はなんとソムリエスタイルに変身。高級なブランドイメージを作りたいということでいつもこの格好で現れます。福島ではソムリエおじさんとして有名だとか(笑)

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車にもロゴマークがばっちり。いつもいちばん目立つところに停めるのだそうです。それもブランド発信のひとつ。


北海道十勝・清水町の放牧牧場、十勝アルプス牧場さんのロゴマーク。

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乳牛としては珍しいブラウンスイスという種類の乳牛と、土づくりにこだわった放牧により高品質の牛乳を生産しています。そのブラウンスイスの牛乳を使ったアイスクリームやミルクジャムを製造販売もしています。

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これらのアイスクリームのカップやビンにデザインされたときにいかにいかに魅力を発揮できるかを最初から考えて、手描きのブラウンスイス牛の子牛の顔をロゴマークにしています。

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牧場主の橋本さん。ブラウンスイス牛ととっても仲良し。

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この風景がロゴマークのもととなりました。

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バイヤーにアピールする展示会は大事な舞台

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そのほかの商品もロゴマークが顔となります

群馬県昭和村の酪農牧場、ロマンチックデーリィファームさんのロゴマーク。

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牛つながりですが、群馬県昭和村の酪農牧場、ロマンチックデーリィファームさんのロゴマーク。

飲むヨーグルトやチーズなどいろいろな製品を作られていますが、パッケージデザインはすべてこのロゴマークのみ!ほかの要素はあえていれません。だからこそ統一のデザイン、統一のブランドイメージをしっかりとつくることができます。

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農業系の展示会でこれは目立つ!バイヤーさんも思わず立ち寄ります。

インスタで農場名を検索すると「かわいいパッケージにひかれてパケ買いしました!」なんてコメントがたくさんでてきます。
これはデザイナーにとってはとてもうれしいこと。どんなにおいしいものででも手に取り、お金を払って買ってもらい、それからやっと食べてもらえます。おいしさを伝える、その機能をはたすことができるからです。

これらのロゴマークは造形的にはシンプルな幾何学形態ではありませんがその表現するところ、伝えていきたいこと、表現の目的としての考え方はシンプルだと言えます。

ロゴマークがシンプルなものが優れていると言う言葉にとらわれて、シンプルな形を作ること自体が目的になってしまってはそれは本末転倒です。

あくまでも大事なのは商品の価値やその生産者の思いを伝えるためのきっかけとなり得るか。そのためには考え方や表現する想いがシンプルであると言うことが重要であり、ロゴマークやそれを使った商品デザインには人が手に取る魅力があるか、記憶に残ることができるかが求められます。

デザインとしてシンプルなものがいいのか、手描きの線がいいのか、装飾的なものがいいのか。

ロゴマークのデザインはシンプルなものであるべきというのは造形的なことだけなのではなく、考え方やコンセプトの部分、なにより伝えるべき物が何なのかに対するの考え方であるといえます。

※このテーマについて音声メディア、スタンドFMでもちょっとだけ話してみました。あわせて聞いていただけるとうれしいです!

ではロゴマークを作った後はどう運用したらよいのかという記事を書きましたのでそちらもよければ読んでみてください!


※予想以上にたくさんの人に読んでいただきありがとうございます!
この子たちはどこで買えるのかというご質問もいただいたのでわかる範囲で掲載しておきます。
なにせ大量流通にはのらない少量生産のてづくり品なので常時在庫があるかどうかはわかりません。ご容赦ください。

●フルーツのいとう園

ホームページに購入方法があります。

●十勝アルプス牧場

ネットショップから購入できます

●ロマンチックデーリィファーム

牧場を経営するミルクロードさんのホームページに購入できる場所のリストがあります。
東京自由が丘には小さな直営店があります。
話し好きの社長の須藤さんに牧場の話を聞けるかも。




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