ぷちえっち・ぶちえっち28 おしり枕の誘惑
この連載はちょっと笑えるちょっとエッチなエッセイです。今回は「ぶちえっち」編。かなり際どいお話です。
「ねえ、なんかしてみたいことないの」。
みゆきちゃんが言った。
一戦交えた後だった。僕は頭の中はものすごいスケベであるが、実際の行為は淡泊である。いつも、エッチをする前は、
「あんなことや、こんなことや、そんなこともしてみたい。グフフ」。
などと思っているのだが、いざ実践になると、型どおりに愛撫して、正常位でへこへこと腰を動かし、5分もしないうちに終了のゴングが鳴る、というのが常だった。
そんな僕との行為が物足りなかったのか、はたまたサービス精神からか、みゆきちゃんからのありがたい申し出があったのだ。
僕はすぐさま、
「ひざ枕がいい!」と答えた。
吉田拓郎さんの、確か「旅の宿」という曲だと思ったが、その歌詞の中に、
「僕はすっかり 酔っちまって 君のひざ枕に ああうっとり」
というフレーズがあった。まだ童貞だった僕は、
(ああ、いいなあ、ひざ枕。男のロマンだよなあ。ほんとにうらやましいなあ)。
と悶々としながら聞いていたのである。
「ひざ枕?いいよ」。
みゆきちゃんが笑って言った。
みゆきちゃんがベッドの上で正座する格好で、僕はみゆきちゃんの足の方向を見る向きでひざに顔を乗っけた。もちろん一戦交えた後なのでふたりとも真っ裸である。
頬に当たる肌がすべすべで、弾力があって、ほんのり暖かい。なるほどいいものである。しばらく堪能していると、みゆきちゃんが、
「ねえ、こっち向かなくてもいいの」。
と言った。
もちろんそっちの角度も経験したい。僕は頭の位置を変えた。すると全然違う風景が目に飛び込んできた。
ちょうど視線の真っ正面にみゆきちゃんの足の付け根が見える。みゆきちゃんは全身脱毛していたので、子どものようなつるつるの1本線が見えた。少し目を上げると、腰から胸のラインが見え、下から見上げるような格好でみゆきちゃんの顔が見えた。みゆきちゃんはにこっとほほ笑んだ。
またこれも絶景である。僕が画家だったら早速絵筆を取っていたぐらいだ。ううん、眼福眼福。ぼくは大変満足した。
「どう、よかった?他にはなにかある?」。
みゆきちゃんが言った。
このとき、僕の頭の中は「○○枕」というワードでいっぱいだった。あと試すとすれば、「おっぱい」か「おしり」であろう。
ただ、おっぱいについては、みゆきちゃんには頼みにくい事情があった。
以前えっちしたときに、僕はみゆきちゃんの胸を愛撫しながら、
「ううん、かわいい。かわいいちっぱい」と言ってしまったのだ。
みゆきちゃんは即座に反応し、
「そんなこと言うんだったら、もう触らせてあげない」。
とぷんぷん丸になってしまったのだ。みゆきちゃんの胸は自称Cカップだったが、どう見てもBカップだった。
おっぱいはまずい。だとすると、残されたのはおしりである。
「じゃあ、おしり枕!」
僕が息せき切って答えると、みゆきちゃんはニコッとして
「いいよ」。
と言ってくれたのだ。ばかな男によくぞ付き合ってくれたものだ。
みゆきちゃんがうつ伏せになりベットに寝そべって、僕はぷるんとしたおしりに頭を乗せた。
ひざ枕(というか、あれは実際はもも枕ですよね)、に比べると、つるつる感はさらに上である。ももに比べると、気持ちひんやりしている。意外に柔らかく、ももの方が弾力はあるかもしれない。
ただ、景色は右を向けば足、左を向けば背中、で、顔が見えないために比較的単調である。
「ねえ、満足した?」
とみゆきちゃんが聞くので、僕は
「うん、もう大満足」。と答えた。
僕のために色々してくれたみゆきちゃんが、僕はほんとうにいとしく思えた。強く抱きしめて、僕としては大変珍しい2回戦へと突入したのである。
ひざ枕、おしり枕ともに、言葉では説明したが、やはり実際にやっていただかないと感触はわからないであろう。是非読者の皆様にも試していただきたい。マンネリ防止に請け合いである。