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3 夫との出会い

夫とは前職の洋服屋で知り合いました。
私にとってそのお店は憧れのお店で、働けると決まった時
「人生っていいもんだなあ」と思ったのを覚えています。
みんなが嫌がる仕事も片付けも、大袈裟じゃなく、私には一つ一つがキラキラしていました。

夫は背が高くて細くて、漫画の中に出てくる人みたいな
例えるならばルパン三世みたいなスタイルで、お店の中でも【お洒落な人】とみんなに言われる人でした。

朝礼で夫と初めて会ったとき、夫が私を見て笑っていました。
何で笑っているのかと聞いたら、「変な服着てますねー」と言われました。
確かに変な動物が書いてある違うブランドの服を着ていました。
人と違った服を着ていることがかっこいいと思っていた私は
「これ、セットアップです。下はもっと変です」と答えました。
後から夫に聞いたら、この時変な人だなと思ったみたいです。

私はこの時期、一日一冊、朝に電車で速読をするという謎の修行を始めていて、本に夢中でした。
お昼休みに夫と一緒になった時に夫は本を三冊持っていました。
「いつもこれくらい持っていて少しづつ読んでいるんです」
私は、負けた・・と思ったと同時にこの人やばい人だなと思いました。

恋人や夫婦になる人とは、何億いる中のすごい確率で出会う。
出会ったときに「この人落ち着くな」とか、「一緒にいておもしろいな」とかビビビはそれぞれだと思うけど、今思うとビビビの感じ方で二人の人生は決まる気がする。
私たちはお互い変だと思ったし、やばい人だと思ったから、やばい変わった生活しか出来なかったんじゃないか。
それともやばくて変わった二人だったからそういう人にしかビビビを感じなかったのか。
全然違う場所で違う人から産まれた人間が一緒になって生活するんだから分かることや答えなんてないに近い。
夫婦が一番の修行な気がする。

のんびりした波のない毎日を送りたかった。
でもこれでよかった。
人間ってとことん勝手な生き物だと思う。


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