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キッチンカーのこと① タイ旅行

震災から5年くらいして友人とタイ旅行に行った。
友人は石巻出身で高校の同級生。
震災の時はその友人の家も流されてしまい、家族が避難所にいた。
こっちに居ながら何が出来るのか二人で集まって何度も会議をしていた。
結局、「何も出来ない」という結論にいたり、出来る範囲で必要なものを友人に送ったりしていた。

自分たちは無事だったけど、家族や友人たちの生活が落ち着くまで
静かに暮らそうと、2人とも心がここにないようなあるようなそんな感じだった。
色々あったしどこか行こうか。せっかくなら遠くへ。
自分たちも前に進もう。そんな気持ちでタイに行った。

宿泊先が先月テロがあったとかで近くのモールは警官が沢山いたり、久々の旅行なのに初めから怖い気持ちになっていたけど、計画を立てた場所へはほとんど行けたし、楽しく過ごせた。
日本じゃない場所だから現実から離れた気持ちになり、リフレッシュできた。
最終日に目星をつけていたレストランに行きたくて、折角だからトゥクトゥクに乗って行こう!とトゥクトゥクで行くことにした。
トゥクトゥクを探していたらトゥクトゥクを運営しているらしいお兄さんに話しかけられた。
『親切な人もいるもんだ』くらいに思って、私たちはお兄さんに案内されるがままに乗った。

トゥクトゥクはとても楽しくて友人とふざけながら写真を撮ったりした。
ガタガタする乗り心地も楽しかった。

あっという間に目的地に着き、店に入った。
「あれ?店違くない??」友人に言われて気が付いた。
店が違うし、行く予定だった店よりめっちゃ高い。
「高いと言っても日本より安いしここでいいか」となり、移動するのもめんどくさかったし、そのレストランで食べる事にした。

楽しかったトゥクトゥクの思い出と一瞬で複雑な気持ちになったトゥクトゥクの思い出。
両極端な事が一瞬で起こると人はパニックになって、そのパニックが変な化学反応を起こしてとんでもない思い出として脳裏に焼き付く。

日本に帰ってきても忘れられず、トゥクトゥクについて調べていた。
日本に持ってこれないのか。(もはや虜だ)
トゥクトゥクと私は運命だ。(人の脳みそは怖い笑)

調べていたら「キッチンカーレンタル」というキッチンカーという車を貸している会社を見つけた。
免許もないくせに、私はキッチンカーをやる事が運命だと思った。

これが私のキッチンカーを始める始まりです。
普通の始まりとは違うかもしれない。
でも運命なんてないって言うし、始まりがちゃんとしていたからって自分の思い通りに成功している人は何人いるんだろう。

キッチンカーを始めて8年目。
今思う事は、運命なんてきっとない。
でも運命だと脳みそに化学反応を起こして馬鹿になってみると
何年後かに「いい運命だった」なんて少し話せる大人になる可能性は高い。

いい思い込みがきっと大事なんだと思う。

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