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働くパパ/ママに必要なのは"諦め力"だと思う話

こんにちは、HeaRの安部(@abe_motivator)と申します。

個人的な話になってしまうのですが、7月に第一子が誕生し、父になりました。育休もしっかり取得し、会社からのサポートもあり、ドタバタでしたが生後3か月を楽しく過ごすことが出来ています(もちろんここからが大切だと思いますが……)

生まれる以前から周囲の先輩パパに「子供が生まれたら価値観変わるよ」と聞いていましたが、もれなく自分も、子供が産まれる前と後とでは価値観が変わったと感じています。

それと同時に「あれ、この状態でスタートアップで働き続けることって可能なのかな?」という漠然とした不安も生まれたのも事実です。実際に代表の大上(@ryoooue)とは、今後の働き方について議論を重ねていますし、僕は人事なのでこの状況における意思決定が「組織にとってのロールモデルになる」と思っています。大袈裟かもしれませんが、従業員の仲間を安心させるか不安にさせるかも自分の今後のパフォーマンスや決断にかかってくるのかなという気がしています。

まだ生後3カ月(つまりパパ歴も3か月)で、先輩方に比べたら父として若輩者ではありますが、それでも仕事と家庭の両立の大変さをひしひしと痛感しています。僕が欲張りなだけかもしれませんが「子育てに向き合いたい」という気持ちもある一方、当然キャリアも諦めたくありません。

しかし、以前と比べると時間の制約がどうしても出てきます。気合と根性のような「個の力」で勝負するのは難しいと感じています。新卒1~3年目であれば「寝なきゃいいや」と乗り越えられたと思います(僕の周囲がそんな人たちばかりだったというのもありますが笑)が、今の自分では体力的に厳しい。

そして何より、気合と根性だと「家族も事業もスケールしないのでは?」と思い始めています。そんな絶賛新米パパである僕個人の考察と、働くパパ/ママが安心して活躍できるような組織作りを心がけているHeaRの取り組みを絡ませながら意見を述べていきたいと思います。

■子育てもキャリアも、諦めない事は可能なのか?

結論、可能だと思っています。というよりも「可能だと信じたい」でしょうか?僕は9月までシゴトレというサービスの事業責任者を勤めていたのですが「キャリアを諦めたくないけど、あくまで家庭優先だからチャレンジするのは難しい」という声を何度も聞いてきました。

自分が父になった今では、その気持ちが痛いくらい分かります。当然世の中には「キャリア」も「家庭」もどちらもうまく行っている方はたくさんいますが「自分には無理なんじゃないか?」と思う時もあります。どうしても視野が狭くなりますし、とにかく時間が無いことに焦りを感じる。

「時間が無いなんて言い訳だろ」という声も聞こえてきそうですが、子育てって本当にやることがたくさんあって、且つそれをママに全て任せるのはあまりに酷。しっかり役割分担して、お互いが自分の最愛の子供に向き合うことは義務なはず。

「じゃあ子供を早めに寝かしつけて、夜に仕事すればいいじゃん」と思う方もいるかもしれませんが(さすがにいないか)、もうその頃にはこちらもクタクタなんですよね。全部を叶えるのは難しいのかもしれませんが「何かいい方法があるのではないか」と模索し続ける日々。この葛藤はきっと僕だけじゃないと思います。

と、リアルな父の悩みを記載してしまいましたが、ここからが本題です。
僕は時間が無くても理想の働き方(子育てとキャリアの全力投球)を追及することは可能だと信じています。ただ、その際に身に着けたほうが良いスキルやスタンスがあると思います。それは「諦める」というスキル。語弊があるかもしれないので、言葉を言い換えると「周りに頼る」ということです。全部自分でやろうと思うと限界があります。子育てをしながらだと、より顕著になります(何せ時間が無いので)

この「諦める」という姿勢は組織マネジメントにも通ずると思っています。全部自分でやれば、早く目的地にたどり着くかもしれませんが、遠くには行けません。遠くに行きたいのであれば、仲間を巻き込み、対象範囲を広げ最大出力をあげること。これはあくまで私の体験談ベースになってしまいますが、組織の人数が30人→50人→100人の壁を超えるには、この組織マネジメントのスキルは必須なのではないかと。

僕自身も、自分がマネジメントレイヤーになって以降「周りを頼る」ことをかなり意識してきましたが、父になりより一層「最初から1人でやることを諦める」を徹底しています※もちろん意思決定における責任はもちます。

結果的に、個人としてご機嫌に働くことが出来ています。そして「僕がご機嫌でいることが、結果的に組織の雰囲気を良くする」ということにようやく気づけた気がします。組織も個人も疲弊しないし、自分をロールモデルにする若い世代が増える。そんなメリットを組織にもたらすために「諦め力」が必要なのではないかと。

■スタートアップフェーズで働くパパ/ママのリアル

とはいえ、ここまではあくまで安部個人の話。「n数が1」の状態であればあまり信憑性は得られないかと思い、弊社で働くメンバーに話を聞いてきました。

■松丸海太(通称:まるさん)

あddd

■経歴
2009年 新卒でアロカ株式会社へ入社。超音波医療診断装置の研究・開発・製造・品質保証に従事する傍ら、部署内の人材育成業務に参画。同社にて労働組合執行部に3年間従事。人事処遇や評価制度の実態調査や改善施策立案を担当。

2016年 株式会社TRUNKに入社し、TRUNK(HOTEL)に出向。ブライダルプランナーとして、婚礼のプランニング、イベント企画を経験。業務改善の見直しなど、事業効果最大化の施策へも参画。

2020年 HeaR株式会社に入社。パーソナルキャリアトレーニングサービス『シゴトレ』にて、キャリアトレーナー及びマーケティングを担当。現在は副業マネジメントSaaSの立ち上げを担当。

---(安部)まるさんは、子供が生まれてから価値観が変わったりしましたか?

そうですね。独身/結婚/出産の3つのフェーズがあると思っていてそれぞれの価値観はこんな感じでした。

・独身:色んな人と仲良くなりたい(八方美人)
・結婚:独身時と変わらず
・出産:自分の時間を「子供に全て使いたい」

今までだったら「友達の連絡には即レス」「いろんな場所に顔を出して繋がりを作りたい」と思っていたようなタイプでしたが、今では「時間をしっかり作って子供に向き合う」ことを第一優先に考えるようになりました。

---(安部)HeaRへのジョイン含め、お子さんが小さい中で2回転職されていると思うのですが、当時は不安など無かったんですか?

1度目の転職は息子が0歳の時でした。その時自分は「不安」という感情は正直無かったんですよね。ただ、逆に周りの方々が不安を与えてくれました。言い換えると、前しか向いてない自分に対して「ちゃんと家庭を考えてるか?」という問いを投げてくれていたんですね。その問いからいくつか考える中で、結果的に「生活費」と「家族のサポート(時間の捻出)」が解消できれば問題ないという結論に至り、それぞれに生じる不安を1つずつ潰していく作業をしました。

---(安部)不安を潰す作業……?具体的に何をしたんですか?

例えば、ここまで2回の転職でそれぞれ未経験転職を希望していたので当然給与は下がることは想定していました。ただ「自分が必要な金額=支出」をしっかり出した。それも短期的な数字ではなく、2030年までの支出予測をしましたね。みたいな感じで周囲から出てきた不安を、ちゃんとシミュレーションしてみてみると解消していけたんです。「あ、意外といけるな」って。

当然周囲のサポートや理解があったからこそという前提はありますが「不安を因数分解して潰す」という作業はおすすめですよ。

---(安部)なんだかまるさんらしいですね(笑)不安を潰したことで覚悟が決まり、チャレンジしたんですね!

そうですね。不安を潰せた上で、やはり「自分、このままで(現職を続けて)良いんだっけ?」と強く感じました。今思うと、本当に決断して良かったと思っていますよ。

---(安部)決断してよかったと思ってくれているのは、僕としては何よりです!人事冥利につきます。

子供に対して「お父さんはこういう仕事をしていてね……」と、胸を張って言いたいんですよね。だからこそ今のうちに「胸を張れる状態」を作りたかった。子供が私の仕事を認識したときに「お父さんは、青春の大人を増やすお仕事をしています」何て言われたら嬉しいですね!

あいいい

未来を見るまるさん

---(安部)まるさんごめんなさい。本題なんですが「キャリア」と「子育て」の両立の上で何が必要だと思いますか?

"やらない事を決める"でしょうか。例えば「スーパーに買い物に行くのを辞める」とか。子供がベビーカーの時は、実は買い物が楽なんですよ。でも、歩けるようになると動き回るので、近場の買い物でもしんどい……。なのでネット注文にしています。あとは家族との期待値調整ですね。「これは出来るけど、これは出来ない」をはっきり対話の中で伝えています。なあなあでやると、後でズレを修正できなくなりますから。

---(安部)家事のDX化ですね。仕事ではどうですか?

いくつかありますが、他事業部の動きをリアルタイムで追うことは辞めました(当然後で見ます)。これは「選択と集中」をして、自分のやるべきことに100%のリソースを割くためです。1人1人が成果にコミットしないといけない環境の中で、自分は果たしてどこで成果を出すのかをちゃんと考えないと全部が中途半端になります。

後は「自分がボール持ってしまうことでチームの意思決定スピードが遅くなる」ことに気づきました。なので、自分で溜め込まずどんどんボールを捌くことは、最近意識していることですね。

---(安部)僕も去年経験しましたが、良くも悪くも新規事業はかなり負荷がかかりますよね。そういう意味では子育てに及ぼす影響はありませんか?

今は事業として/組織として、負荷をかけるタイミングだと思っています。ただ、私は仕事を短距離走の連続だと思っていて、しっかり区切りを決めて、ペースを落とすべきところは落とそうと決めています。

---(安部)よく「マラソン」という例え方は聞きますが、短距離走の連続という表現は面白いですね。

短距離の後って、ジョグをすると思うんですよね。僕はその感覚で「この期間は全力で走る」「この期間はジョグでペースを落とす」ということを意識しています。そしてこれ私個人ではなく、チーム内で決める。そうするとペース配分がしやすい分、メリハリがつきます。無茶するべきタイミングと、そうじゃないタイミングの解像度をチームで上げるイメージです。

また、個人の思想として「努力と根性は最初に使うべきではなくて、もう後がない最後の一手まで取っておく」と考えているのも大きいかもしれません。

■石川 麻奈(通称:なっぺ)

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■経歴
2014年に新卒にて株式会社マイナビへ入社。新卒領域の採用支援に従事。妊娠・出産をきっかけに退職し、1年間主婦を経験。

2016年 マイナビ出資の人材系ベンチャー企業へ立ち上げメンバーとして入社。新卒紹介事業部を立ち上げ、CA、RA、学生集客、採用、制度設計にも携わる。4名から30名までの組織拡大を経験。

2020年 株式会社コドモンに入社しセールスチームの業務省力化や広報サポートに従事。会社の公式SNSの運用などファンづくりに取り組む。

2021年 HeaR株式会社に採用コンサルタントとして入社。複数社の採用ブランディングや採用広報活動のご支援を担当。

---(安部)なっぺさんはHeaRで一番子育て歴が長いですが、子育てとキャリアの両立で葛藤したことはありますか?

葛藤したことは何度もあります。「仕事も家庭も、どっちも全力投球したいと思うのは欲張りなのだろうか?」と何度も悩みました。前々職ではスタートアップ企業で就活支援をしていたのですが……

・早く帰らないといけない
・夕方以降の商談や就活イベントに対応できない
・本気で学生に向き合おと思うと、逆に子育てに向き合えない

葛藤して、結局仕事と子育てどちらも中途半端になってしまい、娘には寂しい思いをさせてしまったと反省しています。当時は創設間もないベンチャーに入社したので、課題は山積み状態。仲間と同じくらい本気でのめり込むと、家庭を疎かにしてしまう自分に嫌気がさしたこともありました。でも、立ち上げ期から参画していて、自分にとっては会社も子供のように大事だったんです。バランスをとるのが非常に難しかったことを鮮明に覚えています。

---(安部)なっぺさんにもそんな時があったんですね。意外です。そこからどうして前職のコドモンさんに転職しようと思ったのですか?

娘から「私のこと見て」と言われたことがきっかけです。言葉を喋れるようになってから、私が仕事でスマホばかり見ていることを認識し始めたみたいで、スマホばかり見ている私が嫌だったんだと思います。2歳くらいまでは「自分が無茶すればなんとかなる」と思っていましたが、徐々にそれが難しくなってきたことも理由としてありますね。

「マネージャーの私がみんなより早く帰るのが申し訳ない」
「娘に向き合う時間を少なくする or メンバーの相談に乗る時間を少なくする」
こういったことに悩む自分に限界を感じていました。

---(安部)コドモンさんでは、そういった不安は解消されたのですか?

働き方という部分では、かなり改善しました。私の所属していたチームは8割程が家庭を持っていて「無茶をしない」が徹底されていました。コドモンに入社したことで、いい意味で「わがままに働いていいんだ」という価値観に変わりましたね。

---(安部)「自分で自分を追い込んでいる状態」から解放されたような感じですかね。めちゃくちゃ素敵です。その後7月にHeaRに来てくれたわけですが、充実したサポート体制/組織作りがあったコドモンさんから、どうして転職しようと思ったのでしょうか?

まず一つに「自分はやはりHRの領域で働きたい」と感じたこと。素敵な会社で幸せに働いているよりも、素敵な会社を増やし幸せに働いている人を増やしたいと思ったことが大きいです。そう考えた時にやっぱ自分はHRが好きだと思いました。二つ目に「今の価値観(上手く周りを頼ってわがままに働いてもいいという思考)」を取り入れた状態でスタートアップにチャレンジしたら、どうなるんだろうという気持ちが芽生えたことがきっかけです。

娘を保育園に預けている関係で、17:00前後にお迎えで抜けなきゃいけない。これを以前までは「周りに迷惑をかけてしまっている」と自己嫌悪になっていたけれど、コドモンで働いたことで「その分どこかで取り返せばいいや」に変わったんですよね。

---(安部)確かに今のなっぺさんも、柔軟な働き方をしていらっしゃいますよね。

そうですね。私としては娘から言われた「ママ、迎えに来るのいつも最後だね」という言葉が結構ショックで、そう感じさせてしまっている状態を回避出来る環境というのが転職条件でした。もしこれが叶えられれば、私自身自己嫌悪になることもなく、ご機嫌に働ける気がして。やっぱり、親がご機嫌に働いていないと、娘や家族にも影響してしまいますからね。今は延長保育をせず、リモートやフレックスを活用しながら柔軟にご機嫌に働かせてもらっています!

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---(安部)僕自身先輩ママとして、なっぺさんにいつも学ばせてもらっているのですが、子育てとキャリアの両立において重要なスキルは何だとおもいますか?

大きく分けて3つですかね。

①絶対に外せないことから、優先順位を立てていく
やらないといけない事はたくさんあるのですが、まず第一に「娘に向き合う時間を確保」します。保育園に迎えに行ってから、数時間は必ず娘との時間を作る。これは絶対に曲げない。そうするとそれ以外の時間をどう使うかが勝負になってくるので、余白をしっかり保ちながら、やるべきことを決めていきます。

②仲間を頼る
今までの自分は「出来ませんを言ってはいけない」という思い込みをしていました。でも、出来ないと言ってはいけないのではなく、具体的に何が出来ないのかを明確にし助けてほしいところをちゃんと伝える事を意識し始めてからだいぶ楽になれました。結局は「チーム目標を達成すればいい」と割り切ることが重要だと思います。

③完璧主義を辞める
「私はこうでなければいけない」「母親だから、夕飯は毎日手作りじゃないといけない」のような、自分自身の勝手な偏見を辞めました。以前は割と完璧主義だったのですが、恐らくそのままだと潰れてしまっていた気がします。

■「成果をチームで追う」事による、働きやすさの醸成

実は弊社、従業員の2/3が既婚者です。もしかすると、このフェーズにおいては珍しい比率なのかもしれません。とはいえ最近は「スタートアップはワーク・ライフ・バランスなんて存在しない」という”良くないアタリマエ”は淘汰されてきたのかもしれませんが……。

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弊社は10月から新しい評価制度を作成し、運用しています。一言でいうと「OKR+ケイデンス」の考え方を用いており、個人目標ではなく、チームで目標を追っています。OKRの運用は難しいという話はよく聞きますが、HeaRのカルチャーや理想とする働き方を最大限活かすにはこれがBestだと信じています。
※評価制度に関する記事はまた別の機会にご紹介します

※ケイデンスについては上記に分かりやすくまとめられています

「成果をチームで追う」スタイルは、メリット/デメリットそれぞれ存在します。しかし、ある意味「自分だけではどうにもならない目標」を追っているので、個人でどれだけ足掻いても到達することは難しい。であれば最初から「誰かに頼る」「1人で頑張ることを諦める」スタンスが不可欠。このスタンスが、柔軟な働き方を可能にしていると考えています。
※補足:前提として、もちろん我々は勝たなければいけません。事業と組織を大きくしていくには「がむしゃらに頑張る」という姿勢はとても大事です。個人的にも「やれることは全部やる」というスタンスで仕事に臨んでいますし、それ自体は間違いでは無いと思っています。

■さいごに

長くなってしまいましたが、HeaRのメンバーにも協力してもらいつつ「働くパパ/ママに必要な"諦め力"」について述べました。子育てとキャリア、どちらも妥協せず向き合うには「個人と会社」双方の努力や歩み寄りは欠かせません。

僕は人事なので、どうしても企業目線で考えてしまいますが、一個人としても「諦める力=周りを頼る/巻き込む/ディレクション」を身に着けることは必須なスキルだと感じています。

話は変わりますが、HeaRは「青春の大人を増やす」というミッションに掲げ、一緒に闘ってくれる仲間を大募集しています。変に期待値をあげたくないので、事業も組織もまだまだやらなければいけない事や整えないといけない事が山ほどあることはあらかじめお伝えしておきますが、今回登場した松丸(通称まるさん)や石川(なっぺ)・そして僕も含めパパ/ママでも青春している大人はたくさんいます。

「スタートアップに飛び込んでみたいけど不安だな」という方もぜひお気軽にお話しできれば嬉しいです(下記WantedlyかMeetyからお気軽に)


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