「どうしたのよ、あなた」 美亜子が疲れ切った桧山田に声を掛けた。 「蟻っていったな」 「えっ、そっ、そうよ」 「知らないのはおかしいか」 「そっ、そりゃあ、幼稚園児だって知ってるわ」 美亜子の説明を聞いた桧山田は頭を抱えてその場に蹲ってしまった。 「おっ、俺はどうしちまったんだ」 「大丈夫、大丈夫よ。ちょっとあなたは疲れちゃっただけよ」 美亜子の言葉を聞いた桧山田はゆっくりと立ち上がると、寝室に向かった。