エッセイ#8『エスカレーター』
エスカレーターで2階に昇っていると思ったら、実は降っていて地下1階に来てしまっていた男になりたいと、ふと思った。そんな状況もなくはないはず。考え事をしていたり音楽に体を任せたり、可愛い女の子やかっこいい男に見惚れていたり、そうやって自分の世界に夢中になって気がついたら逆の方向に進んでしまう。そのくらいまっすぐに生きれたら、面白い文章が書けるだろなと思ったが、恐らくそういうことではないのだろう。僕はエスカレーターの上下を冷静に判断できる。この文章を忘れた頃、何かに没頭してそんな