ビルの揺れを隙間で守る!エキスパンションジョイントカバーって何?
私たちの身の回りにある建物は地震や温度変化など、外部からさまざまな力を受け続けています。
その有害な力を受けたときの揺れによる建物同士の衝突や伸縮などを防ぐため、一定規模以上の建物は複数ブロックに分割され、クリアランス(隙間)を設けて建てられています。
分割された各躯体が異なる動きをしても、それぞれが追随できるように接合する手法・工法をエキスパンションジョイント(Exp.J.)と言います。このクリアランスを覆う役割を果たすのがエキスパンションジョイントカバー(以下: Exp.J.C.)です。
今回は、Exp.J.C.の基礎知識をご紹介します!
クリアランスが必要な建物
クリアランスを必要とするものには平面形状が複雑な建物や横に細長い建物、増築する建物などがありますが、このほかにも構造や条件により設ける場合もあります。
クリアランスの幅は建物の構造によって異なります。設計士が地震時などに建物がどれくらい動くのか計算し、その数値をもとに必要なクリアランス幅を導き出します。
Exp.J.C.とは
クリアランスを覆い、建物の使用上支障をきたさない機能を備えた「動くカバー」をExp.J.C.と言います。主に渡り廊下の接合部や外構、エレベーター廻りなどに使用されています。
アルミニウムやステンレスなどの金属製が一般的でしたが、近年は軽量で意匠性・安全性にすぐれた樹脂製のExp.J.C.が注目を集めています。
たとえば、地震発生時にExp.J.C.はこう動く
地震発生時、地盤は3次元的に動くので建物も3次元的に揺れます。このとき、クリアランスを挟んだ建物同士はそれぞれ異なる揺れ方をします。そのためクリアランスに設置したExp.J.C.も、建物の動きに合わせてX方向、Y方向、Z方向の3方向に変位します。
ぜひ、Exp.J.C.が実際に動く様子を動画でご覧ください。
■ Exp.J.C.の試験映像を見る
■ コラム「若手設計が知っておきたい エキスパンションジョイントの基礎知識 Part1」を見る