いつか、少しだけでいいから、京都にいた頃を懐かしんでください。
北大路交差点から真っ直ぐに伸びる烏丸通を望むと、7,8キロ先にそびえたつ京都タワーがチョークくらいに見えるのが好きだった。
春学期も終わりの見えた7月。
うだるような暑さでアスファルトは燃え上がり、京都タワーはおろか、一寸先すらうまく見えない。
大学構内をだらだらと歩く学生は揃いも揃って腑抜けたツラをしていた。
しかしまあそれは無理もない話で、祇園祭の高揚感に満ちたこの時期、勉学に励む学生など皆無である。
恋愛に忙しいのだ、そんなことをしている暇などない。
講義ノートを