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胚のいのちか、親のこころか

前のNoteにも書いたように、

「次までそのまま移植。それがダメならTRIO検査、そして2度目の採卵をしてリスタートしよう!」

と決め、意気揚々と病院に向かったが、

「移植と検査は了解!ただ、保険適用の採卵は凍結胚が残っている間はできないんだよ

とあっけなく、担当医に言われてしまった。


保険が適用できる採卵は、凍結胚がなくなるか、残っている胚のグレードが明らかに低い時にしかできないらしい。調べたら分かったのかもしれないけれど、調べていかなかったから、この返事は私にとって青天の霹靂だった。

「ということは、私は今ある凍結胚で保険適用となる残り4回の移植に挑まなければいけないということ?え、最後の5回、6回を一番グレードの低い胚に託すの?一番いい胚でさえ、かすりもしない陰性だったのに?」

一気に、不安になった。


そんな不安を汲み取ったのか、担当医は次のような提案をしてくれた。

「次の3回目の移植を、2個移植にすることもできるよ。今残っている一番いいグレートの胚と、一番グレードの低い胚の2つ。」

これは、2つのうち1つが着床すればいいね、という希望と並行して、今ある凍結胚を消費してしまおうということも意図している。


つまり保険の制度上は、
「できるだけ無駄な胚がないようにね。あなたの残っている胚は移植できるグレードだよ」となっているのだけど、

現実的なことを考えると、
「この胚のグレードだとあまり期待はできないから一気に使ってしまおうか」と。


正直なんだそれ、と思ってしまった。
そんな捨て試合のようなことがあるの?

保険適用があるということが有り難くて、だからこそ一回一回大切にしたいと思っているのに、制度がそれを尊重してくれないじゃないか。


しかも、2個移植すると、当然2つ着床するということもあるし、そうなると双子が生まれることになる。ちなみに、自然妊娠で双子が生まれる確率が1%に対し、体外受精・顕微授精で2個戻しをすると、4-5%の可能性になるらしい。そして、双子になれば、妊娠合併症や早産のリスクは高まる。帝王切開が基本だそう(私は双子を自然分娩で産んだ強靭の友達を知っているけど)。


保険を使わせてもらう身ではあるけれど、こんなに必死に取り組んでいるのに、できるだけ確率が高くなる方法を望ませてもらうことはできず、背負うリスクは大きくなるって、なんなんだろう。

選挙が終わったばかりだというのに、制度に対する不満が湧き出てきた。


これまでは、体外受精や顕微授精が、回数制限がありながらも保険適用になったことに感謝の気持ちでいっぱいだった。回数の根拠も理解していたはずだった。でも、やればやるほど、回数券が 1つずつなくなっていく感じで、残っている枚数で妊娠まで至れるのか、どんどん自信がなくなってくる。

だからせめて、採卵をして、1回1回の可能性を高めさせてもらえないか。そう思ったけど、今の保険制度では叶わないということがわかった。


もちろん、せっかく出来た1つ1つの胚を、グレードによって疎かにすべきでないことも理解している。破棄できないグレードということは、希望のある胚なのかもしれない。でも… それが着床しなかった、育たなかった、の結果に、私たちの心は大きく動く。制度は、育つかどうか分からない胚よりも、今生きている私たちのこころを守ってくれてもいいんじゃないか。ちょっとそんなことまで思った。


とはいいつつ、お金がかかることだし、しょうがないのかな。
担当医も、私たちにとって良いと思う提案をしてくれている。

だから、私たちはまた2人で、残っている胚の扱いも含めて2個戻しをするか、話し合いの最中です。

次から次へと考えることが多いなぁ!!!



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