見る ことと 見える こと②
Dialogue in the Darkを
体験したことを①で書きました。
そのつづき。
そこから思い出した
イギリスでの経験を
書いておこうと思います。
イギリスで勉強していた時に、
People with special needs という
言葉の持つフラットさに気づくことが
たくさんあったのです。
まず、入学して早々の
オリエンテーションのようなところで、
説明を担当する教授が
「この中でDyslexiaの人〜?」と聞きました。
「なんじゃそりゃ?」と思っていたら、
ちらほらと手を挙げる同級生たち。
イギリス人も、他の国からの留学生も関係なく
数名がいました。
「なるほど。あなたたちは
試験の時などに考慮されます。
必要なサポートがある場合は
申し出てくださいね」
調べてみると読み書きが難しく感じる
学習障害の1つだそうで、
私はそこで新たに1つ
単語を学んだのであります。
そういうのが一般的に話されるのだな、
ということも同時に学びました。
同級生の中には体に障害があって、
車椅子で生活しているAという子がいました。
私の憧れの亜麻色の柔らかそうな
髪の毛を短く切っていて、
眉毛が割と太くて濃いところも
親近感が湧きました。
私のいた地域は割と坂の多い
場所だったのですが、
彼女の真っ赤な車椅子は電動で、
どこに行くにも「ブイーーーーン」と
自分でそれを運転します。
スーパーで買った野菜を
前に付いたカゴに入れて
グイグイ進んでいるところも
度々目にしました。
車椅子が入れるように
広めに設計された寮の部屋で
生活していましたが、「行動範囲」という
言葉の無意味さを感じるくらい、
家でぼーーーっと本を読んでいるのが
シアワセな私より
遥かに色々なところへ出かけて行って
いました。
一番驚いたのはこれです。
「夏休みに海外旅行してきたのー」
「どこ行ってきたの?」
「Cuba」
「ヒエーーーーーー(尊敬)」
彼女はイギリス人でしたが、
名前がハワイ語に由来しているらしく、
馴染みがなくて読みにくいから、と
短く区切った名前をみんなに教えていました。
今、調べてみたら
【心地よく流れる雲】
という意味だったようです。
ある日、授業に普段見かけない
学生が来ました。
彼はグレーの髪を短く刈っていて、
ちょっとした修行僧みたいなさっぱりした風体。
目はつむったままで、傍には彼に肩を貸しながら
歩いている女性がいました。
入ってきた彼はその女性にお礼を言って
帰ってもらうと、自分のカバンから
ラップトップのPCを取り出しました。
その間、ずっと目は閉じられたまま。
「おお、そうか。音声ガイドがついてる
パソコンもあるからな。
ノートはそれで取るんだな」
と思いながら見ていました。
(授業に集中してない)
別の学部から聴講に来たり、
3学年が一緒に受ける授業
(イギリスの大学は3年制)
なんていうのもあったので、
きっとどこかの学部から来たのか、
別の学年の人なのかな〜と
ぼんやり思っていたのですが
彼はDyslexiaの学生のための
note takerなんだよ、と聞かされました。
お恥ずかしい話ですが、私はそれまで、
何か障害がある方というのは
障害のない人間がサポートすべき存在である、
と思い込んでいました。
もちろん、必要とされる時に出来る範囲で
「手をかす」こともよいのでしょうが。
はっきり言ってAはクラスの中でも
トップの成績でしたし、
Dyslexiaの学生の為の
note takerをしていた彼も、
まだまだ聞き取りがおぼつかなかったり、
内容を理解できない私なんかより
遥かに頭のよい人であったはずなのです。
なんというかそういう意味で、
自分の考えの一方的さ加減を
嫌でも意識せざるを得ないといいますか。
障害のある・なしに関わらず、
人間関係であれば得意・不得意を
分担しあうという意味で、よりフラットで
あるものだと、そういうやり方もあるのだ
ということを知ったように思います。
今回のDialogue in the Darkでも、
「見えない」という日常を送っている
ガイドのKさんに頼る、というか
「心を預ける」ことで
私は自由を得たわけです。
「なんかあったらKさんが助けてくれるから
大丈夫だなー」と。
うーん、何というか
うまくまとまらないけれど、
とにかく「かっちょいい」には
何の違いもないんだなということでしょうか。
というような話を大学で働いていた時、
スウェーデンから来た留学生にしたかったのに、
私の英語力が半端なせいでうまく伝えられず、
「いや、そういう考え方はどうなんだろ?」と
うまく言いくるめられちゃったから悔しい。
ゔーーー。
そうそう、ふらっと入った本屋さんで
たまたま見つけて(何だか、カバーが
独自にかけられていて素敵だったのです)
お気に入りになった本も、勝手にご紹介。
1日100円で何でも預かってくれる
「あずかりやさん」というお店が舞台です。
店主は目の見えない桐島くん。これまで
・あずかりやさん
・あずかりやさん 彼女の青い鳥
・あずかりやさん 桐島くんの青春
の3冊を読みました。
いずれもとてもグッとくるのですが
(桐島くんが素敵すぎるしな……)
トロイメライのオルゴールの話が
特にお気に入りかなぁ。
うぅ、この本の素敵さも語りたい・・。
また近いうちに。