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ハードルを上げることより、ハードルを下げることの方が鬼ほど難しい。ステルス完璧主義をどう乗り切るかについて。
人生80年、思わぬスピードでうまくいってしまうことがある。
「人生甘くないでしょ」と期待なしでやって、トントン拍子に自分の思い通りどころか、それ以上の成果が出ることがある。
仕事であれ、恋愛であれそうである。あれよあれよと上手くいくことがある。
ナチュラルに期待がないところは、心の風通しが良いので、物事が転がりやすかったりする。
人生の中で、大ブレイク中の一発屋芸人のような時期を過ごすことがある。
身分不相応な成功が、受け取りきれない幸運が、降りかかってくることがある。
問題は、上手くいったあとだ。
うまくいくのだから、さらに時間とエネルギーを投下する。
すると9割方、またうまくいく。
やっていくうちにそれに慣れてきてスキルが上がり、さらに上手くいく。面白いように右肩上がりになっていく。このままどこまでも上手くいく気がする。
しかしだ、人生の確変はそう長くは続かない。一発屋芸人はみな、諸行無常である。
なぜかわからないが、ウソのように上手くいかなくなり始める。歯車が噛み合わなくなり、今までの成功はなんだったのだと戸惑う。
なぜ、いきなり来た成功や幸運を維持することができないのだろうか。
それは運気が無くなったとかではなく、
上手くいき始めると、無意識に上手くいっている状態を維持しようとして、自分の中で物事に対する期待値が上がり、自分の中の物事に対するハードルが上がってしまい、精神と行動がおかしくなってしまうだ。
例えば、なぜか出会った瞬間からウマが合う人がいたとしよう。
理由はわからないが最初から会話がスムーズに進み、趣味も合い、普段なら打ち明けづらいことも言える。一緒にいるだけで楽しい。
今までの苦労はなんだったのだろうと思い、この出会いは奇跡だ、運命だと感じる。
しかし、ある日を境になぜか会話がスムーズに進まなくなってしまった。
こちらが話しかけても、反応が薄い。LINEはスルー。会う頻度も減る。あの時のあの言葉、あの表情、あの約束はなんだったの?とキツネに摘まれたような気分になる。
だんだんと思い通りにならないことに怒りと悲しみを覚えるようになっていく。
なぜ相手に怒りと悲しみを覚えるようになってしまったかといえば、相手との時間を過ごしていくうちに、相手に対する期待値が上がってしまったからである。あの時はできたのに、あの時は話せたのに、と過去に実現できたことを現在は実現できないギャップに苦しんでいるのである。
「あの時の輝きをもう一度」と想う時、人は今に生きることができなくなる。今がショボく感じる。あの時は良かったなーと言う。しかし、視点を変えれば、今の方がイイカンジなこともたくさんあるのだ。
人生には絶対的な不幸もなければ、絶対的な幸福もまた、無いのである。
不幸は幸福であり、幸福は不幸である。
ある時には、不幸の中に思わぬ意味や輝きを見つけ、またある時には幸福の中に欲をかき、転落していくのが、人生である。
死のうとして入った樹海で美しい花を見つけて感動したり、長年会えなかった愛する人に抱かれながらも、未来への不安がつい頭をよぎるのが、人間である。
どんなことであれ、「過去に実現化されたことを、今この瞬間も実現化できるはずだ」という心の流れが、私たちにはある。
過去に何かを見出したら、今もそれが起こるだろうと考える。
つまり、期待値とは、アタリマエだと思っていることだ。
いつも通る国道は今日も完璧な国道であり、職場で顔をあわせるくさい上司は今日もくさいだろうと考える。いきなり道がなくなったり、上司からイイ男から発せられるフェロモン臭がしてくれば、どんな人でも戸惑うであろう。
過去から未来を見ている限り、まるで風船が空に浮くように上がっていく期待値を止めることはできないし、過去にはあったが今はないことにがっかりしてウツになるか、今この瞬間に過去の成功を取り戻そうとして無理目な努力をしてしまうのだろう。
ならば、この期待値をアゲアゲにしてくれる過去とどう付き合えば良いのだろうか?
頭を壁に打ち付けて記憶を飛ばすのもいいが(良い子はマネしないでね)、
過去に起こった良いことではなく、
逆に、「今よりもダメで愚かで持たざる者であった過去の自分を意識して思い出すこと」が大事なのではないだろうか。
ものすごい自堕落で邪悪な人でなければ、多少ぼーっと生きていたとしても、人生生きていれば、何かしら少しは賢くなっているはずだ。と私は想う。
ものすごい自堕落な人はほぼいないし、ものすごい邪悪なひとも非常に珍しい。
だからあなたも私も、過去の自分より何かしら賢くなっているはずなのだ。気が付きにくいかもしれないが。
過去が今よりイイカンジならば、前に進むことがイヤになって当たり前だし、過去のイイカンジを取り返そうとして、今を滅ぼすだろう。しかし、過去より少しでもイイカンジの自分を見つければ、前に進める。
なので、今よりも酷く、無知で、感情的で、世間知らずで、今の自分よりはるかにバカであった自分をあえて思い出してみると、「ああ、あの時よりもイイカンジになってるじゃん」と、過去を取り返す完璧主義から抜け出すキッカケくらいにはなると思うのだ。
ここまでこの文章を一気に書いている私だって、「文章を書くぞ!」と意気込んでしまって、なぜかリッパなモノを書かなくてはならないと思っていたが、オリオンビールを飲んだ勢いで、モノを書くハードルを下げてここまで書いてみた。
ハードルを上げるより、ハードルを地面スレスレまで下げるにはどうすれば良いかを考える方が、長い人生、有意義になるものである。
2024年4月17日
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