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ストレッチ・ショートニングサイクルという観点でパワーリフティングを観察すると

1.ストレッチ・ショートニングサイクル(SSC)とは

人体は、筋肉、骨、靭帯、軟部組織などが相互に作用し合うことによって、テンセグリティ構造として機能しています。これにより、柔軟性と強度を保ちながら、動きやすさや安定性を実現しています。
ストレッチ・ショートニングサイクル(SSC)という身体運動システムは、このテンセグリティ構造を成している人体の運動機構を考える上でとても重要な要素を提供してくれます。

⚫︎stretch-shortening cycle (SSC)は,関節が主動作と反対方向に動く運動や,近位から遠位へと順に動く運動で生じており、人間の多くの身体運動で観察される。
⚫︎SSCを伴うことで、力、スピード、パワーなどの機械的出力の増加と,少ないエネルギー消費で運動ができる運動効率の上昇が生じる。
⚫︎骨格筋は,筋腱複合体と呼ばれることもあり,SSC中に腱の伸長-短縮が筋腱複合体の長さ変化の大部分を担い,筋線維はほとんど長さ変化をしないことがある。
⚫︎SSCによる機械的出力の増加のメカニズムは複数考えられているが,それぞれの貢献度は条件によって異なる。
⚫︎SSCによる運動効率の上昇のメカニズムは,主に筋腱相互作用と弾性エネルキ伴うものであると考えられる。

トレーニングとリカバリーの科学的基礎 平山邦明 

2.SSCを筋肉経線で眺めて観よう!

2-1.筋膜経線とは?

筋膜経線は、身体内の筋膜(結合組織)が特定の線で結びついている経路を示します。これにより、筋肉の動きが効率的に伝わり、連携を強化します。解剖学者のトーマス・マイヤーズによって提唱された「アナトミー・トレイン(筋膜ライン)」は、全身の筋膜の相互作用を理解するための重要な概念となっています。

2-2.SSCと筋膜経線の関わり

👉連携する筋群
筋膜経線は、特定の筋肉同士が連携するための経路を提供します。これにより、ストレッチショートニングサイクルの中で、伸張した筋肉が短縮する際に他の筋肉群とも連動して動くことができます。
👉エネルギーの伝達
筋膜経線を介して、伸長した筋肉が短縮する際のエネルギーが他の筋肉に効率的に伝達されます。たとえば、下肢の筋肉が伸びてジャンプする場合、筋膜経線を通じて、腰や背中の筋群とも連携し、全体としての力発揮が向上します。
👉柔軟性と安定性
筋膜は筋肉の動きを支える役割を果たし、ストレッチショートニングサイクルを行う際に必要な柔軟性と安定性を提供します。これにより、身体全体の調和の取れた動きが促進されます。
【まとめ】
ストレッチショートニングサイクルと筋膜経線は、身体の動きの効率性や力発揮において密接に関わっています。筋膜経線は筋肉同士の連携を高め、力の伝達を助けることで、SSCの効果を最大限に引き出す要素となっているのです。これらの理解は、パワーリフティングを分析する上でとても重要な情報を提供します。

3.パワーリフティングでより良い成績を出すための3つのアイデア💡

パワーリフティングは、一人での鍛錬を通じて自己の限界に挑戦し、着実に成長するスポーツです。自己管理と集中力が求められ、規律あるトレーニングが強さを引き出します。しかし、必ず壁にぶつかるものです。その壁は、全くもっての限界なのか?はたまた、何かしらの要因による限界なのか?
その考え方の道筋をつけるのに役立つのが以下の三つのポイントです。

①人体はテンセグリティ構造であり、それを紐解くカギは絡み合う筋膜ラインにあります。
②パワーリフティング種目のスタートは観念運動行為にあります。
③パワーリフティングの運動理論は、宇宙の絶対的な運動法則に基づいて成立しており、感情や精神力だけでは1mmたりとも動かすことはできません。

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