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ヴォフガング・プリンツが説いた観念運動行為をパワーリフティングの観点から観てみよう!

ヴォフガング・プリンツ(Wolfgang Prinz)が提唱した観念運動行為は、認知心理学と運動制御に関する理論で、特に「観念運動」(Ideomotor)理論に関連しています。彼は運動行為がどのようにして意識的および無意識的なプロセスと相互作用するかを探求しました。その理論をコード化パラメータの観点から説明すると、以下のようになります。
コード化パラメータの要素
1. 対象(Objective)
  ・行為の目的や達成すべき結果。
  例: スクワット、ベンチプレス、デッドリフトを成功させる。
2. 対象の感覚情報(Sensory Input)
  ・環境からのフィードバックや感覚が、観念運動に影響を与える。
  例:バーベルの重さ、 関節の位置・動き、ステッキングポイント※の有無、周囲の状況。
(※スティッキングポイントは、エクササイズにおいて最も負荷がかかり、可動域の中で自分の発揮できる力が最も弱い地点を指します。動きのスティッキング(立往生)するポイントとも呼ばれます。)
3. 観念(Idea)
  ・意図した行為に関連する認知的な画像や概念。
  例: バーベルが拳上するリズム、イメージ。
4. 運動プラン(Motor Program)
  ・行動を実行するための具体的な運動指令や手順。
  例: バーベルを上げる際の脚の動き、筋の制御(コンセトリック、エキセントリック)
5. 実行過程(Execution Process)
  ・観念から運動プランを実行に移す段階。
  ここでは、神経系が身体をどのように制御するかが含まれます。
6. フィードバック(Feedback)
  行動の結果を評価し、次回の運動行為に反映するための情報。
  例: 理想とするファームの行程が上手くいったかどうかの確認。
理論の適用
プリンツの観念運動理論は、特に動作を行う前にその動作を「観念」することが、実際の動作に直接的な影響を与えることを強調しています。観念の中で想像することで、運動の準備が促進され、神経の図式が構築されます。
このように、観念運動行為は、心理学において運動制御の理解を深めるための重要な概念であり、パワーリフティングの実践場面において応用されるべきです。
問題点
[観念の中で想像すること]とは意識することであるが、意識することによって運動行為を変えることが可能であるのだろうか?また、意識にはその前に認識がある。この認識を作り上げているのは「感覚」から得たものか、「観察」から得たものか、それとも両方なのか?パワーリフティングにおける観念運動理論は認知心理学と運動制御に関する問題を呈している。

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