ライター×校正×編集 できることを増やして地方でも納得できる働き方を 与論島のライター・箱山康子さん
※インタビューは2021年5月実施。肩書などは2021年5月当時のままにしています。
結婚や出産で仕事を辞めざるを得なかった。
将来はパートナーの地元で暮らす予定。
このような状態で、どうキャリアを積めばいいのか、そもそも働き続けるにはどうしたらいいのかと悩む人もいるのではないかと思います。
「特別な資格があるわけじゃない」「島で働ける場は限られている」という状況の中、「家族と過ごす時間もほしい」。そして「主婦業だけでなく、仕事もしたい」。
そんな思いで在宅ワークを始め、「書くのも読むのも好きだった」ことをいかして現在はライター・校正・編集を仕事にしている与論島のライター・箱山康子さんにお話を聞きました。
子どもとの時間も取れ、がんばれば収入も増えるフリーランスという働き方に満足していると箱山さんは話します。
この記事が、働きたいけど…と悩む人の第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
箱山康子さんプロフィール
ライター・校正者・編集者。鹿児島県最南端の離島、与論島に住み、島内の取材や撮影も行う。週末は小学生の子ども2人と海に行くのが日常。ホタルイカの沖漬けが好き。
在宅ワークを始めるまで
--在宅ワークを始めた理由やきっかけを教えてください。
上の子を妊娠している時に、つわりがひどくて仕事を辞めました。
その時に「在宅ワーク」とネット検索をしていたんです。生活に困るわけではなかったんですが、私は専業主婦には向いていなくて、仕事もしたいと思っていて。
仕事をしていないと落ち着かないんです。自分の稼ぎがないと自分のためにお金を使うのは罪悪感があるし。
大阪に住んでいたのですが、待機児童が多くて正社員でも認可保育園に入れない状態だったので、家で仕事ができないかと考えました。
検索して見つけた在宅ワークを紹介するメルマガにとりあえず登録したんです。
ーーそれですぐ、在宅ワークを始めたんですか?
いいえ。実際に在宅ワークを始めたのは登録して5、6年後でした。
出産した後は、子育てと生活で精一杯でしたし。
もともと、与論島出身の夫と2人目の子どもができたら与論島で暮らそうと予定していました。
そうなると、大阪で就職しても働き続けることはできない。それも在宅で働きたいと思った理由です。
2人目の子どもができて、大阪から与論島に引っ越し。しばらくは与論島の保育園で保育補助をしていました。
でも、子育てをしながら外で働くのは大変で。上の子が小学校に上がる時に、やっぱり家で仕事をしたい!と思ったんです。
仮に転職したいと思っても、離島では特に資格もない子持ちの主婦が働ける場は限られてもいるし、もっと子どもとの時間も欲しくて。
それで、上の子が年中さんか年長さんのころに思い切って、在宅ワークに応募しました。
ーー最初、在宅ワークに応募したときの気持ちは?
パソコンスキルもなかったし、できるとは思ってなかったんですが、家で仕事したい一心で。
まずは、塾のテストの採点や作文の添削から始めました。
コツコツとできることを増やしてキャリアアップ
ーーライターを始めたのはなぜですか。また、きっかけはありましたか?
文章を書くことが好きだったからです。ブログもやっていましたし。
ブログをやっていて「文章力を上げたいな」と思い、情報収集をしていてオンラインサロン「ライター組合」(通称・ライ組※)を知りました。
ライ組に入ってWebライターという仕事を知りました。ライ組でWebライティングやクラウドソーシングで仕事を取る方法を勉強。クラウドソーシングでライターの仕事を始めたんです。
それまで、ライターって出版社とかで働いていた経験のある人しかできないと思っていました。
※ライ組:佐々木ゴウさん(@goh_ssk)が主催するライター向けのオンラインサロン。オンラインで毎月数回ライター向けの講座が受けられ、スキルアップできるほかメンバーとも交流できる。
--編集の仕事を始めたのはどうしてですか?あと、編集の仕事を最初、どうやってとりましたか?
編集の仕事をやりたいと思ったのは、仕事の単価を上げたいと思ったからです。
下の子が小学校に上がるので、仕事できる時間が減ってしまって。でも、収入を落としたくなくて。
あるWebメディアで最初はライターとして記事を書いていたんですが、校正や校閲もやるようになりました。そのうち、人手が足りないという話を聞いたので、私に編集もやらせてくださいと申し出ました。
それで編集もやることになったんです。
ライターをしていて見つけた「校正」という仕事
ーー校正の仕事もされていますが、始めたきっかけは?
校正という仕事はライターを始めてから知りました。
クラウドソーシングでライターの仕事を探していたとき、校正の募集を見て作文の添削をしたことがあるのでできそうだと応募して。
あと偶然、テレビで校正者の牟田都子さんが紹介されていたのをみて「いつか書籍の校正もやりたい」と思い、校正をきちんと勉強しようと通信講座で勉強を開始。校正実務講座を修了しています。
ーー校正って具体的にどんな仕事ですか?校正の仕事の魅力ややりがいは?
校正の仕事には、間違いやおかしいところがないかを読んでチェックする「素読み」と元の原稿とつき合わせて間違いがないかをチェックする「引き合わせ」の2種類があります。
今、私が主に受けているのはWebでの素読みです。
誤字などの明確な間違いを見つけるのも楽しいんですが、明らかに間違いではなくても違和感がある時、どこに違和感があるのかを探って、ぴったりな表現を見つけるところにおもしろさを感じています。
文章には書いた人がいて、意図があって書かれている。
書いた人が表現したかったこと、言いたかったことを曲げないように心掛けています。
また、文章だけでなく記事に添えられている画像が内容にあっているか、図解の中に間違いがないかなど記事全体を見るようにしています。
「間違いはある。あって当たり前」だと思ってチェックするようにしていますね。
あと、おかしいなと思ったらクライアントには伝えるようにしています。
やりがいがあったのは絵本の校正でしたね。
子どもにも伝わる表現かはもちろん、言葉のリズム、レイアウトにも気をつけました。
それに、やっぱり「間違いを見つけてくれてありがとう」「ここまで見てくれてありがとう」と感謝されるとうれしいです。
専門性はなくてもスキルの掛け合わせで
ーー今後の目標やチャレンジしたいことは?
ライターとしては、もっと取材にもチャレンジしたいと思っています。
離島に住んでいるので、オンライン取材もやりたいです。
ライターとして特に専門性はないので、文字単価を上げることは難しい。
なので、編集もやっていくつもりです。
一つのことを極めるより、いろいろやる方が私にはあっているのでライター×校正×編集とスキルの掛け合わせでいきたいと思っています。
2021年は「広げる」がテーマですね。
クラウドソーシングで継続して仕事はいただけているのですが、「ここで書きたい!」と思うメディアにも応募していきたいです。
編集後記
noteやブログをマメに更新。できることをコツコツとやってスキルを積み上げ着実にキャリアアップをしている箱山さん。箱山さんの「一歩踏み出す勇気」を私も見習おうとやる気をもらえた取材でした。ありがとうございました!
与論島での暮らしや取材の裏話も!
箱山康子さんのX(旧Twitter)はこちら
箱山さんのブログ:「コトバつむぎラボ」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?