足を動かして移動したい(#ねかいごと #COGY)
博士論文を書いていた時、福祉用具の歴史を調べていて、車椅子の原型だとされる「土車」を見かけたことがあります。確か17世紀あたりの絵巻です。身体の不自由な人を運ぶ道具は、こんなに昔から存在していたのかと感心した一方で、数百年もの間、使い方が変わらずにあったのも車椅子なんだなと思いました。
でも、COGYは全然違ったのです。
足が動かない人を乗せる道具だった車椅子を「足が動かせるようになる車椅子」に変えてしまっている。最初にCOGYの動画を見た時は、あまりの衝撃に「絶対何かのトリックでしょ」「もともと足が動いた人でしょ」と斜に構えた反応をしたくなるほど、ごく自然に足でペダルを漕いでいたのです。
ペダルにモーターをつけているわけではなければ、筋電で足を無理矢理動かしているわけではありません。片足を出すと歩行中枢が指摘され、“反射”的にもう片方の足が動くのです。人の生命力を引き上げているという点も、震えずにはいられないポイントでした。
これは本当なんだ、本当に足が動かなかった人たちの足が動いているんだ。そう信じた瞬間、この車椅子こそ、もっと普及してほしいと強く願わずにはいられませんでした。むしろ、車椅子が次に進むべき方向は、COGYなのではないかとさえ思っています。
足が動かなくなった人が運ばれる椅子ではなく、その人の生命力を引っ張り出してくれる装置。介護で大切にされている「自立支援」を、実直に実現している製品だと思うのです。介護の本質的な理念体現だけでなく、車椅子というカテゴリーのアップデートさえしている。カテゴリーのアップデートなんて、ものづくりに関わるものとして最高の醍醐味じゃないか。正直、悔しささえ覚えました。
私は私のペダルを漕いで、技術者として、COGYの背中を追い続けたいと思います。
執筆:宇井吉美(aba代表取締役CEO)
初出:2023年11月11日・ねかいごと2023
今年のねかいごとイベントにも、COGYがやってきます! 試乗していただけます! 1月10日(日)、11日(月)の2日間、東京都千代田区紀尾井町にある オープンコラボレーションハブ LODGEにて一般公開(無料)。お申込みは下記Peatixにて受付中です!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?