そろばんがスモールステップって本当?

そろばんはスモールステップで、無理なく生徒のレベルに合わせて進むことができきるといわれているウェブサイトなどを時々見ますが、本当にスモールステップなのでしょうか。

実はそう言い切れるものでもありません。ある程度理解の速い子、つまり一をきいて十を知るというか、ああ、こういうことね、と要領をつかみやすい子の場合、そろばんはスモールステップです。そろばんにはまりやすい子というのが何パターンかありますが、そのうちの1パターンはこういう子たちです。

そもそも簡単に理解できる、どんどん進む、自分の成長がパッと見て自分でもわかる、こういう状態ですから、楽しくないはずがありません。

簡単に言うとそういう子はそもそもの本人の一歩の幅が大きいのです。なので、その一歩と比べてそろばんの進みを設定している合格とか本卒業などが小さく感じられるわけですので、その子の場合そろばんはスモールステップになります。

ある程度足の長い人が普通の階段をなんなく上れるというのと一緒です。なんなら2段飛ばしくらいで駆け上がることもできて気分爽快です。

さて、ではそうでない子の場合はどうでしょうか。ある程度歩幅と一緒の階段(理解度と進度がバランスよく取れている)であれば、ある意味そのステップは無理がないでしょう。

さて、では、理解がゆっくりで一歩一歩の歩みの幅が少ない子の場合、そろばんはスモールステップかというと正直現在のそろばんの検定ではスモールステップではありません。

話が少しそれますが、そろばん教室に通う生徒さんは1.地頭育成に、と早期教育を目指してなおかつ本人も勉強好き、人よりできる、と自信を持っている生徒さんのパワーアップに通われる場合、2.なんとなくみんな行っているから、良さそうといわれているからと雰囲気で決めている場合、3.小1,2になって、あれ、算数苦手?これは大変!!と慌てて何とかしようとそろばん教室に通わせる、という3パターンに分かれるように思います。(言い切れるものではありませんが)

その中で3番目の算数も苦手で何とかしたくてそろばん教室へきている層というのが、そろばんでもゆっくり進度になりがちというのは当然だと思います。

でも、そろばんを教える身としては1~3すべての子にそろばん始めてよかったな、と実感してほしいと思って指導しています。

では、この子にとってスモールステップでないそろばんでどうやって少しでも「達成感」を感じていただくかというと・・・

もともとゆっくりなだけで進まないわけではないんです。勿論、通う頻度が少ない場合、2歩進んで2歩下がることもあります。
でも、適切な回数なり指導なりを提供することで2歩進んで一歩下がるとか、3歩進んで2歩下がるにすることはできます。

つまり、環境さえ整えば、遅くても着実に1歩前進することができるのです。そういう場合は、小さなことで一歩進んだことを実感してもらうよう、合格だけではなく、たとえば、300点満点で100点取っていた子ならまずそれをほめ、110点に上がったことをほめ、120点目指そうとその子の目線で一緒にその階段を伴走する必要があります。

点数であったり、1問の解くスピードだったり、問題量を減らして達成感を感じてもらったり、もともとない5級や4級での準5級準4級などの階段であったり、と工夫が必要です。

また、障害をお持ちで実際7級の山が越えられなかった方がいらっしゃいました。この方の場合、そもそも7級の掛け算を使う生活、たとえば、75人人がいて、その人がそれぞれ80円をもちよると全部で合わせていくらになりますか、といった内容そのものを理解することができませんでした。この場合、日常で使うはずもない計算をそろばんで理屈抜きで解けたところでそれに何のメリットが、というところもありましたので、見取算(足しひき)に特化して今の8級をいかにたくさん、ミスなく解くか、というその方の目標に合わせて練習をするということも考えるようになりました。あれとこれを足したらいくらになるだろう、といった計算は日常でご本人も必要になりますし、それをしっかりミスなく使いこなすことが一番役に立つと考えたからです。

つまり、目標も途中経過もひとによって合わせることでスモールステップを実現することは可能です。このように普通に「はい、検定です。これに向かって頑張りましょう」では全員の生徒にそれを実行することは難しいので、各教室のそれぞれの試行錯誤が必要になるというわけですね。



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