市原市の魅力たち ~逆開発・里山・その他~
市原市は、アスファルトを剥がして緑豊かにするという、「逆開発」を行っている。一見、時代の流れに抗うかのような行為とも思えるが、実は沢山興味深いところがあるのだ。
開発の果てに、「身近な自然と人をつなぐ」という結果になったり、地に樹木や草花を植えていき、地域の自然をそのまま駅舎までつなげていけば、自然豊かな駅になる。
また、「利便性ばかりを追求した開発が、地域の魅力をおおい隠してしまったのではないか」という意見や「元々いいものがたくさんあるのに、余計なものを付け加え過ぎていた」という意見、そして「無いもの足す」という考え方から、そこに元々あるものを活かし、それを遮るものを間引いていくという真新しい改革が、ここにあるのだ。
従来からの駅前整備と異なる発想による逆開発は、駅前を中心に自然の状態に戻すことで、人と自然が共生し人同士が尊重し合い生活する里山を理念としている。さらに、土産品などに里山の恵みを活用し、地域振興に繋がる可能性もあるのだ。
里地里山とは、原生的な自然と都市との中間に位置し、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、草原などで構成される地域だ。農林業などに伴うさまざま人間の働きかけを通じて環境が形成・維持されてきた。
里地里山は、特有の生物の生息・生育環境として、また、食料や木材など自然資源の供給、良好な景観、文化の伝承の観点からも重要な地域だ。
しかし、里地里山の多くは人口の減少や高齢化の進行、産業構造の変化により、里山林や野草地などの利用を通じた自然資源の循環が少なくなることで、大きな環境変化を受け、里地里山における生物多様性は、質と量の両面から劣化が懸念されている。
国内の取組として、里地里山保全活動の取組の参考とするため、持続可能な資源利用に関する全国の特徴的な取組事例を収集、分析し、幅広く情報発信を行っている。さらに、伝統的な里地里山の利用・管理手法の再評価、保全活用につながる新たな利活用手法の導入、都市住民や企業など多様な主体の参加促進方策などの視点について検討を行い、地域の活動にとって必要な助言や技術的なノウハウの提供を行うことにより、全国的な里地里山の保全活用を促進しているのだ。
里山トロッコ列車の運行など、地域住民や行政とともに里おこし活動に取り組んでいる。
また、市原市には空き家もあり、改造してカフェやレストラン、施設などに生まれ変わらせることもできるのも、大きな魅力だ。
次に、出光興産と市原市は4月30日、地域の観光振興や産業振興などの地域創生に貢献する分野において連携・協力することを目的に包括連携協定を締結したことがある。その第一弾として同日より超小型EVを活用したカーシェアリングサービス「オートシェア」を市原市内で開始した。
超小型EVを軸として「観光振興などの地域活性化や、地球温暖化対策の推進、防災対策の推進を図り、その他相互に連携・協力することが必要と認められる事項に関すること」を目標としている。この事業を通じて利用者の動向を見ながら、今後の交通体系の施策に活かしていきたいものだ。
市原市は、SDGsという面でも魅力がある。
令和3年5月21日、市原市が千葉県内の自治体として初めて内閣府から「SDGs未来都市」に選定されるとともに、「SDGs未来都市」の中で特に先導的な取組である「自治体SDGsモデル事業」にもダブルで選定された。
総合計画に掲げた都市像の実現に向けた取組をより一層推進し、様々なステークホルダーとの連携を積極的に図るため、SDGs達成に向けた戦略的な方向性を定めた「市原市SDGs戦略」を策定した。
策定の狙いは、~誰もが幸せな未来をつくる~
①SDGsの活用により、地域課題を解決し、誰もが幸せな未来をつくる
②経済・社会・環境の3側面の統合的な取組で相乗効果を発揮し、持続可能な社会をつくる
~ひと・企業・団体など全てのステークホルダーとつなぐ~
①SDGsを共通言語として、市民、企業、団体との連携を図ります。
②「日本の縮図」と言われる本市をSDGsの実証・実験の場として、全国から新たな力を呼び込み、イノベーションを起こし、地域課題を解決する魁となること
このように、市原市には沢山の興味深い取り組みや魅力がある。是非、一度は訪れてみたいものですね。
【おまけ】市原市長ゲストスピーチを聞いて・・・
小型EV事業など市原市がそもそも何を行っているか知ることができた。石油コンビナートのイメージは確かにあったが、ここまで産業・政策の中心にコンビナートがあるとは思わなかった。印象に残ったのは子育て支援の話で、政策を強化した要因の一つが虐待からの死亡事故というのが衝撃的だった。また、高校生の雇用に力をいれる一方で高校生以上は外部に流出してしまうといった話も今後の策を考える上で鍵になると思った。
市原市は、すごくSDGsに注力されていたことを初めて知った。「日本の縮図」と言われており、市には何でもあるが、その分課題も多いことを知った。市長になって6年が経ったが、その中でも嬉しかったこととして、「SDGsのシンボルとなる町」や「じばにゃん」を聞けて嬉しかった。教育にとても注力していると知った。このようなご時世、制限すべきことは沢山あるが、「無謀ではなく、可能な限り」という言葉に、どこか励まされた。
(参考文献)
https://www.city.ichihara.chiba.jp/article?articleId=60237233ece4651c88c1808f
https://www.env.go.jp/nature/satoyama/top.htm